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ネット上の付き合いをリアルにしちゃっても良いじゃない

18歳の頃に好きなバンドマンがアメブロをしていたことがキッカケで私もアメブロを始めた。
勿論、内容は主に好きなバンドのことがメインだった。
時折、大学生らしく講義をサボったとか大学で借りた英語の本の感想とか、サークルでの悩みとか…日常の1コマも書いていた記憶がある。

普遍的な大学生のアメブロは1年が経った頃から徐々に内容が変わって、私は鬱による通院も赤裸々にそこに書き殴った。
ネットリテラシーという言葉がその頃にあったかどうかは曖昧だが、個人が特定されないように記すその場は不特定多数の人間が多く、かつアンニュイな関係で築き上げられるぬるま湯のように温かい人たちに溢れては私の居場所となった。

好きなバンドを通してコアなファンの人たちと知り合うこともできたし、実際に画面を通さずに直でお会いしてお茶をすることもあった。
ライブに行って初めましての挨拶を交わしたことは数知れず。
ファンの作る私設サイトでも交流を楽しんだ。
その後の私が知らない人だらけのmixiのオフ会にも、Facebookでのイベントにも、noteで知り合った方のボドゲ会にも何の躊躇いもなく参加できるのは当時のこれらの経験が大きな土台の一つになっているからだと思っている。

そして、当時の私が鬱で通院中だったとはいえ何も感じなかったわけではない。ネットを通した人との温もりや適度な距離感は私にとって心地よくて、そのときだけは孤独で死にたすぎて辛すぎる現実逃避ができたから、という自衛の気持ちもあったのだろう…とあれから20年が経ってボンヤリ思う。

経緯は忘れてしまったが、そんな大切なアメブロを私は何回か作り直した。
その度に古くからの付き合いの友人にブログのお引っ越しを伝えて友情を継続してもらったり、新規で新しく「初めまして」と知り合う人たちもいた。
当時の私は若さ故なのか、今と違って友情を流動的なものとして扱っていた。


時は流れて私はアラフォーになった。
全通はできなかったけれど、それなりにライブに行くくらい好きなバンドは色々と増えたり乗り換えたりしたし、バンドが解散したりメンバーが亡くなったりする度に、バンギャ故の喜怒哀楽もたくさん経験してきた。
そして時代の変化や私のライフスタイルが変わり、あんなに楽しかったはずのアメブロもだいぶ前に引退していた。
アメブロや前略で仲良くしてもらっていた方との友情も多くは自然消滅だった。

Twitter(現X)のアカウントも作り替えたり捨て垢を使ったり…と一時期は活発だったがアメブロ時代からの友人も1~2人は繋がっていた。
彼女とはお茶したり一緒のライブに行ったり、時々今でもやり取りをしている。
お互いに苗字が替わっても、パンク服やロリータ服は着なくなっても、黒歴史含めてバンギャだったあの頃の記憶を宝物にしている。
(お互いに当時ゾッコンだったバンドは解散しちゃってますけどね。)
中にはライブやお茶で何回もお会いした方々とはFacebookで本名晒してリアルで付き合う仲の人も数人いる。

そんなかつてバンギャだったことに恥ずかしさと誇りをもっているオバンギャの私。
アメブロで仲良くしてもらっていた年上上の方(当時の彼女は今の私くらいの年齢)をXで見付けたのが半年~1年くらい前。
先述したとおり、アメブロをしていた頃に私がめちゃくちゃ大好きだったバンドは既に解散している。
現在の推しはそれぞれ違うバンド。
鍵垢にして久しいが私は彼女をフォローした。
別に彼女に私を認識してほしかったわけではない。
透明人間になったかのような感覚で、そっと彼女の発信を見守っていたかったのだ。

去年の夏に初めてロッキンに行った。
コロナ禍だったこととは関係なく、個人的にライフスタイルが変わりライブに行くのは久しぶりだった。
純粋に楽しかった。
去年は今年みたいに体調絶不調での参戦ではなかったので、心身ともに楽しめた。
改めて、私はライブというものが好きだと実感した。

なので推しのバンドのライブに秋頃だったかな?去年ボッチ参戦した。
1人焼肉とか1人遊園地は出来ないけれど、1人でも平気なことの一つがライブ参戦で良かったと思う。
とっても楽しくて、同じバンドを推している方々と知り合いたいと思ってXの鍵を外した。実に7年ぶりの解錠だった。
アカウント名も本名をもじったものからバンギャネームに戻した。

透明人間だったアラフォーの私が、身体と経験はアラフォーのまま18歳のあの頃の私に戻った。
鍵を外したことによってアメブロで仲良くしてくださっていた年上の方にも見えるようになってしまった。
「○○ちゃんって、アメブロの○○ちゃん?」
「はい、ご無沙汰しております」
「その名前に使われている漢字も、Xの言葉の使い方も○○ちゃんだよ!また会えたね!!」
「はい。実は半年~1年くらい前から鍵垢で一方的に貴女をフォローしていました」
「なんだって~!?恥ずかしい!」


そんなやり取りをした数ヵ月後、とある情報が解禁された。
今年の5月に私が20年前にアメブロを始めたキッカケとなるバンドの1人がライブをすることになった。
嗚呼、また縁を繋いでくれたのね。

そんなこんなで実に知り合って21年目にして初対面を果たした。
年上の彼女の中では私はまだ大学生のような存在だったのが純粋に嬉しかった。
当時の若すぎて不器用な私に聞かせてやりたい。
友情は流動的なものかもしれないけれど、年月を経ても普遍的な付き合いをしてくれる人がいるよ!と。
騙されたり損得勘定で割り切られたり、色々な人もいるけれど、人間は捨てたもんじゃないと思える。
少なくとも私の周りには温かい人しかいないのだ。

あれから数ヶ月。
一昨日くらいにメッセージが届いた。
メッセンジャーでもメールでもラインでもないSMSで。
怪しすぎる。
だいたいのSMSのメッセージって何らかの手続きに於けるワンタイムパスワードのお知らせか詐欺紛いのメッセージなことが多くない?
とりあえず興味本位でメッセージを開く。変なURLや電話番号とかクリックしなければ良いだけの話さ。

内容は
「ご無沙汰しています、◇◇です。
何月何日から何月何日まで東京に行くのでお会いしたいです。」
のような文面だった。
お名前には見覚えがありすぎた。
アメブロで知り合って、当時推していたバンドは違ったけれど3~4回新宿とか原宿で遊んだことのあるバンギャだ。
Facebookで繋がっているから、私が紆余曲折あって今東京に住んでいることを彼女は知っているのだろう。

お互いに何て呼ぶのが良いのだろう?バンギャネーム?本名?
日程も何も決まっていないのに気持ちはもう
「会うに決まってんじゃん!コノヤロー♡」
とウキウキ。浮わついている。
デート前の乙女か✋


久しぶりの対面。15年くらいか?
今の私を愛してもらえるのだろうか?と考えてしまう。
もし愛されなかった場合が怖いけれど、少なくとも彼女は過去の私を愛してくれて、今の私も愛そうと思っていてくれるからお声掛けしてくれたのだろう。
だとしたらこんな考えは杞憂だ。
頭では分かっているのだけれど、どんな顔をしてどんなことを話せば良いのだろう。
まぁ、きっと会ってしまえば時間もあっという間に過ぎてしまうのだろうけれど、会うまでが心配なのってあるあるよね。

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