【ロック名盤100】#51 Allman Brothers Band - At Fillmore East
今回紹介するのは、オールマン・ブラザーズ・バンドが1971年7月にリリースしたライヴアルバム「At Fillmore East」だ。僕が執筆しているnoteのマガジンであるこの「ロック名盤100」の#51———シリーズの後半戦の最初の記事を飾るのはシリーズ唯一のライヴアルバム。まず評価がとてつもなく高いのもあるし、名盤のなかでライヴアルバムを紹介するならジャムや即興演奏が魅力のバンドを取り上げるべきだと思ったから。#32で紹介したクリームの「ホイールズ・オブ・ファイア」も半分はライヴ盤だけど。
デレク・アンド・ザ・ドミノスの名盤「レイラ」(#33)でのエリック・クラプトンとの共演などでも有名なギタリスト、デュアン・オールマンとその弟にしてキーボード・ボーカルのグレッグ・オールマンが中心人物。「オールマン・ブラザーズ」はそのままの意味である。もうひとりの中心人物であるギタリストのディッキー・ベッツやブッチ・トラックス、ジェイ・ジョハニー・ヨハンソンによるツインドラムも見逃せない。このバンドはサザン・ロックやブルース・ロックの金字塔として親しまれている。彼らの演奏の腕は並のものではなく、実力を持ったプレイヤー達の即興演奏が多いに楽しめる内容となっているのが本作。録音はフィルモア・イーストで3日にわたり行われた。
1 Statesboro Blues
2 Done Somebody Wrong
3 Stormy Monday
4 You Don’t Love Me
5 Hot ‘Lanta
6 In Memory of Elizabeth Reed
7 Whipping Post
1曲目「ステイツボロ・ブルース」はタイトル通りストレートなブルース。だがブルースというものは直球なアプローチであるほど演奏者の腕がわかる。やっぱり特にギターがかっこいい。デュアン・オールマンとベッツのコンビ、やっぱり最高。というか彼らのギターは全曲かっこいいので、今更野暮だったかもしれない。しかしかっこいい、唸るほど。
ジャズ的なニュアンスがお洒落な「ストーミー・マンデー」やリフが耳に残る「ユー・ドント・ラヴ・ミー」も好き。だがやはり1番凄まじいのは13分間ある「イン・メモリー・オブ・エリザベス・リード」と23分間ある「ウィッピング・ポスト」だと思う。本作の真髄はジャムにあると誇示せんとばかりの圧巻のパフォーマンス。最後の「ウィッピング・ポスト」が終わったころにはあなたはレコードプレイヤーを前にしてスタンディングオベーション。
泥臭いブルースとジャム演奏のようで、現代でこれを参照するアーティストもまだまだいるんじゃないか。新世代3大ギタリスト(かなり前の話だけど)のデレク・トラックスもデュアン・オールマンのスライドギターから多大な影響を受けているし。聴衆としてライヴを楽しむだけでなくプレイヤーの学びにもなる、強い影響力を持った名盤だと思う。
↓「ウィッピング・ポスト」