廃香 【岩泉線押角駅~再訪その2~】
前回からの続きでございます。
美しき残滓
押角峠
昭和5年・・・。
みんな大好き、「山神」の碑。
峠のピーク付近からは、彼方に工事現場が見えました。前回触れた、新しいトンネルの工事でしょう。これほど山深い地にトンネルを通すというのは、さぞ大変な作業であることと存じます。ありがとうございます。
押角駅
遂に到着しました、押角駅。というか、今は押角駅跡。
もしかしたら、(合法的な)何らかのアプローチ手段が見つかるかもしれない。そんな、本当に淡い気持ちを抱きながら、歩を進めてみました。
そこは立派な森の中でした。
さようなら、美しき秘境駅。
駅舎も、ホームも、ありません。しかし、この看板は変わらずにその方角を指し示しておりました。それはなんてノスタルジー。
私有地へ立ち入らないよう気を付けながら、川沿いを歩き、藪を漕ぎ、遺構を探してみることにしました。
対岸にわたり、更なる歩みを進めれば、何かしらありそうでしたが・・・
フル装備で挑まなければなりませぬ。断念。
自然に還った押角
ということで、2010年の初訪問以降、自分の心のどこかにいつもあった秘境駅への憧れは、この日で完全な終焉となりました。
まだ現役であった頃に、何かに引き寄せられるかのように押角駅を訪問出来たことは、今に思うととても幸運なことだったと思います。
当時の自分の写真を振り返ると、げんなりする程下手くそですけれども。
今の自分だったなら、あの秘境感むんむんのプラットホームをどうやって撮るんだろう。
そんな思い(欲望)は結局、哀愁漂う終幕を見せつけられた後も、そのまま自分の心の中に残り続けたのでしたとさ。
マイカーのナビをず~~っと更新していなかったおかげで、ナビ地図にはまだ「押角駅」があることに、この日気付きましたよ(笑)。御覧の通り、その道程はすさまじいんです。そして、国道とほぼ平行して走る今は亡き「岩泉線」の姿が、得体の知れない灰色の感情を揺さぶります。
つづく
最初の訪問は、2010年のことでした。