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【文学賞】文学賞に応募する前にリサーチしておくと為になる事は?

文学賞に応募する時に
これだけはマストで研究すると
よいことがあります。
とはいえ、私は20年近く、
マンガ畑にいましたから、
文学畑については、
知り合い編集者の話や
小説家の方との会話から得た
断片にすぎませんが。

もしどこかの文学新人賞に
応募しようと考える時、
大事なのは、
選考委員会のメンバーを
まず把握することです。

たいていは5~7人の
作家がメンバーですね。
その中に、自分の書く小説を
肯定しそうにない作家がいたら
受賞する可能性は低くなります。
逆に、自分の作風と波長が
合いそうな作家がいたら、
そこに応募するのがベスト、
そんな話をしてくれた作家が
いましたが、彼はたしかに
ユーモラスな時代小説で
彼の作品を高く評価する
審査委員はどこだろうと、
しっかり調べ、研究し、
見事、受賞し、デビューしました。

本当は委員会が読む前に、
その出版社の編集者が
「下読み」して数を絞ってから
作家に回すのですが、
そこには「社風」という名の
傾向があります。

どの出版社はどんな傾向か?
どの文学賞はどんな傾向か?
それは、委員会のメンバー次第、
また、時期次第です。
当面は自分が好きな作家、
リスペクトする作家を出している
出版社に応募するのがベスト
でしょうか。

これはあくまで、小手先な
「傾向と対策」ですね。
でも、自分では絶対に
受かりそうもない文学賞に
何年も出し続けるのも、
エネルギーの浪費と考えるなら、
そうした人間くさいレベルでの
小技を使うのも悪くはありません。

そんな事は芸術や表現に
関わろうとする人間として
一番いやだ、と、
小手先をだかつの如く嫌うのも
また生き方として尊い気持ちなので、
審査委員や編集部の傾向を
調べる調べないはもちろん自由です。

最後にちょっとした小話を。
中国人で芥川賞を獲得した
作家で、楊逸さんがいます。
何年もノミネートされながら
なかなか獲得できなかった
芥川賞に、2008年(平成20年)
見事、選ばれました。

後年、2012年、楊逸さんは
日本国籍を取得しましたが、
選考当時は中国籍でした。
彼女はいつ受賞してもおかしく
なかったようですが、彼女の
受賞を必死になって阻止していた
日本の選考委員がいました。
ゴリゴリの右翼・石原慎太郎です。
彼は毎回、彼女の国籍が日本でない
ことに意見し、作品を認めませんでした。
ところが、ある朝、
石原慎太郎が風邪を引いて
選考委員会を急に欠席しました。
その時に芥川賞に選ばれたのが
楊逸さんだったのです。
石原慎太郎がもう数日前から
風邪だったら、風邪も選考当日は
治っていたかもしれません。
その運を引き寄せたのも、やはり
楊逸さんの実力の一部でしょう。

右翼だ、左翼だ、イデオロギーで
文学を評価すべきではない、
この話はそんな基本的な事を
教えてくれるのかもしれません。


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