【ロック名盤100】#27 The Jimi Hendrix Experience - Electric Ladyland
今回紹介するのは、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスが1968年10月にリリースした2枚組にしてエクスペリエンスのラストアルバム「Electric Ladyland」だ。ジミヘンの最高傑作との呼び声が高いが、内部ではいざこざがあったらしい。これまでの2枚のアルバムをプロデュースしていたチャス・チャンドラーが制作途中にプロデューサーを降り、ベーシストのノエル・レディングもセッションに参加する機会は減ってきていた。そのためベースはジミヘンがほとんどの曲を担当したとされている。
サイケデリック・ロックの金字塔?ハード・ロック黎明期の名盤?特定のジャンルには当て嵌め難い。「ジミ・ヘンドリックス」としか表現することのできない世界観だ。ロック、ブルース、R&B、ソウル、ファンクなどを始めとした幅広いジャンルをブレンドして溜め込んだ創造力をジミのギターの超絶技巧を用いて吐き出しきった、そうして出来上がったのが本作だと思う。
1 ...And the Gods Made Love
2 Have You Ever Been
(To Electric Ladyland)
3 Crosstown Traffic
4 Voodoo Chile
5 Little Miss Strange
6 Long Hot Summer Night
7 Come On (Let the Good Times Roll)
8 Gypsy Eyes
9 Burning of the Midnight Lamp
10 Rainy Day, Dream Away
11 1983... (A Merman I Should Turn to Be)
12 Moon, Turn the Tides...Gently Gently Away
13 Still Raining, Still Dreaming
14 House Burning Down
15 All Along the Watchtower
16 Voodoo Child (Slight Return)
僕が1番好きな曲は快調なR&B「クロスタウン・トラフィック」。ファンキーだし、1968年の曲とは思えない新鮮さがすごい。のべ15分間あるブルース・ジャム「ヴードゥー・チャイル」は全身全霊を懸けたジミのパフォーマンスに圧倒される。カラフルなサイケデリア「バーニング・オブ・ザ・ミッドナイト・ランプ」もいいし、ジミの代表曲「ヴードゥー・チャイルド (スライト・リターン)」はギタリストが思う「カッコいい」を詰め込んだような名曲である。
しかし本作で何としても語るべきなのは他でもない「オール・アロング・ザ・ウォッチタワー」だろう。この曲はボブ・ディランのカヴァーだが、こちらのヴァージョンの方が圧倒的に有名。ディランの曲にジミのアレンジによるギターが乗るだなんて、カッコよくないわけがない。最も重要なロックソングのひとつだ。
本当に凄まじい。ジミの創造力が限界まで発揮された名盤だ。どこかの本であった記述のひとつに、「『エレクトリック・レディランド』でジミヘンはギター1本で宇宙を描ききった」という一節があったが、その通りだと思う。このサウンドは、ジミの作品でしか、「エレクトリック・レディランド」でしか聴けない独自の世界なのである。
↓「オール・アロング・ザ・ウォッチタワー」