ゆくえしれずつれづれ 「Wish/」レビュー
こんにちは、じゅんやです。note初投稿です。
「だつりょく系げきじょう系」をコンセプトに掲げる4人組アーティスト
ゆくえしれずつれづれ
2020年8月26日(水)キャリア3枚目、及び現体制初のフルアルバム
『paradox soar』の発売を記念(?)して、
発売前にMVが公開されたリードトラック「Wish/」のレビュー記事を公開させていただきます。
本作品の所感としては、映像・サウンド共に、スクリーモ、ポストハードコア、ヴィジュアル系など、ゆくえしれずつれづれのバックボーンが今までよりも積極的に押し出された作品だと感じました。
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【ゆくえしれずつれづれ "Wish/" Official MusicVideo】
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=もくじ=
1. ゆくえしれずつれづれ とは
2. 「Wish/」レビュー:映像・衣装編
3. 「Wish/」レビュー:楽曲編
4. 終わりに
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1. ゆくえしれずつれづれ とは
そもそもゆくえしれずつれづれとは何者なのか、ご存知でない方のために、軽くアーティスト紹介を書かせていただきます。
ゆくえしれずつれづれ
【メンバー】
まれ・A・小町(まれえーこまち)
メイユイメイ
个喆 (こてつ)
たかりたから
写真:ゆくえしれずつれづれ 公式サイトより。左から、まれ・A・小町、メイユイメイ、たかりたから、个喆。
2015年、「だつりょく系げきじょう系」をコンセプトに、コドモメンタルINC.にて結成、及び同事務所所属。
メンバーチェンジを経て、2018年2月3日(日)全国8都市9公演ワンマンツアー「Unethical Tour」渋谷GARRET udagawa公演より、現在の体制にて活動。
邦楽に寄せたキャッチーで普遍的なアプローチを軸に、主に1990年代〜2000年代前後の、スクリーモ / 叙情系・激情系ハードコア / ヴィジュアル系などの多様なジャンルを取り込んだ、激しいサウンドと繊細な世界観が特徴。
*また、上記メンバーに加えて、
Guitar: 岡村耕介(SHIFT_CONTROL / ぜんぶ君のせいだ。 / the unknown forecast)
Bass: 藍(afloat storage / マオエニア<support>)
Drums: 小室響(été)
以上3名の楽器隊アーティストも、適宜活動に参加しています。
*ライブでは、通常の「オケセット(歌+オフボーカル音源)」と異なる「バンドセット(歌+オフボーカル音源+生演奏)」の公演時には楽器隊の演奏が行われますが、「Wish/」MV映像、及び現在実施中のツアー「Overdestrudo Tour」のバンドセット公演から、現在のメンバー+現在の楽器隊のメンバー構成となりました。
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2. 「Wish/」レビュー:衣装編
それでは本題に入りまして、まずは「Wish/」の映像について。
このMV映像では、衣装が特に特徴的かと思います。
映像の合間に挟まれる白とボタニカル柄を基調とした衣装は、アーティスト写真やライブ等で使われているメインの衣装です。
そして今回のMV衣装について。ボーダー柄のダメージニットに、ネックレス、ベルト等の装飾が特徴的です。
写真:「Wish/」MVより。
こちらの衣装は、1990年代後半〜2000年代のヴィジュアル系カルチャーやゴシックパンクなどのファッションとかなり類似しているように思われます(「バンギャ ファッション」「ゴシックパンク」などで画像検索すると近い印象の画像が出てきます)。
ゆくえしれずつれづれやコドモメンタルINC.のバックボーンとして少なからずヴィジュアル系が含まれていることや、「ボーダー柄」の「ダメージニット」がそうしたカルチャー内でポピュラーだったことから、このMV衣装はおそらく上記カルチャーからの借用である可能性が高いと思われます。
*余談ですが、2000年代にアメリカを中心に盛り上がった所謂スクリーモ / ポストハードコアファンの間で流行したカルチャーを表す「EMO BOY」(及び現在のリバイバル的発展系の音楽ジャンル「EMO Trap」)のファッションにもボーダー柄のトップスがしばしば取り入れられることがあります。こちらにも音楽性含めてゆくえしれずつれづれとの共通点と取れそうな部分があるのですが、上述の内容と比べるとこじつけ感があるので割愛させていただきます。
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3.「Wish/」レビュー:楽曲編
それでは楽曲について。
冒頭で少し触れましたが、今作「Wish/」では、ゆくえしれずつれづれの音楽性のバックボーンが今までの作品よりもさらに強く前面に押し出されている印象を受けました。
ここではその参考資料と言っては何ですが、「Wish/」のバックボーンを思わせる、「スクリーモ / ポストハードコア」「激情系ハードコア」「叙情系ハードコア」といったジャンルの楽曲を3曲挙げてレビューしてみたいと思います(全てYouTubeやApple Music、Spotify等各種配信サービスでも聴くことができます)。
(*一応「これパクリやん!」とか言って晒しあげるような意図は全くないです。あくまでいちリスナーの、ルーツや制作背景への共感・共鳴・リスペクトとしてご紹介させていただきます)
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冒頭は静かなピアノパートから始まり、一転、ギターの強烈なハーモニクスとリフがその静寂を破るように幕を開けます。
その攻撃的なリフや繊細な世界観は、AlesanaやSaosinといった2000年代式スクリーモの黎明期を担うアーティストを思わせるものがあります。
サウンド的にこの曲なんかは比較としてすごくわかりやすいと思います。
【Alesana - This Is Usually The Part Where People Scream】
*また、同バンドの1stアルバム収録「Apology」という曲は前半のシャウトが個人的に个喆と重なるような印象を少し受けたりします。ご興味がありましたらぜひ。
アメリカのスクリーモ / ポストハードコアバンドAlesana(アリセイナ)
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また、「Wish/」に限らず、比較的繊細な演奏をしている部分にスクリームを入れるという対比的な表現は、今やゆくえしれずつれづれのお家芸的手法です。「Wish/」でいえば1サビ後「Tonight, I'll just...」のシャウトパート(「Wish/」MV1:33〜)が印象的です。
直情的なスクリームとバンドサウンドを駆使し、激しくもメランコリックな世界観を表現するアーティストはこれまでにも数多く存在します(もちろん、そうしたサウンドはゆくえしれずつれづれのルーツであるとともに主たる世界観の一つでもあります)。しかし、上述のようなジャンルの文脈において「激しさより繊細さ・華やかさ」、これを後ろの演奏にまで際立たせたアーティストはそれほど多くないと思います。要はシャウト以外は激しくないということですね。
そんな中、こちらのアーティストが「激しさより繊細さ・華やかさ」を体現する稀有な存在なんじゃないかなと思い、「Wish/」に寄せて紹介させていただきます。
「Wish/」及びゆくえしれずつれづれの世界観に共鳴された方なら少なからず響くところはあるのではないでしょうか?
【Øjne - Nel migliore dei mondi possibili】
*同アルバム1曲目「Tredici」もおすすめです。こちらはかなり悲しさが際立った曲で、参考としてはより「わかりやすい」かもしれません。その曲と迷いましたが、聴きやすいのはこっちかもしれないです。
イタリアの激情ハードコアØjne(あえてカタカナで読むなら「オイネ」みたいな感じかも?違ったらすみません。デンマーク語で「Eyes」の意)
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曲紹介は次で最後にしておきましょうか。
「Wish/」、ゆくえしれずつれづれ、ひいてはコドモメンタル所属アーティストを語る上では絶対に外せないバックボーンの一つと言ってもいいかもしれません。ぜひ聴いていただければと思います。
1995年から今に至るまでその名をシーンに轟かせる、日本が誇るポスト・ハードコア、叙情ハードコアの始祖、envy(エンヴィー)です。
【envy “ A faint new world” Official Music Video】
*「スクリーモ」と並列して書いた「ポストハードコア」と区別をつけ、原義に沿った意味合いとして、敢えてここでは「ポスト・ハードコア」と表記していますが、長くなるのでこの辺の話は割愛します。あくまで個人的な区分です。
いかがですか?
皆さんそれぞれのご趣味などにもよるところはあると思うのでどう思われるかはわかりませんが、これがゆくえしれずつれづれやコドモメンタルのルーツの一つだといえば「なるほど」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「Wish/」の曲中でいうと2サビ後(「Wish/」MV2:30〜)なんかが特にその系譜を感じるところだと思います。
スクリームや激しいサウンドの裏でかき鳴らされるギターが感情の高まりを煽ります。こういうサウンド構築は特に日本の叙情系ハードコアなんかで積極的に使われてきていますね。
ゆくえしれずつれづれもその例に漏れず、初期の楽曲からこうした表現技法を「ここぞ」というところで確信犯的に使っています(他の曲では「Phantom Kiss」など、まだまだ数多くありますが割愛します)。
女性グループと侮るなかれ、その実、頗る厳格で硬派な世界観なのです。
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4. 終わりに
はい ようやく終わりですね
息巻いて書いてたらここで4000字弱いってました。ひえ〜
これからもCDレビュー記事などいろいろ投稿してみたいな〜と思ってます。頻繁な更新は難しいかもしれませんがなるべく定期的にやっていければいいなと。
しかし文字数は悩みどころですね。いろいろと語りたい部分が多すぎた故に思い立ったとはいえ、今回1曲(1作品)の話しかしてないのにこの文字数とは…。もうちょいラフな投稿もしていきましょうかね。
今回ご紹介した「Wish/」の収録された新アルバム『paradox soar』のレビューもやりたいところです。まだ作品を噛み砕くのに時間がかかるのでもう少し先になるとは思いますが。
それではありがとうございました
また次の投稿で〜
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P. S.
ゆくえしれずつれづれインタビューと制作陣対談記事が公開されていますので以下にリンクを載せておきます。ものすごく濃密な内容になってますので是非!
新アルバム『paradox soar』、聴きやすい曲も多く、今のゆくえしれずつれづれの良さがとことん詰まった1枚です!ゆくえしれずつれづれをご存知でない方も、この機会に是非お手にとってみてはいかがでしょうか?
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*ゆくえしれずつれづれが表現する“素直な自分”と“互いを繋ぎとめる想い” 現体制初アルバム『paradox soar』インタビュー
*「paradox soar」イマムラ×GESSHI類対談(1)|codomomental | 株式会社コドモメンタル(コドモメンタルINC.)
*「paradox soar」イマムラ×GESSHI類対談(2)|codomomental | 株式会社コドモメンタル(コドモメンタルINC.)