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育休レポート

※本コラムは、2019/9/21に株式会社ジャストのコーポレートサイトへ投稿されたコラムの再掲となります。


  「育休を取りなさい」  

突然頂いた安藤社長からの一言が私の人生を変えた。  

それまでの私は、どちらかと言うと昭和な考えだった。
平成に制定された育休制度を知ろうともせず、 令和になっても相変わらず「取れる訳が無い」と決めつけていた。   ところが、社長からの一言を受け、初めて真剣に「取る為には…」と考えた。  

現業の方には失礼にあたるのを承知で書くが、 現業ならまだしも、営業で長期休暇など一体どうやって…と思えてならなかった。  

日々、予告無く、多くの電話とメールを頂く。
非常に有り難い話だが、それをゼロにすることは不可能だ。
引き継ぐのも一朝一夕にはいかない上、完全に引き継ぎ切るのも限りなく不可能に近い。
何より、復帰した後に、電話やメールが来なくなってしまうのでは?と想像すると怖くてたまらない。  

そこで、高頻度で連絡を取り合うお客様と、休業後に連絡を取る必要が生じるお客様に限定して 事情を説明させて頂いた。
こちらとしては、渋い反応をされるのではないかと、内心ビクビクしながら話をした。 ところが、予想に反して明るい返答ばかりを頂いた。
「おめでとう!」「良い会社だね!」「お子さんとの時間を楽しんで!」等々。
思わず笑顔が溢れ頭を下げながら、人の暖かさに胸を打たれた。  

一方、社内の人の反応は違った。
「大変だねぇ…」「頑張って…」「ご愁傷様…」 こちらは予想通りというか、予想以上に暗い言葉が返ってきた。
ただ、言葉は暗いが、皆笑顔で返してくれた。
その笑顔に背中を押された。  

そして、いよいよ育児休業に突入した。
初日の朝から、現場でのトラブルが発生した。
気が気でなかったが、その件は社内の人達で何とか収めてくれた。
(相当大変だったらしいが…)
幸先の悪さにこの先を思いやった。
電話が鳴る度、メールをチェックする度にドキドキしたが、 結局その後は特段トラブルというトラブルは無いままに済んだ。  

それもこれも、社内の色々な方々がサポートしてくれたお陰だ。
それを誰一人として恩着せがましい事は一切言わず、快く対応してくれた。

  正直、中途の私としては、入社当初から前職と比較してしまう節があり、 この会社を「ヌルイ」と感じていたところもあったが、 「ヌクイ(温い)」人達で構成された非常に温かい会社であることを実感した。  

そのお陰で、当に“非常に”充実した1ヶ月間を過ごすことができた。  

オムツ替えは妻より上手い自信がある。
寝かしつけるのも、私の方が幾らか早い(気がする)。
息子の笑顔を引き出すのは…妻には敵わないが、 この1ヶ月で息子と過ごした時間は、私にとって掛け替えの無いものとなった。

それだけでは無い。
産後4ヶ月の妻は、疲れが溜まり、身体も大抵どこかしら痛がっており、常に眠そうな顔つき。
それが私が休んでいる間、朝は遅くまで寝たり、整体に行ったり、美容院に行ったり、友達と遊びに行ったり、リフレッシュしてくれたせいか、笑顔が増えた。
育休取得前も、それなりに育児をしている自負はあったが、全然足りていなかった。
息子と二人きりで長時間を過ごす経験を経て、妻の大変さが身に染みると共に、妻がやって欲しいことを 先回りして出来る様になった(はず)。
喧嘩しても、自分から積極的に謝る様になった。
喧嘩に発展しそうになった段階で、早目に折れることも覚えた(遅過ぎ?)。  

8月末に旅行に行った。
3人になって初めての旅行だ。
初めて入る3人でのお風呂は至福の時だった。
息子は、初めての海や花火に驚き泣き叫んだが、どれも大切な思い出となった。
妻からも感謝の言葉を貰い、嬉しい気持ちになると同時に、妻への感謝の気持ちが一層強くなった。  

因みに、日本に於ける昨年度の男性育休取得率は6.16%らしい。
2014年度は僅か0.33%らしいので、それとの比較では大幅に増えてはいる。
ただ、国の意識調査によれば、育休を取得したい男性は6割を超えるそうだ。
ということは、取りたくても取れない人が多いのが現状ということである。
その理由としては、「周囲が忙し過ぎて言い出せる雰囲気ではない」が49.4%と最も多く、「人員不足で職場や取引先に迷惑を掛ける」が44.2%、「その後のキャリアに悪影響が出る恐れがある」が35.2%と続くらしい。

しかし、実際に育休を取ってみて思うのは、取れない理由は幻想かも知れないということ。
以前の私がそうだった様に、自分で壁を作ってしまっているのではないか?ということである。

今回、ジャスト初の試みである為、私がたまたま恵まれていただけということもあるかも知れないが、少なくとも会社としては積極的に取得させる方針な上、この会社の方々もそれを後押ししてくれる ということは間違いないので、これを読んで少しでも前向きに検討して頂けたら嬉しい限りである。   そして、この素晴らしい人生経験を味わって頂ける方が増えていくことを切に願う。


2019年8月 熱海旅行にて

営業第2部
北村 悠

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