記録より記憶に残る現場
※本コラムは、2022/12/1に株式会社ジャストのコーポレートサイトへ投稿されたコラムの再掲となります。
「鈴木さん、ジャストのHPのコラム執筆して頂けますか?」
えっ…?私?お願いしている相手間違えてない?何かやらかした?もう?仙台で何人目?
依頼のSlackを見た時はドローンの実技講習中で、その後の練習は動揺してドローンが壁に衝突しそうになりました。
HPにコラムがあることは知っていましたが、これまでコラムを書かれた方は70名ほど、従業員が400人以上いる中で入社4年目、同業他社からの転職、自分にはまだまだ回ってこないだろうと勝手に思っていました。社内でも仙台の鈴木って誰?って思っている方のほうが多いと思います。
コラムの内容は何でもOK…と言われても人生で初コラム…依頼を受けて書き始めるまで約1ヶ月モヤモヤしながら過ごしました。
特にこれを書こうとは思いつかなかったのですが、この仕事を始めて15年、女ながら調査、検査の現場で汗水涙を流しながらやってきて、特に記憶に残っている現場を記したいと思います。
①四国・中国地方調査の旅(徳島→岡山→鳥取→島根→山口)
ある会社の事務所ビルのコンクリートコアを採取して廻るという業務でした。全国で実施していましたが、私ともう1人の2人で四国・中国地方を担当しました。6棟を約8日で回り、1棟あたりコア9〜12本の採取〜復旧まで1日で終わらせ、次の場所に移動を繰り返しました。途中、倉吉(鳥取)→出雲(島根)に夜移動中、宍道湖付近で車の給油ランプが点灯し、暗闇の中ガソリンスタンドが無くて見つからず地方の暗闇の怖さを体験しました(何とかスタンドを見つけました)。最後の山口県での1棟、クロス仕上げがうまく剥がれずボロボロになり涙目になったのを覚えています。
②NDI評価業務(千葉県京葉工業地帯)
入社2年目から5年目まで春・秋期の約1か月、京葉地区にあるプラントで他の検査会社が検査した機器や配管の余寿命評価を行う業務をしていました。1日中現場のプレハブで検査記録とにらめっこ、時にはレントゲンフィルム(小径配管は放射線透過検査)の撮影箇所と減肉計算を確認するにらめっこ。検査の評価・台帳に入力するだけではなく、お客さんの書庫で過去の検査記録を探し前回との比較を行い、今回検査までの間に補修や更新されていたらその記録も探し、台帳に機器の情報が無ければ一から入力する。受領したら約1日で評価してお客様に戻し、その後の処置についてまたお客様よりチェックバックがきて入力する。何が大変って機器・配管の図面、構造や計算書の見方、非破壊検査の種類、方法が分からないと評価できないし、多い時には検査記録が20枚〜 30枚、朝早くから夜遅くまでひたすら評価していました。入社2年目でプラントでの仕事は初めてでしたので無知の状態で行き、プラントの構造も図面の見方、計算書の見方、非破壊検査のこともほぼこの現場で覚えました。今の自分があるのはこの現場で鍛えられたからだと思います。
③道路下生活雑排水の管渠の調査(埼玉県)
題名の通り、道路下にある生活雑排水の管渠の調査です。比較的交通量の多い道路にあるマンホールから入って胴長を着て作業、足元が暗くて見えない、掴まる場所も無い・・・。処理されていない生活排水と物が一緒に流れてくるので、転んだら終わり。昼近くなると水位が増していっそう緊張感が高まる。1日目の疲労感は凄まじかったです。2日目・3日目には慣れてきて、最終的には差し入れのアイス、牛乳を飲みながらマンホール下の状況を覗いていました。この現場をしていた時、これ以上怖い現場は無いかなって思いました。
この3つは大変&辛い現場でもありましたが、どちらかというと自分を鍛えてくれた現場でもあります。今こうやって現場で仕事できているのもこの現場のおかげかもしれません。この先もどんな現場が出てくるか楽しみです。
仙台営業所
鈴木 彩加