温又柔さんとはなしたこと。写真展「新・小説のふるさと」で。
「新・小説のふるさと」では温又柔さんの『来福の家』から「好去好来歌」をとりあげさせていただいた。ギャラリーで久しぶりにいろいろお話をした。
やはり小説の話になってゆく。「物語る」ということに。物語は常に強い磁力を発揮していて読み手はその世界に取り込まれてしまう。時には著者自身も取り込まれてしまうことや、因果律としての物語、口当たりの良い物語。逆に序破急の「破」ばかりやってしまうことなどなど。そして、温さんは写真展を見てこんな感想を残してくれた。
それぞれの小説の数枚の写真を見ていると、まるで自分が旅をしているかのような気になる。でも自分が読んだことにある小説があると、この写真達があらわしている何かと、自分がそれを読んだときに感じた内なるものとの違いが呼応しはじめる。内と外とが葛藤して生まれるこの違和感の快感と不快感がおもしろいと。
小説の読み方は人それぞれだが、そのときに感じた、考えたことの大小さまざまな共感と違いは何をもたらすのか。共感と違和感は単純に好きと嫌いというわけではない。価値があるとか価値がないとか、簡単にいいかえるのではなく、その本質に自分が直面する、勇気と余裕。そういう、適度な間合いをもてる空間としてこの展示が成立していたなら良かったと少しうぬぼれた。
*本日10/12と10/13のリコーイメージングスクエア新宿での「新・小説のふるさと」展は台風19号の影響で臨時休廊しております。10/14(月)は10時30分~16時まで開廊いたします。
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