優秀なあの人がパワハラ通報された日
クライアント先で新規部門立ち上げに伴い、クライアント先の新入社員の育成をしているジャス子です…。ただいま、ダイエット中なのにクッキーを食べながらnoteを書いています。
以前、前職の部下から新しい上司とうまくいかない…という相談を受けた話をしたが、今日はパワハラの話をしようと思う。当方、アラサーなのだが、最近本当に中間管理職の友人や知り合いのハラスメントの話を聞くようになった。ハラスメント通報窓口や委員会が機能している証拠だろうし、社内のハラスメントに対する意識が高まった結果でもあると思う。
私も一時期、赤字のクライアントほどハラスメントが勃発し、弁護士の先生と一緒に研修を行ったり、経営層になったころに自分も何度もハラスメント研修を受けたのだが、冒頭で紹介した過去のnoteで述べたように、私も表には出さなかったものの、部下をクビにしてやろうかと思うことは何度もあった。一時期は毎日だった。
noteには書かなかったが、当時猛スピードで中間管理職になった3-4歳年上の友人や知り合いがおり、彼らは私が直面した壁にぶつかっておらず、そのことが余計に自分から自信を奪った。知り合い達に、なぜ部下が仕事で成果を出さなかったり、ミスを連発してもメンタルを維持できるのかと聞いた時、数名は以下のように答えた
大体、自分の下につく人は自分の30-40%しか仕事ができない。最初から個人の力など期待していない
これは確かにその通りで、特に中小企業だと社長が右腕となる即戦力的存在を欲することが多いものの、実際即戦力となる人材が来るのは個人の力を伸ばして育てる仕組が整い、社員たちの能力の平均が以前より上回り、成長した頃だ。
本当に部下は自分の30-40%しか仕事ができないのか?
しかし、当時私は部下を自分の30-40%しか仕事ができない人間とは思えなかった。確かに社員がそれほどの脳力がなくても仕事が出来るようにするのがマネージャーの仕事だ。特にマネージャーになったばかりの頃は、自分がどう仕事をしてきたのかを洗い出し、それを細分化して、部下に理解できるように分かりやすくパッケージにしたり、フレームワークにしたり、マニュアルにしたり、ツールを作ったりした。
マネージャーばかりになったころ、私は自分が(自慢のように聞こえると申し訳ないが)スタープレイヤーから初心者ペーペーマネージャーにジョブチェンしたが故に、例え優秀でも適切な環境と知識やツール(これを労働装備率と言っていたのだが)がなければ能力は発揮できないという気持ちがとても強かった。※今思うと、私自身決して優秀ではないので非常におこがましいことではあった。猛省している…。
なので、私は友人や知り合いの言うことを無視して、環境の整備であったり、仕組やツールを作ったり、個人の力を伸ばすのではなく、能力はあるけど発揮する知識と装備が足りないという前提で動いた。
ピグマリオン効果
当時、ピグマリオン効果の論文を読んだことも大きかったかもしれない。ピグマリオン効果は過去の経験とは無関係に、教師が「この生徒はきっとうまくやれる!」と信じると、その生徒はきちんとやってのけるという教育心理学における心理的行動の話なのだが、実際にイスラエル国防軍の新兵訓練キャンプでもリーダーが能力が高いと信じたグループが他のグループよりはるかに高い成果を上げていたというデータもあったことから、自分は「私の部下は絶対に出来る!」と事あるごとに、カルト教徒のように自分に言い聞かせ唱えていた。
今振り返っても非常に宗教チックで、自分にはない部下の良さに気づいた時、とにかく自分に部下には能力があると言い聞かせた。そうしないと、自分の中に潜むハラスメントの危険因子を呼び起こしかねないと恐れていたからだ。
結果的にチームは大幅に成長し、私は次はチームではなくクライアント先でも社内でも次のマネージャー育成をすることになった。
同時期に前述の知り合いもマネージャー育成をすることになった。
そして知り合いはパワハラ通報された。
マネージャーを育成するということの難しさ
マネージャーがマネージャーを育成するということは部下を育成するより難しい。なぜなら、マネージャーになる人の多くはスタープレイヤーで仕事ができるため、先ほどのような「部下は自分の30-40%しか仕事ができない」という前提は覆される。特に部下のマネジメントに成功していた人はバイアスという色眼鏡を通じて物事を見てしまい、自分のマネジメント手法が最適解だと信じ、新しいマネージャーに自分のマネジメント手法を叩き込もうとする。そして自分というマネージャーを量産したり、クローンを育成しようとする人もいる。
知り合いの場合は、自分と同じようなマネージャーを量産しようとした結果、育成対象だったマネージャーの一挙手一投足に口を挟み、結果的にハラスメント行為にまで手を出してしまった。
自分より仕事ができない社員相手だと多種多様な進め方を認めつつ、自分の方法に軌道修正できたかもしれないが、対マネージャーになると急にハードルが上がる。仕事が出来る社員にどうしても期待が高くなるように、マネージャーにまで昇進できた社員に対しては期待も高くなる。故に、なぜ言ったことができないのか、なぜ指示した通りにしないのか…という苛立ちは、対部下よりも対マネージャーの方が大きい。
マネージャーの40%が大体18か月以内に失敗するといわれているのだが、部下に対しては1年間様子を見ることができても、対マネージャーにはそこまでの期間、様子を見ることは難しいと思う。マネージャーへの期待、マネージャーというポジションの責任、そして前述の心理的ハードルの積み重なりは新人マネージャーも、マネージャーを育成する側にも厳しいものでしかない。
個人的に一番難しかったのは、プレイヤー業務は自分の背中を通じて部下に仕事を教えることができても、マネージャー業務はそうはいかないというところだった。(部下との個別面談に毎回同席させれるわけでもないし、炎上案件に毎回同席して一緒に謝るわけにもいかない)
会社・組織による支援なしで、成果を出すマネージャーは生まれない
マネジメントに関する本は毎年、いや毎月新しい本が出版され、多くの悩めるマネージャーが手に取っているだろう。そこには自分の努力次第で自分がいいマネージャーになれるのでは、成果を出せるのではという期待が見え隠れしている。しかし、個人的にプレイヤーがマネージャーに無事移管し、成果を出すには、個人の努力もさることながら、一人の努力で完遂できるようなことではないと思う。会社・組織による支援がどうしても必要になる。
それはマネージャーに対するメンタリングだったり、フォローアップ研修だと思うのだが、そういった支援や研修が整っている会社は未だ少ないと思う。個人的に、ハラスメント行為に手を出した知り合いも、もしメンターがいたり、フォローアップ研修があれば己の危険因子を抑えることができたのではないかと思う。
非常に偉そうなことをつらつら述べたが、何が言いたいかと言うと、お互いメンタリングできるマネージャー仲間がいるといいね!てことです。なので、このnoteを読んでいいな!と思った人は私と一緒にドトール行きましょう()