【ロック名盤100】#17 The Who - Who’s Next
今回紹介するのは、ザ・フーが1971年8月にリリースした「Who’s Next」だ。ザ・フーの5枚目のオリジナルアルバムにして最高傑作との呼び声高い名盤だ。前年に発表したライヴ盤「ライヴ・アット・リーズ」で見せたヘヴィなサウンドをスタジオで突き詰めて完成させた極めてハードな内容だといえるだろう。
本作の特徴的なサウンドのひとつに、シンセサイザーとシーケンサーの導入が挙げられる。純然たるハードロックでありながらも、近未来的でプログレッシブな音色を印象付けさせることに成功している。当初本作はピート・タウンゼントの主導で「トミー」を超えるロック・オペラ、「ライフハウス」として構想されていたが、計画は頓挫。そのことからピート・タウンゼントは「妥協と挫折の副産物」としてひどくこのアルバムを嫌っていたのだとか。
1 Baba O’Riley
2 Bargain
3 Love Ain’t for Keeping
4 My Wife
5 The Song is Over
6 Getting in Tune
7 Going Mobile
8 Behind Blue Eyes
9 Won’t Get Fooled Again
印象的で近未来感のあるイントロから始まり、そこから無限に展開されていく壮大なロック・アンセム「ババ・オライリィ」は必聴の大名曲だろう。1曲目の5分間で圧倒されたあと畳み掛ける「バーゲン」「ラヴ・エイント・フォー・キーピング」「マイ・ワイフ」がとにかくたまらない。僕が本作で1番好きなナンバーは他でもないこの「マイ・ワイフ」なのだけれども、作曲はジョン・エントウィッスル。本作で唯一ピート・タウンゼント以外のメンバーが書いた曲である。
アルバムはピート・タウンゼントの作品の中でも屈指の名バラード「ビハインド・ブルー・アイズ」によって最もローテンションな瞬間を迎え、最後の曲「ウォント・ゲット・フールド・アゲイン」に入る。8分半に及ぶザ・フーの4人によるエンジンMAXのハードロックは圧巻だ。
本作を聴いたら次におすすめできるザ・フーの作品のひとつに「ライブ・アット・リーズ」がある。冒頭にも書いたように本作の音楽的な方向性のきっかけにもなったハードなライヴ盤である。やはりザ・フーにはスタジオアルバムでは表現しきれないパフォーマンス能力というものもひとつの要素である。
どんなジャンルにも変幻自在に対応するどころか引っ張ってみせるザ・フーは、ハードロックでもそれをやってのけた。ハードロックの名盤という括りには、ツェッペリンやディープ・パープルの作品などに並びこの「フーズ・ネクスト」もあるということを忘れてはいけない。
↓「ババ・オライリィ」