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【怪談】足跡

Yさん40代男性から聞いたお話。


Yさんは雪国住まいで、冬になると積もる雪の量がすごい。

朝目覚めて玄関を出ると敷地内にのっそりと20~30cmほどの積雪があるというのはザラだ。


ある日まだ暗い早朝に、雪かきをする為に玄関を出た。

その日も20cmほど積もっており辺り一面まだ誰も歩いた跡や車が通った跡もない。

Yさんはウンザリしながら家の周りの除雪を始めた。

30分ほど除雪作業をして、家の裏の除雪もしようと雪かきのヘラを持って家の裏に回った。


すると、家の裏に足跡があった。

それは、ちょうど寝室の窓を覗いているように立っていた足跡であり、Yさんは不審者の仕業だと思ったそうだ。

カーテンを引いている寝室の窓の前に立って何を見ていたのか、そう考えると不気味さと恐怖で少し震えた。

そうだ、今日は雪が降って積もり、まだ誰の足跡も無い。

この足跡を追っていけば犯人の手がかりになるかもしれない。

そう思ったYさんはその足跡を追ってみることにした。


が、その足跡はすぐに途切れていた。

何にも無い、庭で。


家の裏は塀で囲まれた庭になっており、ただ砂利を敷いているだけの広場だ。天気が良い日は置いてある物干し台で洗濯物を乾かし、夏は家族や友人とバーベキューをしたり冬はスノーダンプで家の周りの雪をそこに集めておいたりする、車も乗り入れできない、植木の1つも無いただの庭だ。


足跡はまるで、その庭に突如現れて7~8歩ほど歩いて窓を覗き込み、そのまま消えたかのようだった。


窓に近づいた足跡はあるものの、窓から離れた足跡もないのだ。


Yさんはワケがわからずどうしようもなかった。

それを見つけてから、Yさんは意識して見るようにしたところ、数週間に一度の頻度で同じような足跡があった。

特に身内に不幸があったとか曰わくがある土地とかでは無かったので無視しており、もう慣れたと話していた。


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Yさんからこの話を聞かせて頂いたのはもう10年ほど前であり、もうYさんとも接点が無い為に現在はどうなっているかわからない。

ただ気になるのは、冬で積雪があるから足跡でわかるだけで、春夏秋のように足跡のように痕跡が残らない季節も覗かれていたのではないだろうかという事だ。

そして、窓から立ち去る足跡が無いのではなく、そのまま窓を通り抜けて寝室に侵入していたのではないだろうか。

だとすれば、ソレは一体何の目的で現れていたのだろうか。


今となっては知る由も無い不思議なお話。

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