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ハワイ伝統舞踊「Hula」に学ぶ

※本コラムは、2015/7/16に株式会社ジャストのコーポレートサイトへ投稿されたコラムの再掲となります。


ハワイ伝統舞踊であるフラ(Hula)にはまっている姉さん女房と結婚して3年半。
今まで毎日のようにフラに関する話を嫌というまで聞かされてきた。
]最初はまったく興味もなく上の空で返事をし、聞き流していたのだが、時々「へぇ~!」と感心するような話をすることがあったので、今回コラム執筆担当の私からは、その「へぇ~!」と感心した話の中からひとつ取り上げようと思います。

日本の一般の方々に「フラって聞いて何を連想しますか?」と質問すると、返ってくる答えは皆一緒で「緑のヒラヒラ付けた派手な衣装で激しく腰を振って踊るやつ」って答えが返ってきます。私もご多分にもれずそういう解釈をしていました。しかし、フラをこよなく愛する人達からすると、それはまったくの勘違いで、その踊りはタヒチアンダンスだそうです。日本人がこのような勘違いをした原因として考えられるのが2006年に公開された映画『フラガール』だと思われます。この映画はスパリゾートハワイアンズ誕生を描いたものですが、映画の中でヒロインの蒼井優さんが主に踊っていたダンスがタヒチアンだったのです。では、『フラ(Hula)』とはどんな踊りなのでしょうか?

フラはハワイ語で「踊り」という意味だそうです。なので、日本でよく「フラダンス」と言いますが、これもまたフラをこよなく愛する人達からするとナンセンスな表現で、「踊り踊り」となってしまいます。なので、「フラ(Hula)」の一言でいいのだそうです。

「フラ(Hula)」には大きく分けて古典フラ「カヒコ」と現代フラ「アウアナ」があるそうです。

「カヒコ」はひょうたん型の打楽器に合わせて厳格な型に沿って演じるもので、自然や神に対する礼拝を込めて詩を唱えながら踊り、宗教的な要素を含んだ神聖なものです。昔のハワイでは修行を積んだ男性しか踊ることを許されなかったようで、大地を踏みしめるような力強い踊りです。今では女性も男性も関係なく踊られています。
(「カヒコ」はハワイ語で「古代の」という意味だそうです)

「アウアナ」はウクレレやギターやピアノの伴奏で優雅に踊るスタイルで、レパートリーは「カヒコ」と比べて固定されておらず様々です。日本の芸能人がよく行くオアフ島のワイキキで踊られているのがこの「アウアナ」です。
(「アウアナ」はハワイ語で「さまよう」という意味だそうです)

さて、このように二つの型があるフラ(Hula)ですが、フラをこよなく愛する人達にとってはやはり「フラ」と言えば「カヒコ」だそうですが、そこはハワイ人ではない日本人が踊るという事に畏れ多い気持ちもあり、日本人のフラは「アウアナ」だそうです。

ハワイ(ハワイ諸島)は太平洋のど真ん中に位置し、北西に移動する太平洋プレート上に乗っています。約2500万年前から太平洋プレート下のホットスポットから約200万年毎に噴火し北西に連なる島々を形成してきました。これがハワイ(ハワイ諸島)誕生の歴史です。(あと1億年ほどするとカウアイ島が茨城県沖に見えるようになるかも、といっても風化して海面下の海島となっているが)

地学的にはかなり古い歴史を持った島ですが、人が住むようになったのは3世紀頃で、タヒチから人々がカヌーに乗って大航海の末、ハワイにたどり着き住み着いたそうです。まだその頃のハワイは人が生活できるような環境ではなく、火山活動も活発で実を付けるような植物も少なく、動物もほとんどいなかったため、人々は細々と自然からの恵みを得て生きながらえているような状況であったようです。ハワイの自然はそのように恵みを与えることもあれば、時に牙(火山活動)を向ける事もあり、古代ハワイ人には、「海・山・太陽といった偉大なる自然の中で、その自然が与えてくれるすべてのものには神が宿っており、それら神々を崇め讃え感謝する気持ち・精神」が芽生えるようになってきたそうです。また、当時のハワイ人は文字を持っておらず、そういった気持ちや神々の伝説を伝えるコミュニケーション手段として踊りが使われていたようです。これが時代を重ねて、海を渡った先祖から伝わる「タヒチアン」から「フラ」へと変化していったそうです。

ハワイと同じように周りを海に囲まれた島国である日本にも、この精神に似たような部分があると感じています。日本にも「八百万の神」が居り、その神々への信仰心があります。私たちを取り巻くすべてのものには神が宿っており、感謝の気持ちを持ってそれらに接する伝統があります。現在の日本人には欠けてきたように感じますが、こういった宗教観が「ハワイ」や「Hula」に親近感を覚えるひとつの理由ではないかと思います。

現代の日本は右肩上がりの経済成長をいいことに、消費社会を謳歌してきました。どうのように苦労して手間をかけて作られたものかを考えもせず、感謝もせず、ちょっと古くなったからといってすぐに廃棄し、新しいものを手に入れる傾向がみられます。

今一度、「フラ(Hula)」の精神にならい、今あるものへ感謝の気持ちを強く持って、末永く活用していくようにすることが大切だと今回「フラ(Hula)」の話を通じて痛感した次第です。

調査診断第二部 部長
多田健次

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