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保護猫シェルター暮らしが、おわる。

2021年3月14日からはじまった保護猫シェルター暮らしが、おわる。

保護猫にはいろんな猫がいて、抱えている事情も様々。だから、その猫たちに向き合う人間たちも様々なスキルや覚悟が求められます。そんな当たり前のことを、ちょびっと齧ることができた時間でした。

「お利口さん」の僕が、仕事仲間である保護猫団体の現場に身を置けたのは大きい。活動の尊さはもちろん、維持する苦労や苦手なことをより明確に捉えることができたから。

大きなことを言ってしまうと、この時間が保護猫業界を大きく変えていきます。

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「起きないで。」と言ってくるオラフ。

写真は、シェルターに暮らしはじめて、最初に同室になった『オラフ』。シェルターの猫たちは、1匹1匹の食事量や排泄状況を確認するために別々のケージで暮らしています。だから、人間の部屋で暮らしながら他の猫より広いスペースを自由に動けるオラフは、ちょっと特別な存在でもありました。

実はオラフ、トライアル(正式譲渡の前段階)にまで進んだものの、「思ったよりも噛む」という理由で戻ってきた過去を持っていました。

構ってほしい時に出る癖だったのですぐ治りましたが、人間の一方的な理由で猫の幸も不幸も決まってしまうんだと、嫌というほど感じました。(ほどなくして、オラフは素敵な新しい家族と結ばれました)

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母の強さを教えてくれた『デージー』。子猫たちは、『ひまわり』『チューリップ』『もくれん』『クローバー』『しおん』。

これは、暮らしはじめて4日後にシェルターで産まれた仔猫たち。保護した雌猫が身籠っていて、朝気づいたら産まれていたというわけです。

この仔猫たちは無事に産まれてこれましたが、例えば妊娠中に捕獲され不妊手術を受ける場合、お腹の仔を堕胎させる場合もあるんです。捕獲のストレスが原因で流産する場合だってある。

保護猫活動ってお金や肉体労働が大変そうに見えるけど、見えている以上にいろんな葛藤と(生と死に)向き合う、精神労働でもあるんです。

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磁石のようにくっついてくる『ジェリー』。寝起きの敵。

この手を噛んでいる猫は『ジェリー』。一応言っておくと、一切痛くない甘噛みです。彼はFIP(猫伝染性腹膜炎)と呼ばれる難病から寛解した猫で、いまは新しい家族のもとでトライアル中です。

寛解したものの、FIPの治療には莫大なお金がかかります。処方する薬にもよりますが、薬代だけでも総額100万円以上が必要で、診察代などを踏まえると一般的に200万円程度かかる病です。

1匹分でそれですから、万が一感染したら一大事です。だから、感染症対策には万全を期します。シェルターでは、出入りの際に手足の消毒、毎日の床掃除、余裕を持った期間での隔離などを徹底します。

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絶対に添い寝はしてくれない『チコラータ』。

なにも悲しいことや大変なことばかりじゃありません。むしろ、ほとんどの時間が猫との愛によって満たされているから、逆にネガティブなことが目立ってしまうんです。

この写真は、『チコラータ』の"手枕"によって仕事を妨害されている時の様子。あんまり、説明は要りませんね。ええ、幸せです。

幸せなことから、大変なことまで。何がどうなると、何が起きるのか。それに対してどうすればいいのか。

こればっかりは、座学に限界がありますよね。特に、僕らの世代はそこを蔑ろにしがちです。だから、逆に現場で暮らしてみた。

ここで学んだ良いこと悪いことを、これからは全国各地の地域に配っていきますよ。まずは水戸と越谷から。お楽しみに。

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