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非日常を求めて

ここ数年銭湯が好きでたまに家族で出かける。

片道1時間圏内で行ける日帰り入浴施設や、温泉の日帰り入浴など
その時によって様々だ。
下の子も温泉を楽しめるようになり
毎日カラスの行水だったのが嘘のように
ゆっくりお湯に入れるようになった。

昔は、旅は好きだが、銭湯や温泉にそこまで魅力を感じていなかった。
人がいると落ち着かないのと、
なんとなく人が入ったお湯に抵抗があって
貸し切り風呂や秘湯と呼ばれるような
人がいないところは入るが、
あとは部屋のお風呂にさえ入ることができれば満足だった。


でも、下の子も幼稚園になりある程度
落ち着いて入れるようになり
この年になったからなのか
ここ数年は、好んで銭湯や近場の温泉に向かう。

人がいてもお湯に入っている間はまったく気にならない。
露天風呂に行き、湯気が立ち込める中
足早に湯に向かい、足先から身体を沈める。
きゅっと縮こまっていた身体が一気にほぐれていく。

細胞一つ一つが自由だ~!と叫びながら
駆け回っているような感じがする。

落ち着いてくると
湯気の間から夜空が見える。
少し手を動かすと夜の灯りで
お湯がとろっと光り月明りのように
美しい。

水音も耳に心地よい。
まわりは全然目に入らない。
リラックスできるからか
五感が研ぎ澄まされて
思考の歯車がなめらかに回転する。
最近アイディアが浮かぶのはもっぱら銭湯だ。

このリラックスと高揚感はそう。
旅情だ。
旅先で夜立ち寄る高速のサービスエリア。
子どもたちが寝静まった静かな車内。
知らない道を歩く足元の軽さ。
旅先だから話せる、旅先の出会い。
小さな祠や何百年も前の杉の木に
木のうろに。

非日常の空間でしか出会えない
研ぎ澄まされた高揚感と
蓋をしている自分の好きという感覚。
特別な感覚。
それが私にとっての「旅情」の感覚だ。


銭湯は今旅情の特別感
非日常の空間を与えてくれる場所だ。

なかなか、遠出や宿泊も難しいけれど
こうして旅情を感じる時間があるのは
とても幸せだ。

旅情は、安心した居場所があるからこそ
感じられるもの。
この感覚を守るためにはこの1年頑張らなければいけない。

やっぱり結論はここに行きつく。
非日常が際立つのは、日常が安定しているから。

1年の正念場。
湯舟から出て寒さできゅっと身を引き締めた感覚を持って
ついでに、このたるみきった腹も一緒に引き締めつつ
明日から進もうと思う。




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じゅり
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