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【怪談】「キモ」「クサ」「ウザ」
Aさん20代女性から聞いたお話。
短い不思議なお話。
Aさんが19歳位の頃、夕食を終えて自分の部屋でヘッドホンをしながら動画サイトを見ていたそうだ。
ダラーッと頬杖でも付いてノートパソコンを眺めていたそうだが、突然、後ろから左胸をギュッと掴まれたそうだ。
「えっ!」とすぐさまヘッドホンを取りながら振り向いた。
が、誰もいなかった。
両親は下の階にいるし、姉は一人暮らし。いやその誰かがいたとしてもチチなんか揉まんやろ。何だったんや。
気のせいか、胸付近の筋肉が軽く痙攣でもしたのかな?と特に気にせずノートパソコンに向きなおしヘッドホンをすると動画サイトの視聴を続けた。
それから数十分後、また後ろから胸を揉まれた。
しかも今度は2回。それは最初のようにギュッと掴まれるようではなく、優しくムニムニッと。
Aさんはまた振り向いて確認したが、やはり誰もいなかった。
Aさんは幽霊の類だと確信したそうだ。
しかもエロい幽霊。
こちらからは見えないのを良い事に、勝手にチチを揉んでくる不届きなやつ。
Aさんはカーッと怒りが一瞬湧いたが、すぐに冷静になった。
こちらが何も出来ないのを良い事にエロい事をするような奴、生きていたらどんな奴だろう。
きっと非モテの陰キャでキモくて臭いオッサンに違いない。
そう思うと、そのチチ揉み霊を軽蔑出来た。恐怖など微塵も無い。
Aさんは、はぁ~~~、とクソデカ溜息をつくと、誰もいない自室を眺めながら
「キッモ、クッサ、死ねば良いのに。キモオヤジとかマジないわ。
死んでまで迷惑とかほんとウザすぎてコッチ死んでまうわ。」
と最大限の侮蔑を込めて呟いた。
すぐさまノートパソコンに向きなおし動画サイトを観ながら、ずっと小声で
「キモ」「クサ」「ウザ」などを呟いていた。
それから、仮称キモ-クサ-ウザ-チチ揉みオヤジ霊は現れなかったそうだ。