【ロック名盤100】#48 Creedence Clearwater Revival - Willy and the Poor Boys
今回紹介するのは、クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルが1969年10月にリリースした「Willy and the Poor Boys」だ。ルーツ・ロック系でも特に人気、影響共に絶大なバンドである彼らは略称「CCR」として今も多くのリスナーに親しまれている。
CCRはスワンプ・ロックというジャンルを発展させたアーティストとして評価された。抽象化させればロカビリーやルーツ・ミュージックとブラック・ミュージックの融合、みたいなもの。同時にサザン・ロックの最初期アーティストともみなされており、たしかにオールマン・ブラザーズ・バンドらとお互い影響を受け合っていそうな音楽性。メンバーでいうと、やっぱりこのバンドで注目すべきなのはギターボーカルと作曲を担当するジョン・フォガティ。この1年だけでヒットを何個も生み出している稀代のソングメイカーだろう。聴きやすくアガる曲を作れるし、ギターも声も最高にカッコいい。
シングルヒットが強みであったCCRも本作をコンセプトアルバムに仕立てようという構想はあったらしいが、頓挫したようだ。ただメドレーとして繋がっている部分が見られる。
1 Down on the Corner
2 It Came Out of the Sky
3 Cotton Fields
4 Poorboy Shuffle
5 Feelin’ Blue
6 Fortunate Son
7 Don’t Look Now (It Ain’t You or Me)
8 The Midnight Special
9 Side o’ the Road
10 Effigy
カリプソっぽいリズムで展開されるグルーヴが最高にノれる「ダウン・オン・ザ・コーナー」で始まり、アルバムの最初から上々の気分で入ることができる。この曲はシングルB面でリリースされ、満を持してA面にプレスされたのがCCRの代表曲「フォーチュネイト・サン」。間違いなく本作のハイライトだろう。アメリカ合衆国に対する抗議をうたったプロテスト・ソングであり、リリースされるやいなやベトナム反戦運動のテーマ曲として取り上げられるようになった。CCRのみならずロック全体でもかなり重要な楽曲だ。やはりジョン・フォガティのシャウトが最高。
ロックリスナーにもよく知られるブルースマン、レッド・ベリーのヴァージョンでよく知られるトラディショナル・ソング「ミッドナイト・スペシャル」のカヴァーにも注目すべきだろう。後半からのブルース・ロックの解釈が面白い。アルバムの最後は「エフィジー」で締め括られるが、後半のギターソロの凄まじさといったら。ジョン・フォガティばっかり褒めてしまって他のメンバーには申し訳ないけど、やっぱりさすがです。
このアルバム、そしてCCRは現代でも幅広く支持されている。ルーツを踏襲したシンプルなロックバンドであってもだ。それはやっぱり曲のパワーがあってこそだし、実際サブスクでも再生回数はかなり多い。「フォーチュネイト・サン」のような、今なお強い影響力を持つ作品が多くあるのでアルバム全体でもぜひ聴いてみることをおすすめする。珠玉の内容だ。
↓「フォーチュネイト・サン」