ロシアから三行半を突きつけられた日本
※ 2023年8月5日の記事です
8月4日、ロシア外務省は日本政府に対し3つの声明を出した。
一つ目は、関東軍731細菌部隊に関する機密文書の件。1930年から1940年にかけて大日本帝国が行った侵略の責任を全面的に認めるように日本政府に示唆したもの。
日本語 https://t.me/rusembjp/11717
原文 https://t.me/rusembjp/11719
次に、「反露デー」について。
右翼勢力は、毎年8月9日にロシア大使館前で執拗なデモを行っている。ロシアは日本政府が直接関与していると抗議、このようなロシアに対する「精神的攻撃」を止めるよう要請している。
日本語 https://t.me/rusembjp/11721
原文 https://t.me/rusembjp/11723
ロシアが、この示威行動を「精神的攻撃」と受け止めていることに注目したい。これは、ロシアに対するヘイト、集団ストーカー行為であると明確に訴えている。
しかし、マスコミはこの箇所を見事にスルーし、ロシアが威嚇しているような印象操作をしている。
ロシア報道官、大使館前デモは「日本政府が直接関与」主張 侵略行為に「一生かけ悔い改めるべき」(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュースロシア外務省のザハロワ情報局長が2023年8月2日の記者会見で、8月9日に日本のロシア公館前で抗議活動が計画されているとして、「集会の黙認や失地回復論者的なレトリックをやめるべき」だと主張した。
最後、三つ目の声明は、領土問題に関するもの。
ロシア外務省は、「南クリル諸島(北方領土)は、第二次世界大戦の結果、ロシア連邦の不可分の一部となっている」と表明し、今後、「この点に関する日本政府による一切の抗議を、内政干渉を試み、国連憲章の基本原則を侵害するものとみなす」との立場を明確にした。
日本語と原文
https://t.me/rusembjp/11725
このように、日本はロシア外務省から連続でダメ出しを食らったが、ロシアがこれほどまでに厳しい態度を取ったことはなかった。
ロシア政府は、日本からの経済制裁を受けながらも、昨年4月に起きた知床沖観光船沈没事故の遺品のリュックザックを律儀に送り届け、8月6日の「広島原爆の日」には、広島市が平和記念式典への招待を見送るという非礼をしたにもかかわらず、ガルージン駐日大使(当時)は例年通り、平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花した。
日本政府は完全にロシアを敵に回したが、ここで批判対象となっているのは、あくまで日本の「政治エスタブリッシュメント」であり、一般の日本国民ではないようだ。わざわざこれを強調しているところも、日本の一般人に対するロシアの気遣いが感じられる。
とは言え、ロシアが突然、理由もなく日本政府に対する態度を硬化させたわけではない。
なんとロシア外務省の声明に先立ち、日本の国会議員らはロシアにテロリストと認定され汚職事件で国際手配されている犯罪者イリヤ・ポノマリョフを衆議院に招待し、ロシアの政権転覆、および解体について協議していたというから驚きだ。
日テレによると、イリヤ・ポノマリョフは「ロシアの反体制派」とのことだが、この人物は、2016年からキエフに在住、19年にウクライナ国籍を取得している。
ロシアにしてみれば完全に敵国のスパイ「外国エージェント」なわけで、このような人物を公に招待した日本政府はロシアを挑発して何がしたいのだろうか。第三国が「日本は終了なので、こうやって解体しよう」と勝手に協議しているところを想像してみてほしい。
以下、日テレのYouTubeサイトから引用。
【ロシア反体制派ら来日】「プーチン政権後のロシア」都内でフォーラム開催「プーチン政権後のロシア」を話し合うフォーラムが1日、都内で開かれ、来日中のロシアの反体制派らが参加しました。この動画の記事を読む>https://news.ntv.co.jp/category/international/ab7a915850f44eccae650ac980e1483d1日、衆議院第一議員会館で...
「プーチン政権後のロシア」を話し合うフォーラムが1日、都内で開かれ、来日中のロシアの反体制派らが参加しました。
1日、衆議院第一議員会館で開かれた「ロシア後の自由な民族フォーラム」は「プーチン政権の次」を見据え、新たな国家像や少数民族地域の分離独立などを話し合うものです。
会議にあわせ、ロシア国外で活動する反体制派や少数民族の独立派組織代表らが来日し、国会議員や有識者らと意見を交わしました。
「ロシア自由軍団」政治部門幹部 イリヤ・ポノマリョフ氏
「今、ロシア連邦がある領土に1年後に何があるかわかりません。1つの国か、たくさんの国になるかは、すべてあの領土に住む民族が決めるでしょう。将来についての話し合いは今行われるべきです。ロシアの変化を待つべきではない。それ(変化)はもうまもなく起きるからです」
ウクライナ側にたち活動する武装組織「ロシア自由軍団」幹部で元ロシア下院議員のポノマリョフ氏は、プーチン政権の崩壊は近いとして、新たなロシア国家と日本の平和条約について話し合いをはじめるべきだと指摘しました。
一方、少数民族の独立派組織の出席者は、ロシアで少数民族が「あらゆるレベルで深刻な差別にあっている」「多くは全滅寸前だ」と窮状を訴えました。
その上で、プーチン氏を排除してもロシアの覇権主義は変わらず、新たな紛争を防ぐにはロシアを解体し数十の国に分割するしかないなどと主張しました。 (2023年8月1日放送)
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性懲りもなく、例によって、少数民族・自由・民主を持ち出してくるのには辟易する。
昨年3月、国会でゼレンスキーの演説が行われた。全身ウクライナカラーで登場した山東昭子参議院議長の「閣下!」という掛け声と議員たちのスタンディングオベーションで、日本が全体主義に向かっていることを寒々しく理解したが、今回のヤラセは度を越している。日本政府は日本の国益を無視し、過度に隣国ロシアを挑発することで外患誘致を行っている。
【ご参考】イリヤ・ポノマリョフについて
日本語版のウィキペディアは、西側の視点なので、趣向を変えて以下、ロシア語版ウィキペディアを日本語に機械翻訳した内容を載せます。
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イリヤ・ウラジミロヴィチ・ポノマリョフ(1975年8月6日、ソ連邦モスクワ生まれ)は、2014年から亡命生活を送っているロシアとウクライナの政治家である。
第5回および第6回会期におけるロシア下院議員、公正ロシア党、左翼戦線評議会のメンバーであった。
2014年3月20日、クリミア併合手続きへの不満を理由にただ一人反対票を投じた。 2014年6月18日にロシアを出国し、その後2年間米国に滞在。
2015年4月7日、ロシア下院は検事総長の要請を受けて、スコルコボ財団横領事件の捜査のためポノマリョフの議員免責特権を剥奪し、2015年10月16日には被疑者不在での逮捕に同意した。
ロシア連邦捜査委員会はこの政治家に対する刑事訴訟を開始し、ロシアへの引き渡しを求めている。 2015年7月17日、モスクワ市裁判所は被疑者不在でポノマリョフを国際指名手配した。
2016年6月10日、下院は、30暦日以上の本会議欠席を含む職務不履行を理由にポノマリョフの議員権を剥奪した。
2016年6月24日、ウクライナの一時滞在許可権を取得した。 2019年5月17日、ポロシェンコ・ウクライナ大統領は退陣直前、ポノマリョフにウクライナ国籍を付与する法令に署名した。
現在キエフ在住、彼自身の言葉によれば、キエフでウクライナへの投資誘致に取り組んでいるという。