【戦争】『黒い雨』は小説から読むか?映画から観るか?
原爆病の苦しさを描いた
国民的な戦争小説『黒い雨』。
作者は太宰治の師匠・井伏鱒二。
8月が近づくと、
文庫本が本屋さんに並びます。
この小説を読み始めると、
原爆の惨状や焼け野原、
髪の毛がごっそり抜ける描写などを
当然ながら自分の頭で
場面を想像します。
脳内が壮絶な風景でいっぱいに
溢れてしまいます。
これはかなり怖い体験です。
ところで『黒い雨』は
映画にもなりました。
私は先に映画から『黒い雨』に
入ってしまいました。
映画はあえてのモノクロ作品。
監督は今村昌平さん。
公開は1989年。
私は学生時代に劇場で見て、
雨に打たれた人々の体が
徐々に蝕まれる不気味な悲しみに
圧倒され、深く衝撃を受けました。
なので、小説『黒い雨』を
読もうとして開いても、
すぐに頭に映画の人物の怯えた表情や
低く唸るような音楽が浮かぶため、
小説を読む手が止まってしまうのです。
困ったなあ。。。
そんなことが15年くらい続きました。
小説から読んだら
想像力で世にも怖い情景を
作り出してしまうし、
映画を先に観たら、
モノクロの不気味な画面や声が
脳に刻まれる。
井伏鱒二の小説も、
今村昌平の映画も、
とても優れた作品なゆえに、
暗く深い悲しみに包まれる。
小説か映画か、どちらから入るのが、
正解だったのだろう?
ただ、確かなのは、
『黒い雨』を読むか観た人は
一生、原爆の恐ろしさを
忘れることはない!ということです。
もちろん、実際に原爆に遭って
犠牲になった人々のことを
忘れてはいけないですね。