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【読書】好きな作家の本を鵜呑みにしてませんか?私は太宰を…?汗

以前、読書の記事で
コメントをいただき、
大変勉強になったことが
ありました。

気にいった作家であれ、
なんでも鵜呑みにするのは
危険ですよね?と。

うわ、お気に入り作家、、、
私はけっこう鵜呑みに 
してるかもしれません。

太宰治、小林秀雄、養老孟司。
この人たちが書いた本は
鵜呑み、丸呑みに信じていますね。

太宰治に「惜別」という
作品があります。
私はこれ、好きだし、
名作だと思ってきました。

軍部が戦時下に相応しい
文学作品しか認めない時期。
谷崎潤一郎の「細雪」さえ
富豪の家の女性たちの話は
華美でけしからん!と
検閲でアウトになった時代。

太宰は、中国人独立の父、
孫文が学生時代、
日本に留学しながら、
日本人の先生の指導や
友人からの影響から
祖国愛に目覚め、中国に帰ってく、
そんな話を書きました。

日本軍部としては
中国独立の父・孫文を
主人公にしてることは
受け入れがたいはず。

でも、沢山の日本人が
孫文を目覚めさせていく
という構成は、日本賛美であり、
軍の検閲部も認めたようです。

孫文の人間としての成長は
日本のおかげだったんだと。

太宰は軍部をうまく
出し抜いたんだなあ。
谷崎すら筆をおいていた戦時下に、
太宰は、
軍部検閲をくぐり抜けるため
この話を書いたんでしょう。

しかも、敵国・中国の
独立の父を主人公にするとは
かなり危ない橋を渡ってますね。

と、まあ、呑気な私は
そんな風に太宰を肯定的に
読んでいました。

でも、最近知ったのですが、
太平洋戦争も敗戦になり、
戦後、作家や評論家が
活発に活動し始めるなかで、
改めてこの「惜別」が読まれると、
この作品はなんだ?
孫文は日本が育てたんだとも
解釈ができるじゃないか、
軍部におもねる
けしからん作品じゃないか?と、
非難が集まったんだそうです。

そうかあ。
あれは確かに、そうも読めるかあ。
でも、必ずしもそうでなく
孫文の青春時代を、
特に日本にいた時期を
フィクションも加えて書いた
ユニークな作品で、
面白いんですよね。

孫文を主人公にした段階で
軍部に媚びていないように
思うんですがねえ。

ただ、孫文を人間として
立派に成長させたのは
宮城の医学校にいた先生や友人たち、
というのが、戦後日本の思想界では、
デモクラシーとしては、
褒めれた話でなかったということか。

検閲が厳しい戦時下で
検閲を欺くために
太宰が使ったトラップ?だった
のでは?と考えた私は
太宰には甘いのかなあ(汗)。

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