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明日から少しだけ働きやすくなるための演技力

先日、前職の部下から今の上司と折り合わないという話を聞いた。それこそまだ学生の頃、私は大人になれば皆が一定のコミュニケーション能力を持ち、お互いの気分を害さないように波風を立たさないで、一緒に働けるものだと妄想していた。

もちろんこの妄想は、幼い頃我が家のサンタクロースの正体が両親であることを知った時と同じレベルのインパクトをもって崩壊した。(お母さん、なんでサンタさんのプレゼントの包装紙に近鉄百貨店って書いてるの…)

経営者になるような器がないので、今も昔も誰かの下で働いている私だが、ツイッターでも何度も言っているように、結局会社はバックグラウンドも価値観も違う人間の集まりで、パズルピースのようにそれぞれがピタリとはまることは97%ないのだ。なので、多少の折衝は起こるし、心がずっと穏やかでいられることはない。

しかし、それを理解していても、結局人が会社を辞める、転職する理由のほとんどは”人”だ。

今回、前職の部下から”上司との仲”で色々話を聞いたわけだが、個人的にチームをマネジメントする立場になったとき、非常に部下との仲や自分の感情のコントロールに苦労した。

「どうすれば、なかなか好きになれない人と今よりうまく仕事ができるか」

そう聞かれて、私の中で「あんたは今日からオスカー俳優」という言葉しか浮かび上がらなかった。結局は演技力なのだ。顧客に接客するように、素の自分を捨てて自分の役割に応じて演技をする以外ない気がする。

自分語りになって恐縮だが、前職で私はいわゆるプレイングマネージャーでフロントで数字を作らないといけないのに、諸事情で「じゃあ、ジャス子もチーム作ってよな!」となぜか意思決定権を委譲され、部下のサポートをしたり、チームを率いたり、急に仕事内容がカラフルになった。

毎日問題ばかり露呈するクライアントを両手に抱え、背中にチームメンバーが加わった。

今だから言えるが、それこそ毎日全員クビにしてやろうかと思った。途中から自分で採用までしたのだが、それまでは部下のポンコツ具合にキレそうになっていたし、ゴールドジムで120kgレッグプレスしながら実際にキレてた。

部下に直接ブチギレることはなかったけど、クライアントを動かす以上に部下を動かすって大変なんだなぁと思った。距離感も難しかった。私のことを友達と認識する部下がいて、なぜか恋愛相談を延々と聞かされたりもした。

そんなこんなをしているうちに、マネジメント面で色んなことがあり、すっかり疲弊した私だが、あまりにも自分が素のまま部下と接していたことに気づいた。そして、素の自分では①フロントで数字を作り、②部下のサポートをし、③チームをまとめるという3つの役割を果たせないという残酷な事実に気づいてしまった。

「あ~、私はポンコツなんだな…」

と本気で思い、その時プレイしていたペルソナ5の主人公の名前は「ポンコツポコ太郎」と設定されていた。今振り返っても、相当自分に自信を失っていたw

しかし、それなりの社会人としての経験があったので、それを身にまとえばなんとかなるんじゃないかと次第に思えてきたのだ。

新卒の社会人は、社会人としての経験がほとんどないためにプライベートの自分を会社に持ってくることも多いだろう。今思えば、初めて上司に四季報投げられるんじゃないかと思えるほど怒られた時、なぜか自己否定されたような気がして落ち込んでしまった。

しかし、社会人経験を積んだ今、例え誰かに怒られたとしてもそれは仕事に対してであって、自分自身に対してではないな…とある程度理解できるようになった。
※もちろん人格否定するようなクソ上司はいる。秒速で心の中で中指立てながら辞めましょう。骨は折れてもいいけど、心は折れるといつ回復するか分かりません。

素の自分で仕事をすると、人はいとも簡単に心が折れる。おまけに仕事で与えられた役割を果たせない。なので、理想とする上司や社員がいれば彼らをお手本にし、彼らの言動を真似することが、ウマの合わない人間と仕事をするだけでなく、仕事をする上で非常に重要になる。

ただ、社会はそこまで親切設計ではないので、理想となる上司や社員がそばにいないことが多い。だから、自分が理想とする上司/社員はどんな人か?を自分の中で描き、自分で脚本を書かないといけない。

未だにマネジメントとはなんぞや?と聞かれて、自分自身納得できる端的な言葉がないのだけど、もし一つあげるなら、それは「演技力」なんじゃないだろうか。そして、それはマネジメントに限らず社会人としては非常に重要なスキルになっていると最近強く思う。

それこそ部下が何度か説明した仕事を全く理解してなかったとする。素の坂口ジャス子ならブチギレて、四季報に火をつけて一人でバーニングマンを開催するが、理想の上司なら「どうすれば伝わるか?」を考えて、伝わる方法を模索するだろう。

仮に同期や部下と折衝を起こしたとしても、人格まで否定されてるわけではなく、”上司を演じている自分”がヘマをしただけなので、必要以上に傷つかずに済む。

RPGゲームをプレイするかのように、上司になった自分、部下になった自分を演じ、その役割にあった選択肢を選んでいくと考えれば、ウマが合わない人とも以前よりスムーズに仕事ができるんじゃないだろうか。

断言はできないけど、ふとそんなことを思った昼休みでした。

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坂口ジャス子
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