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開発AIエージェント【第5回】保守編「導入後が本番──モデル更新や業務変化を“アジャイル運用”で乗りこなす」
はじめに
前回(第4回)で、AIエージェント開発の実装フェーズについて、アジャイルでどう進めるかをお話ししました。実装が終わったらリリース……で完了ではなく、実はAIエージェントは導入後こそが本番。
技術アップデートや業務要件の変化、ハルシネーション対策など、運用と保守には想像以上に手間とノウハウが必要です。今回は、なぜ保守がそんなに大変なのか、そして**“アジャイル運用”**をどう回していけばいいのかを深掘りします。
1. そもそも、なぜ保守が大変なのか?
1-1. 技術の進化が速すぎる
大規模言語モデル(LLM)やフレームワークが、数か月単位で新バージョンや画期的な手法を出してくる世界。
導入時はベストだったモデルが、半年後には古くなるかもしれない
新モデルに置き換える際、API仕様やパラメータが変わる→既存システム側で対応が必要
一度リリースしたら終了、ではなく、継続的にモデル更新のサイクルを設計しないと、古いまま運用してしまうリスクがあるわけです。
1-2. 業務要件が変わる
企業の組織再編や新サービスの立ち上げなどが起きると、AIエージェントに必要な学習データやプロンプト、暗黙知ルールもアップデートしなければ精度が低下していきます。
新商品が出るたびにAIの知識ベースを更新するのか
プロンプトや社内用語が増えるたびにモデルトレーニングか
こういったメンテナンスを怠ると、誤回答が増えて使われなくなるのがリアルな現場です。
2. モデル更新と学習データのアップデート
2-1. モデルバージョンアップのサイクルを決める
AIエージェントが使うモデル(LLMや独自モデル)を定期的に再トレーニングしたり、新バージョンに置き換えたりするプロセスを事前に設計しておきましょう。
テスト環境でしっかり精度チェック&ハルシネーション率確認
本番リリースのタイミングでダウンタイムをどう最小化するか
バージョン管理をどう回して、ロールバックは可能か
2-2. 継続的な学習データメンテナンス
業務フローが変わるときはもちろん、定期的に社内ドキュメントの更新や暗黙ルールの変更をAI用データに反映する仕組みが必要。
毎月or毎スプリントごとに担当者がデータを見直す
古い情報の除外や新情報の追加
“ナレッジマネジメント”との兼ね合いで、AIにどこまで学習させるかを決める
3. 運用監視とハルシネーション対策
3-1. 監視手法と指標
AIエージェントが**大量の誤回答(ハルシネーション)**を出していないか、暴走していないか、運用中の監視はとても大事。
エラー発生率やユーザーからの問い合わせ件数
回答の低評価数(アンケートなど)
リアルタイムのダッシュボードで異常をキャッチ→警告メール
3-2. アジャイル運用でトラブルを即解消
問題が見つかれば、**“保守スプリント”**をすぐ回して修正するのが理想。
モデルやプロンプトを調整
コードも必要なら改修して再デプロイ
ビジネスへの影響を最小限に抑える
4. 内製or外注(保守体制)
4-1. 内製保守のメリット・デメリット
メリット: モデルやデータ更新を自社内でスピーディに対応可能
デメリット: 日常的に監視や修正を行う人材&予算が必要。AI専門部署を設けるほどの覚悟がいる
4-2. 外注保守のメリット・デメリット
メリット: ベンダーが最新情報を常にチェックしながらモデル更新してくれる。
デメリット: 仕様変更のたびにベンダーと調整コストがかかる。SLA(サービスレベルアグリーメント)をどう設定するかが重要
どちらにせよ、定期的なモデルアップデートとフィードバックサイクルを回す構想を事前に決めておかないと、リリース後に陥る「バージョン古いまま放置」「いつのまにか使われなくなる」問題に直面しやすいです。
5. まとめ:導入後こそ“アジャイル運用”で高品質を維持
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技術の進化に追随
数か月で新モデルや新手法が出るので、モデル更新を継続的に行う体制が必要
業務要件の変化に柔軟対応
新商品・新組織に合わせて学習データやプロンプトを更新しないと精度が下がる
監視・ハルシネーション対策
ダッシュボードやアラートで常にAIの動作を見守り、問題があれば保守スプリントで即対応
内製or外注
内製: リソース確保が大変だが、社内でスピード感をもって変化に対応できる
外注: ベンダーの専門家がアップデートをリード。ただし仕様変更時のコストを考慮
これにて連載5回の最終回となります。ここまで、設計→開発→保守の流れをアジャイル前提で見てきました。最初から最後まで“短いスプリントで反復”し続ける開発&運用スタイルこそが、常に進化するAIの世界にマッチすると私は感じています。
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本連載(全5回)を通して、アジャイル体制と内製/外注のバランスがAIエージェント導入を大きく左右する、という視点をお伝えしました。これからも企業DXの前線で、AIと業務の融合がどんどん進んでいくはず。ぜひ皆さんの取り組みの参考になれば幸いです!