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【第1逃】漫画逃避行録: 『あげくの果てのカノン』

こんばんは、ゆんピピです。だんだん暖かくなってきましたね。春の訪れを日々感じています。

さて記念すべき第1逃目では私の大好きな『あげくの果てのカノン』という作品をみなさんにご紹介したいと思います。

※以下、1巻までのネタバレを含みます。

話の内容は一言でいうと「SF×一途すぎる想い」です。

物語の舞台、メインキャラクター、あらすじ、感想の順で載せているので、ぜひご一読ください!

舞台

舞台は「ゼリー」と呼ばれる地球外生命体の侵略を受け、破壊された東京です。この世界には地上と地下に居住地があり、ゼリーの襲撃時には地上民は地下に避難します。登場人物の台詞から、地下には富裕層が住んでいることが伺えます。

メインキャラクター

高月 かのん
主人公の高月かのんは23歳、地上に住むフリーターです。彼女は高校時代にフラれた先輩・境宗介に今もなお恋心を抱き続けています。そのため境の勤め先から近い地上のパティスリーで働き、彼の来店を密かに期待しています。
かのんは所謂「好きなものを突き詰めたい」タイプの人間で、それは彼女の長所といえるでしょう。しかし短所は長所の裏に潜むものです。かのんには境とのやりとりを録音し、家で何度も再生するほどのストーカー気質があります。
このストーカー気質は作品に一種の気持ち悪さを付与しています。

ちなみに私は気持ちの悪い一面のある登場人物は物語で予想外なことをしてくれる場合が多く、みていてハラハラするため大好きですよ。✌️

境 宗介
境は異生物駆除部隊(SLC)というエリート集団の戦闘員であり、地上でゼリー撃退にあたっています。大学時代から付き合っていた初穂と結婚し、初穂もまたSLCの一員です。
境は「秀才」「イケメン」「美人な奥さん持ちの既婚者」「ゼリー撃退のヒーロー!」など誰もが羨む肩書きを持っており、周りからの信頼も厚く、ファンも多くいます。

正直な話、こんなハイスペックな彼をみていても面白くはないだろうと思われる方もいらっしゃるのではないのでしょうか。しかし彼は本当にみていて飽きない、面白い人なのです。その理由は、ずばり彼が少しずつ変わってしまうからです。

実はSLCは傷ついた戦闘員の身体を修繕する技術を保有しています。その素晴らしい技術を使用することで、例え腕や脚を失ったとしても元に戻すことができます。ただ修繕には1つ欠点があります。その副作用によって身体や内面に変化が生じてしまうのです。

境は妻・初穂に対して一途で誠実な人間です。かのんの想いが届くことは決してないでしょう。

しかしもし彼の内面に副作用が影響してしまっていたら…?

あらすじ

主人公高月かのんは、高校時代から恋心を抱く境宗介と勤め先のパティスリーで再会します。まぶしい境先輩。絶対に私を選ばない境先輩。それでも大好きな境先輩。偶然の恩恵を取り逃さないよう、「どうか、この気持ちがバレていませんように」と、かのんは密かに願います。
ある日かのんは境から誕生日を一緒に過ごそうと誘われます。彼女はお誘いの合理的な理由を探しながらも、本心ではもちろん舞い上がります。結局境の仕事の都合で一緒に過ごすことは叶いませんでしたが、別日に2人きりでご飯を食べることになりました。境と2人で話しながら、かのんはこのような感動をおぼえます。「私、今、すごくない?」。
2人の距離は徐々に縮まっているように見えますが、現実はそう上手くはいきません。変化していく境先輩、奥さん、不倫、友人、家族、世間体。この全てをどう乗り越えて、かのんは境先輩とどのような結末を迎えるのでしょうか。

感想

恋愛を取り扱った作品の面白いところは、キャラクターの心が剥き出しになっているところだと私は思います。中でもこの作品はキャラクターの心の反応や葛藤がリアルで、特にかのんは彼女の気質から心の声が多いのが特徴的です。
心情が描かれた作品は読んでいて「人には言わないけど共感できるな」というものや、「私はここまでは考えないな」と思うものがあり、作品を読みながら自分のことも学べている気がします。
このような心が剥き出しになった作品に適した、決してスタイリッシュとはいえない角張ったオノマトペや、美しいものをみた時の目のきらめきの描写もお気に入りです。

かのんがあげくの果てに行き着いた答えは一体何なのか、その一途すぎる想いの行く末が気になった方はぜひ作品を手に取ってみてはいかがでしょうか。

さて課題は、、明日やるか。
以上、ゆんピピでした!🐥

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参考文献
1. 米代恭『あげくの果てのカノン』小学館、2015年 - 2018年、全5巻。
2. ウィキペディア「あげくの果てのカノン」[https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%92%E3%81%8F%E3%81%AE%E6%9E%9C%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%8E%E3%83%B3]2024年4月4日閲覧。

画像
1. 米代恭『あげくの果てのカノン』小学館、2016年、1巻表紙。

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