【祝・合格🎊】初心を胸に、新しいステージへ
令和6年公認会計士試験合格者の皆様、公認会計士試験の合格本当におめでとうございます!
合格に至るまで長きにわたり、様々な努力を継続されてきたことと思います。本当にお疲れさまでした。
このnoteは、てりたまさんが企画した「X会計士界隈から論文式試験合格者の皆さんへのリレーメッセージ」に寄せて投稿させていただいたものです。
年末まで総勢45名(!)の会計士が毎日記事を投稿する企画で、これまでに投稿された皆さんの記事もどれも素晴らしいものでした。お時間があるときに是非読んでみてください。
さて、私は令和4年の公認会計士試験合格者で、令和5年の修了考査に合格し先日公認会計士登録をしたばかりです(経理での実務経験があったため実務補習所を短縮できました)。この企画に参加している中ではおそらく一番直近の合格者であり、合格者の皆さんには一番近い立ち位置ともいえるかもしれません。経験が浅く大したことがいえるわけでもないのですが、だからこそ、監査法人の一スタッフとして、自分のチームに新しく入ってくる後輩へのメッセージのつもりで書いています。
①働くのは大変。監査も大変。
何を当たり前のことをいっているんだという感じなのですが、働くということは大変であり、また監査というのは大変なお仕事です。ただ、大変大変といっていてもどうしようもないですので、何が大変なのか?を自分なりにざっくり分解してみました。
・様々な人とのコミュニケーションが必要になる
至極当然ですが、監査に限らず働く上ではコミュニケーションが重要です。特に監査法人の場合、「所属する部課の中で固定された自分の役割が与えられる」というわけでなく、基本的に日々様々なチームにアサインされて仕事をこなしつつ、自分がメインで関与しているチームの動きにはしっかりアンテナを張っておくといった働き方になるため(人によって多少異なります)、うまくやるためには積極的なコミュニケーションが必要になってきます。一方、受験勉強というのは基本的に孤独なもので、友人との日常的なコミュニケーションは多少あれど「必要に迫られて幅広い人とコミュニケーションを取る」ということはあまりなかったのではないでしょうか。
またクライアントの方々とのコミュニケーションも極めて重要で、おそらくこちらの方が難しいでしょう。専門家として期待される知識・経験を持ち失礼にならないマナーを身に付けた上で、クライアントの方が何を考えているのか?監査チームに何を求めているのか?も考えながらコミュニケーションを取らなくてはいけません。想像力を働かせることが必要ですが、これはかなりレベルが高いことです(ちなみにこれは両方での勤務を経験しての実感ですが、監査法人勤務者と多くの一般事業会社勤務者の間には考え方に大きな違いがあるように思います)。
はじめのうちは、とにかく指示された内容を指示された期限までにしっかりとこなしつつ、適時に進捗報告をする、手待ちになったら指示を仰ぐ、といった動きができれば十分です。その上で徐々に、チームで実施すべきタスクは何で、周りはどういった状況で、では自分のやるべきことは何か?ということを意識し、行動できるようになっていきましょう。そうすると自然と、同じようなことを意識してチームのために動いてくれている人のことも見えてきます。そこで自分も動いたり、あるいは動けなくても感謝を伝えられるだけで特別な関係を作れるかもしれません。周りから「仕事ができる」と思われている人の多くは自然とこれができているのではないでしょうか。
コミュニケーションについては、青い人さんがこのリレーメッセージの中で詳述されております。もし未読でしたら、是非ご一読されることをお勧めします。
・要求される知識がとにかく多い
今日では会計専門家に求められる知識の領域・深度が膨大になっています。会計・監査分野でも毎年新しい基準や法令が公布・施行されそのキャッチアップや対応に追われますし、ITやサステナビリティなど会計の周辺領域でも毎年様々なトピックが打ち出されます。特に周辺領域まで含めてしまうとすべてを把握するということはどだい無理なのですが、専門家として恥ずかしくない程度には把握しておかないといけません。
その上、ある程度の年次になったら自分でチームを運営していかなくてはなりませんし、働き方改革や人手不足への対策、新基準・新技術への対応等々で組織が続々と打ち出してくる新しい施策への対応もしなければなりません。純粋な専門領域以外の手腕(チームマネジメントやプロジェクトマネジメントと呼ばれるものでしょうか)も求められてきます。
・体力
そして、体力的な問題も無視できません。フルタイムで働くとなると基本的に週5日、繁忙期はそれ以上のペースで働くことになります。残業が続くと単純に体力的につらくなってきますし、また精神的に多少しんどくなってきたとしても週の休みは2日しかなく、しばらくゆっくりして回復に努めるというのもなかなか難しいです(ただしマズいと思ったら休むべきです)。
フルタイムで働くことは心配しなくてもじきに慣れるものですが、慣れるまでは大変です。ちなみに1年目の最初の頃は補習所で土日の片方が潰れてしまうことも多く、私は前職があったにもかかわらず会計士として働くって大変だな…と思った記憶あります。
②気を付けてほしいこと
というわけで、働くのは大変で監査も大変です。一番の解決策は慣れることではあるんですが、慣れるには時間が必要ですので、それまでの間はこれを意識しておいた方がいいのではないか?ということを二つ挙げます。どちらも当たり前のことなのですが、なかなかできないことでもあります。
・生活習慣を崩しすぎない
といっても忙しいと難しいのですが(自分も実際怪しいです)、食事は簡単なものでもよいので朝昼夜ちゃんと食べる、毎日最低6時間以上の睡眠時間を確保する、というのは守りましょう。
体力的にこの方が良いというのはもちろんですし、体力的な余裕は精神的な安定にもつながります。
実は私は大学自体に若干メンタルをやってしまいかけていた時期がありまして、当時精神的に負荷がかかる状況ではあったものの、今思えば部活やバイト等で生活リズムが完全に崩壊していたことも原因でした。私の周囲でメンタルをやってしまった人は大体生活習慣がどこかしら乱れていたので、これは結構大事なのでしょう(といってもメンタルがやられてしまうと生活習慣を保つことが難しくなるのも事実で、卵が先か鶏が先かといった話ではありますが……)
・人を頼ること、頼られるようになること
新人のうちはわからないことだらけなのは当たり前なので、積極的に質問をしましょう。特に繁忙期などは先輩方も忙しそうで聞きにくいな……ということも多いかもしれませんが、何でも質問できるのは1年目の特権です。全員がそういった時期を通っているわけですので、ほとんどの人は時間を割いてしっかり教えてくれると思います。むしろ何も質問されない方が心配になります。
新人の動き方として、「5分間は自分で考えてみて、わからなければ聞いてみる」ということはよく言われます。私も基本的にこの通りだと思っているのですが、ものによっては「自分で考えても答えにたどり着くわけがないが人に聞いたら一瞬でわかるもの」もあり、会社や法人のツールの使い方などが典型です。こういったものは迷わずに聞きましょう。そして一度教わったことは忘れないよう、しっかりメモを取ることも重要です(一方、教える側の心構えとしては「何度でも聞いてくれて構わない」と伝えることが大切だと思っているのですが、ここではあまり関係がない話なので割愛します)。
そして1年というのはあっという間に過ぎていくわけですが、今度は頼られるようになりましょう。人に頼られる(物事を頼まれる、相談される、質問される)というのは忙しい時などはまあ確かに負担ではあるのですが、自分自身の勉強になりますし、なにより大きなやりがいを感じることですので、度を越していなければ精神衛生上も良いものです。
といっても、頼られるような仕事ぶりをしていないとなかなかそうはなりませんし、仕事ぶり以外にも「頼りやすい雰囲気」というのも大いにあると思います。もし入所してみて頼りたくなる感じの先輩がいたら、観察して真似してみるのも良いかもしれません。
監査法人の新人の方は、先日リレーメッセージも投稿されているララさんの「監査法人1年目の教科書」がおすすめです。後輩の休職をきっかけに書かれたnoteということで、1年目としての心構え、動き方から実務的なTips、病まないためにできることなど、役立つ内容が詰まっています。
③公認会計士はいいぞ
ということで仕事やら監査やらは大変だぞ、という話をつらつらと書いてきたのですが、それはそれと公認会計士というのは良いものです。
私が資格を取る前、経理として働いていたときと特に大きく違うと感じるのが、以下の三つです。
キャリアの幅が広がる
住む場所、働く場所を選べる
多くの人と交流する機会に恵まれている
キャリアの幅が広がるということは言うまでもないでしょう。資格を活かすのであれば基本的に会計・税務系の仕事がメインにはなるでしょうが、それでも資格なしで経理をやっていた時と比べると遥かに多くの選択肢があります。
また、「住む場所や働く場所を選べる」というのは会計士資格の利点として挙げられることは少ないですが、普通に働いているとこれらを好きに選べるということはあまりありません。勤務地が自分の希望通りになるとは限りませんし、転勤の可能性だってあります。これは特にプライベート面では大きなメリットです。
そして、監査法人や補習所はもちろん、準会員会、会計士協会、会計関連のイベント、Twitter(現X)やnoteなど、会計士業界には様々なコミュニティがあります。前職のときと比べ様々な方々とやり取りをする機会が大幅に増え、大変刺激になっていますし人間的にも成長させてもらっていると感じます。これは会計士試験に合格する前は想像もしていなかったことだったのですが、ひょっとすると会計士試験に合格して一番良かったことかもしれません。
ということで、仕事は大変ではあるものの概ね楽しい毎日を送らせていただいています。「将来どういったキャリアにしよう」という悩みはありますが、数年前の自分からみるとまあ贅沢な悩みをできるようになったものだ、とも思っております。
おわりに
最後に、今しかできないことで是非やっていただきたいことが一つあります。
・初心を記録しておくこと
よねさんのリレーメッセージの中で「45人のnoteを見てあなたの感情が動いた点を書き記しておこう」といった一節がありました。メッセージを読んで心が動いたことに限らず、今ご自身が持っている思い、合格してどう思っているのか、どんな会計士になりたいのか、将来どういった人生を歩みたいのか、といったことをどこかしらに記録して、定期的に見返していただきたいのです。
私も新卒で働きはじめたころから、その時々の思いと将来どうなりたいか、そのためにどういう行動をしていくかを定期的に記録しているノートを持っています。少ししんどくなったとき、将来どうしようかと迷いが生じたときなどにお酒を飲みながらノートを見返し、加筆するということをやっています。
初心というのは日々を過ごしているうちに忘れてしまうものです。日常が大きく変わり、仕事に補習所に遊びに忙しくなり、ともすればなぜ自分が働いているのか?なぜ会計士を目指したのか?人生どうしよう?宇宙とは?真実の愛とは?などと思いを馳せてしまうこうともあるでしょう。そういったときに、あのときはこう思っていて、こんな将来を思い描いていた、ということは確かな指針になるものです。
真理はだいたい初心にあります。
・まとめ
ということで、今までのメッセージを簡単にまとめると以下の通りになります。
働くのは大変、監査も大変
最低限の生活習慣を維持しよう(特にはじめは)
人に頼り、頼られよう
初心を記録しておこう
公認会計士はいいぞ
長々と書きましたが、まずは難関試験に合格されたことについて胸を張り、繁忙期と一年目を無事に乗り切って新生活を楽しみながら、一緒に業界を大いに盛り上げていきましょう。
お忙しい中ここまでお読みいただきありがとうございました。
本当におめでとうございます!
明日は開示さんからのメッセージです。上場企業の経理、監査法人、決算・開示支援というキャリアを歩まれており、日々の投稿を拝見しているとなんでそんな論点に気付くんだ/知っているんだ……?と思ってしまう専門職の鑑のような方です。
豊かなご経験からどういったメッセージを書かれるのか、楽しみにしております!