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【怪談】ベンチで待ってる

スナック嬢Aさん20代女性から聞いたお話し。

数年前に、体験談ない?と聞いたら教えてくれたエピソード。

Aさんは母親と高校卒業したばかりの弟と暮らしていたそうだが、つい最近その母親が再婚し現在は継父の家で4人で住んでいるそうだ。

しかしAさんは継父と折り合いが合わず、現在のスナック勤めというのもあり夜中しか家に帰らなかった。
本当は帰らずとも行く場所や泊まるところなんてのもあったが、可愛い弟の顔を見たいがためなるべくその家に帰るようにしていた。

ある日、夜中に家に帰ると弟が起きており神妙な顔で話しかけて来た。

「姉ちゃん、ここ幽霊いるかも。」

Aさんは、何を馬鹿な事をと言ったが、弟が「こっちきて」と居間から出てすぐの階段へ向かった。

なーにー?と着いて行くと、弟は「見える?」と階段の上、二階の方を指差した。

すると二階廊下の照明で逆光になってはいるが、間違いなく男が立ってこちらを見ている。

その黒い人影は微動だにせず階下のAさんらを見下ろしている。

Aさんは弟に「え、友達?」と聞くと、彼は焦燥した様子で首を横に振り「幽霊…」と言った。

Aさんはすぐに弟の手を掴みリビングに駆け込んだ。
アンタ何言ってんの?!マジで言ってる?!
弟にそのように問いただすと彼は
「ね?いたでしょ?いるんだって。幽霊」
と半笑いのような恐怖でひきつっているような不思議な表情で答えた。
するとAさんはその弟の奥、リビングのソファに人が座ってるのを見つけた。

お母さん?継父?いずれにせよこの幽霊をみせないと!なんとかしてもらわないと!と思い、弟を軽く押してソファに駆け寄ろうとした。

が、座っていたのは知らない男性だった。
ハッキリとは覚えてないが、弟と同じくらいの年齢の男性で、ソファに項垂れて座っていた。

Aさんはそれから目を離す事なく弟に問いかけた。

「…と…友達?」

Aさんの後ろにいた弟は少し間が空いた後、「姉ちゃんやばいやばい違う違う逃げよう」と震える声で答えた。

するとリビングの隣の寝室で寝ていた母親が「A、帰って来たの?」と、起きてきた。
そして2人を見た後ソファに目をやると「お友達?」とAさんらに聞いた。
固まっている2人とソファに項垂れた青年を母親はキョロキョロと見返していたが、Aさんが「違うって…」と答えると一瞬ののち「ぎゃ〜っ!!」という大絶叫とともに玄関へ駆け出した。
それを合図にAさんと弟も絶叫しながら母親の後を追って走った。


3人は玄関から駆け出ると人気の無い路地を一目散に走った。
とはいうものの、母親は寝起きでしかも履き物さえ履いていなかったため10mも走ると「もう限界…!」と立ち止まってしまった。

母親は息を切らせながら
「はぁ、はぁ、や…やっぱいたのねあの家…」
と呟いた。
母親も何かそういったモノに心当たりがあったようだった。

2人は放心しながら肩を揺らす母親を見つめていた。

この家から出ると、すぐに公園があるのだがそこの道路沿いに自販機とベンチがある。

3人は息を整えながら、なんとなくその自販機の灯りを見つめていた。
が、その灯りに照らされたベンチに誰かが座っているのが見えた。

ソファに座っていた青年がこちらを見ていた。


うぎゃぁあ〜!と3人は悲鳴をあげて違う道を一目散に走った。


コンビニに着いた3人は継父に電話をして迎えに来てもらったそうだ。


っていうのが昨日の話し〜!と聞かせてもらった。

Aさんとは会ってないのでその後どうなったかはわからない。


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