【ロック名盤100】#42 Pink Floyd - The Wall
今回紹介するのは、ピンク・フロイドが1979年11月にリリースした2枚組アルバム「The Wall」だ。以前取り上げたザ・フーの「トミー」で確立された「ロック・オペラ」という様式を踏襲したアルバムである。ピンク・フロイド———そしてプログレの傑作として評価されているが、2枚組だし大袈裟で気取りすぎだとも言われるしでピンク・フロイドの入門編には向かないかもしれない。だがポップな曲が多いことも事実だし一概には言えないこともまた事実。なんにせよこれだけ評価されるくらいには楽しめるアルバムなのは間違いない。
ロジャー・ウォーターズ独裁時代の傑作。コンセプトの発想もやはり彼のもので、自身と元メンバーであるシド・バレットをモデルとしたロックスター、ピンクが主人公というもの。ざっくり言えば、彼が経験した様々なトラウマや苦悩の末に精神的に隔てた「壁」について描かれた内容となっている。タイトルの「ザ・ウォール」もそういうこと。
1 In the Flesh?
2 The Thin Ice
3 Another Brick in the Wall (Part 1)
4 The Happiest Days of Our Lives
5 Another Brick in the Wall (Part 2)
6 Mother
7 Goodbye Blue Sky
8 Empty Spaces
9 Young Lust
10 One of My Turns
11 Don't Leave Me Now
12 Another Brick in the Wall (Part 3)
13 Goodbye Cruel World
14 Hey You
15 Is There Anybody Out There?
16 Nobody Home
17 Vera
18 Bring the Boys Back Home
19 Comfortably Numb
20 The Show Must Go On
21 In the Flesh
22 Run Like Hell
23 Waiting for the Worms
24 Stop
25 The Trial
26 Outside the Wall
3部構成の「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」のパート2のバージョンは、ピンク・フロイド最大のヒット曲。それもそのはず、当時流行していたディスコビートを取り入れたから。もしかしたらピンク・フロイドのカタログの中でも最もポップな楽曲かも。
だがそんな超ヒット曲を差し置いてこのアルバムで一般的に最も人気なナンバーなのが「コンフォタブリー・ナム」。改めて聴いても圧巻のギターソロだ。ギルモアのこのギタープレイはロック史でも3本の指に入るレベルなのではないか。
本作制作当時はバンド内で苦しい問題も多々あったようだとのことだけど、そうとは思えないくらい完成されたサウンドだ。全編消化するまでには体力を使うかもしれないが、このピンク・フロイドの巨大な傑作を聴き終わったころには賞賛の気持ちで満たされるはずだ。壮大な「ザ・ウォール」の世界に存分に浸ってみてほしい。
↓「コンフォタブリー・ナム」