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【ロック名盤100】#43 Yes - Close to the Edge

 今回紹介するのは、イエスが1972年9月にリリースした「Close to the Edge」(邦題は「危機」)だ。ドラマーであるビル・ブルーフォードの在籍期間最後にリリースされたアルバムであり、商業的成功も果たした。本作はプログレ期イエスの最高傑作として広く評価されている。
 イエスはもともと技巧的なプレーが要求される傾向にあるプログレのジャンルのなかでも超絶技巧がとりわけ目立つバンド。ボーカルのジョン・アンダーソン、ギターのスティーヴ・ハウ、キーボードのリック・ウェイクマン、ベースのクリス・スクワイア、ドラムのビル・ブルーフォードという、並べただけでも凄いラインナップ。本作でもそれぞれのパートのプレイを聴き分けてみるだけでかなり楽しめるテクニカルな演奏がたくさん詰まっている。なんなら複雑すぎるほどだ。

1 Close to the Edge
2 And You and I
3 Siberian Khatru

 実のところこのアルバムには3曲しかない。曲数だけ見ればもはやEPみたいなものだが、ちゃんとアルバムの合計時間は40分弱ほどある。1曲1曲の長さがとてつもなく長いというのもあり、表題曲なんて18分ある。これもプログレバンド、イエスならではのことかもしれない。
 表題曲「クローズ・トゥ・ザ・エッジ」がアルバムの片面全体を占めており、4つの楽章で構成されている。クラシック方面から影響を受けたというのも納得がいく壮大さと難解さ。メンバー各々の演奏もスーパー。複雑だが、「Close to the edge, down by the river~」の部分など、耳に残るメロディも多くある。2曲目の「アンド・ユー・アンド・アイ」はフォーク風の仕上がり、3曲目の「シベリアン・カートゥル」は比較的ストレートなロック風の仕上がり。3曲(表題曲の4部構成も考えれば6つ)のキャラ分けがはっきりしていて、間延びせずやりきってくれる。
 こうしてプログレの名盤にいくつか触れてみたところ、イエスの「危機」がなかでも煌びやかで壮大な印象を抱いた。やっぱり難解だし理解するまでには時間がかかるかもしれないが、咀嚼しきったころには感心するような演奏の瞬間も多い。こんなアルバムがめちゃくちゃ売れた時代というのも羨ましいものだ。
 この企画でプログレのアルバムを取り扱うのは今回が最後。100枚ロックの名盤を紹介するとして惜しくもこぼれてしまったエマーソン・レイク&パーマーやジェネシスなどにも派生してみてほしい。

↓「クローズ・トゥ・ザ・エッジ」

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