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島暮らしの同志だった


久しぶりに友人にイライラした出来事があった。



その友人は同じ島に住んでて職場が別の同い年。
出会いは海外滞在中で、大学卒業後に同じ島で働くことがわかって意気投合し、海外での別れから半年後に島で再開するという運命的な出会いをしたと私は思っている。


お互い外向き思考で、話す話題は旅行(特に海外の話)とか、将来どうなりたいかみたいなことが多い。
具体性にも現実味にもお互い欠けてるけど、確定してない未来に心膨らませるのが心地よいと思う。




その友達と初めて旅行に行く予定をたてていた。
今いる島から別の離島へ2泊3日で過ごす予定で、レンタカーとか宿もごはん屋さんも準備してた。



もうあとは行くだけ!の5日前ぐらいに、
滞在2日目に台風が直撃するという予報があった。


島に台風が来たときの被害、安全確保、生活維持の大変さは1年半住んでよくわかっている。



休暇の日数も限られてるので延泊になるのは無しだし、台風の進路を気にかけながら旅行は楽しめないと思うタイプなので、私はもうこの時点で旅行へのモチベーションは低下した。
リスケを提案したいと思った。



台風のことを友人に連絡すると向こうは知らなかったようで、しかも私より全然楽観的だった。
2泊は無理でも1泊でも行きたいね、という返信が返ってきた。
私は予想外だったし、2人の意見が逆なことに頭が痛かった。




お互いの気持ちは文面だけではわからない部分もあると思い、少し電話する時間を取って話した。



私は1泊なら正直行くのがもったいないからリスケしたいと伝えた。
その友人は人に遠慮しがちなところがあるので、私だけが一方方向に意見を言うだけにならないように気を遣った。
友人にどうしたいか聞くと、リスケはせず元の日程で旅行に行きたいという答えだった。




台風が来るかもしれない中で旅行を延期したい人ととにかく行きたい人という正反対の構図。



話せる時間も限られてるし、もとの日付も迫っているので、私はとにかく結論を出したかった。
電話する前から色々なリスクを考えて私が妥協できる折衷案は用意してたので、それでいこうと押し切った。



リスケしたい私ととにかく出かけたい友人の折衷案は、もともとの旅先ではない別の離島へ1泊するものだった。



旅行したくなくなった私が1泊するのはだいぶ譲ったと自分で思っていた。
友人は初めの離島にいくことをこだわっていたが、どうしても台風の心配が拭えないのでそれは私の中で許容できなかった。
変えた行き先の離島も2泊すると帰れるか怪しい状況なので1泊。




台風の予報はコロコロと変わるので、自分で折衷したもののそれも正直完全に腑に落ちた訳ではなかった。
むしろとにかく出かけたい友人に私が合わせてあげたという気持ちが強かった。




最低限のフライトと宿泊先を決めて電話は終わった。




通話後も当日まで少し日数があったので何通かやりとりしていた。
もともとレンタカーに乗る予定だったので変更先ではどうしようかと友人に聞いた。
友人は借りてもいいし、現地のバス使ったり徒歩でも良いよ、とのことではっきりしない返信だった。
友人は本当にどっちも良いと思ってくれてるんだろうけど、決めたい私はイライラしていた。





もう行くと決まったから行くけど正直全然乗り気じゃなかった。
こんなネガティブな気持ちの自分が嫌だった。


その友人に行きたくないとは言えないので、職場の先輩に旅行前日のランチ休憩中に愚痴を聞いてもらってた。
友達との旅行って難しいよねぇ、って共感してくれて、とにかく美味しいもの食べといで、と言ってもらった。



その言葉をもとに、普段食べないもの食べるのが旅行だから、と気持ちをなんとか整えて当日を迎えることにした。





当日会ってしまえば、移動中も普段通り会話していた。
もともとの旅行じゃなくなって残念だね、というようなネガティブもお互い発することなく、いつも通りだった。



変更先の離島に到着して、空港から市街地までの市バスに乗った中の会話で友人が、
「あと半年ぐらいで島去ると思うとあっという間だろうね」と言った。



はっとした。




今年の夏が始まる頃「もう今年でお互いここで過ごす夏は最後になるだろうから島生活楽しもう」という話をした。
だから今しかできない経験とか場所に一緒に行こうと言っていた。
その内の1つがもともと行く予定だった島への旅行だった。



ここで私はようやく今回友人がとにかく旅行したい派だったのが腑に落ちた。



私は台風に影響される中で旅行に行きたいその子の気持ちがわからなかった。
行く前から天気も良くないとわかってるのになんで、と思ってた。



私が正直行きたくないと思ってた気持ちは友人には隠したし、向こうも私に思うところはあったかもしれないけど、
良い意味で今回の折衷旅行についてはお互い本音は晒さなかったと思っている。


だだ、さっきの友人の言葉が私を納得に導いてくれたので、それ以降は予想以上にのんびりとした時間を過ごした。
往路で気づかせてもらえて良かった。




旅行が終わり空港に返ってきて別れるタイミングで私は友人に、
「行き先が変わっても行けてよかった」と言った。



友人に伝えることが、旅行前に行きたくないとネガティブになっていた過去の自分へに対するせめてもの反省の念だった。







旅行に行ってみないとわからないことがあると言うけどそれを身に染みて実感した出来事になった。


お互い意見が違うだけでどちらも悪くなく、台風のせいで予定が崩れただけなのに、ここ1週間で感情のエネルギーを沢山使った。


意見が合わなくてイライラしてた旅行前の自分はどうしようもなかったけど、帰ってきて腑に落ちたならもういいや。



普段私は人に寛容で、違いを違いとして受け入れられるタイプだと思っている。
今回は久々に自分と異なる意見の人を受け入れられなかった。



人となにかを一緒にする時間って難しいなぁと思う。


でも、それでも、
共有する相手がいることで楽しさが2倍になったり、美味しい料理がますます美味しくなるという幸せがあることを私は知っている。




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