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PM10時の着信

朝起きたら、会社用の携帯に1本の着信が入っていた。
掛かってきた時間は、午後10時。
着信の番号は、電話帳に登録していない。

お客様だろうか。いや、でもこんな時間に電話わざわざ掛けてくるか。
もしかして、何か苦情だろうか。
それとも単なる間違い電話か、迷惑電話か。

会社用の携帯にかかってくる電話は、正直怖い。
どうしようという気持ちで、胃がきゅっとなる。

とりあえず、会社のデータベースで調べよう。
自分で自分を落ち着かせながら調べてみると、着信主は、退職した先輩社員だった。

その先輩には、とてもよく声を掛けてもらい、気にかけてもらっていた。
当時、住宅の営業をしていたのだが、元々ネガティブ思考で正直向いてないと自分でも思っていた。
何度かあった、本当に気持ちが滅入っていた時に話をしてくれたのが、この先輩だった。

私とは真逆なポジティブで、誰よりも大きな声で事務所に入ってくるような人。
普段は賑やかだけど、大事な話は真剣に話をしてくれた。

その後私が転勤になり、最後は会って言葉を伝えることができずに、ずっと悔いが残っていたのだ。

「お〜!元気してるかー!飲みで話が出たから電話かけたんだよ。今見たら、電話したことなんて、すっかり忘れてたわ!」
折り返しの電話をしたら、こんな返答。何とも先輩らしい。

そして今度ランチの約束をして、電話を切った。
ランチの約束も、今度行こうで終わらせず、じゃあいついつねと日にちを決めてくれるところも、素敵だなと思った。

ランチでは、どんな話ができるだろう。
とりあえず、あの時のお礼をしっかり伝えるんだ。
まだ日にちはあるが、その日までまた毎日頑張ろう。

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