贖罪
※毒親持ちの方はフラッシュバックの可能性大なので、これから先読むことは非常にオススメしません※
久しぶりにnoteを書いてる。
そしてどうでもいいのだけど、先日コストコで買ったブラータが美味しくてパッケージを見たらまさかの280kcal/個で泣いている…
今月、母に会いに行くことにした。
私がまだ中学生だった頃に一度別居に失敗し、愚かにも父が変わると信じた母が、子供たちが自立し、親になった今やっと別居に成功した。両親が離婚するかは分からない。しかし、もう彼らの関係が修復する可能性は限りなく0に近いだろう。
引っ越しの段取りや住み慣れた土地を離れること、友人関係を清算することに一度心を病んでいた母だったが、父とより物理的な距離を置いた途端に目に見えて精神が安定したように見える。もちろんそれは表面上の話であって、実際彼女の心の中がどうなっているか私が知る術などない。ただ最近、母が通ってきた道を想像して胸が詰まることがある。
私の父はそれこそ言葉の暴力を母に振るい、女性関係で散々母を苦しめた。それだけならまだしも、私や兄弟に対しての物理的な暴力は私たち兄弟を相当歪めてしまったと思う。私たち兄弟に対する暴力は中学校への進学を境になくなったものの、私たちの心がもとに戻ることはなかった。
母が熟年離婚を検討する前の日、父は母に「俺は過去のことをこれからも批判され、怯えながら生きていかないといけないのか?」と怒鳴ったらしい。全くいつまで経っても反省できないクソ野郎だなぁと思いながら、私の心の奥底に殺意が少しだけ芽生えるのが分かった。私たち兄弟が受けた傷はふさがった、だけど傷があった場所には歪な形をしたケロイドが出来ていて、私たちはその傷跡を横目で見ながら日々過ごさないといけない。心の傷は誰にも見えないからこそ、親しい友人にすら理解されない。そしてこの理解されないという事実が幼心をとても痛めつけたし、もう30代だというのに私の心は偶に痛む。
兄弟は旅行先で父に顔を踏まれ、地面に押し付けられたことがあった。彼がまだ5-6歳の頃だった。一度私の住まいに遊びに来た時、偶然その旅行先の話になったのだが、兄弟はそっと「もうあそこには行きたくない。悪夢だ。地獄だった。」と感情が籠っていない声で言った。
その言葉が私の心を衝いた。
良い家庭環境に育った善良な人間ほど、歪な家庭環境を理解できないと思う。先ほど、心の傷は目に見えないからこそ、親しい友人にすら理解されない、と言ったが、実際に私の夫は私の心の傷を理解していない。入籍後、何度か父と喧嘩をし、それこそ罵倒されたのだが、夫は「それでもお父さんなんだから、仲良くした方がいいと思うよ」と言った。
夫の言い分はとても理解できる。それこそ昔は理屈が通じず、話しても理解できないなら叩いてでも子供をしつけただろうし、夫からすれば私や兄弟が受けたことは躾の一環に聞こえるのだろう。そして私が悪い方向に過大解釈していると思っているのだろう。
夫よ、ベルトで殴られて、殴るなと言われたら蹴られ、レストランで大声で罵倒され、市内のレストランから出禁を食らった経験があるか?目の前で負け犬と言われ、頭が悪いと罵られたことがあるか。幼い兄弟が目の前で踏まれて泣き叫ぶ姿を見たことがあるか。夫婦喧嘩が理由で、子供部屋から一歩も出ずにクローゼットの中で半日過ごしたことがあるか。
もちろん前述のようなことは伝えたことなどない。例えそこに思いを馳せることができたとしても、あまりにも不愉快な気持ちにしかならない。理解しなくてもいい、ただ理解できないけれど私の心の中が錯綜としていることだけなんとなく分かってくれればいい。
私は、父がしたことは謗りを免れないと思っている。一方で人間なので傷つくことも他人を傷つけることもあるし、それを回避して生きることはとても難しいし、無理だと思っている。人の急所など目に見えないし、誰もが地雷を抱えているんじゃないだろうか。
父にすれば、なぜ母が今になって過去の言動を理由に別居を切り出したのか理解が出来ないだろう。でも最近、なんとなく分かるのだ。愛する人から放たれた一言はとてつもないスピードで心を衝く。そして簡単に心に穴を開ける。その後、どんなに愛が籠った言葉を投げかけられても、その言葉が北風のように冷たくその穴を通り過ぎていく。そしてその言葉が穴を通り過ぎ、傷口を掠めるたびに傷口を直視しては辛くなる。
2歳になる息子がいるのだが、時折もし間違って幼い彼の心を傷つけたら…と不安になることがある。明確な答えは出ないが、結局は贖罪という結論の周りをうろついている。普通に考えれば、私は彼より長くは生きられない。故に彼をずっと守っていくことは不可能だ。だからこそ、傷ついても自分で心の傷をケアできる強さを持ってほしいと思うし、誰かを傷つけた時、贖罪とは言わなくても似た意識を持って生きてほしいと思う。
私の心は傷だらけで、それこそ絆創膏だらけだ。だけど、母に会ったとき、母の痛みが例え理解できなくとも思いを馳せようと思う。理解できなくても寄り添ってくれる人がいると、母がどこかで感じてくれればそれでいい。そして母の心の穴が少しでも早く閉じてくれることを祈る。傷跡にケロイドが出来たらその時、私たち兄弟が家族としてそのケロイドも貴方の一部だね、でも愛してるよ、と伝えようと思う。
さて、長文を書いてしまったが、私はいつからダイエットを開始すればいいのだろうか…(絶望)