世界のデザイナー採用をFigma Design Hiring 2022から考察する
こんにちは、グッドパッチの佐宗です。
今日はGoodpatch Design Advent Calendar 2022の5日目ということで、『Figma Design Hiring 2022』をテーマにして世界のデザイナーのトレンドについて考察していきたいと思います。
GoodpatchからもReDesigner DesignDataBook2022 を公開しているので、国内の動向はそちらで読んでください。今年から登録不要のサマリー版も公開しています。
さて、Design Hiring 2022はつい先日Figmaから公開された世界のデザイナー採用に関するレポートです。316社の回答と10社のデプスインタビューに基づく分析結果がまとめられています。
52ページもあるので全ての解説はできませんが、個人的に面白いと感じた部分10個を考察していきたいと思います。
Design Hiring Managerは1/3の時間を採用活動に費やしている
まず衝撃の数字ですね。デザイナーのHiring Managerは1週間の35%を採用活動に充てているというものです。なので、デザイナー採用を効果的にすることは大事、という冒頭ですね。
高まるデザイナーの需要
日本でもデザイナー不足が叫ばれていますが、世界でも同様のようです。
デザイナーの比率は1:10(デザイナー:エンジニア)以上になり、これは2017年から2倍になっています。
43%のHiring Managerは6〜10個のデザイナーポジションを担当しているようです。Goodpatch社内を見ていても確かにこれくらいだろうなとは思います。
84%の回答者はデザインの重要性が2019年より上がっていると回答しており、これはReDesignerで今年発表したデザインの重要性が90%まで高まったこととほぼ同じ数字トレンドになってますね。
これは特に面白い数字だなと思っていて、いわゆるTech業界だけでなく、色んな業界でデザイナーの採用が進んでいるよというスライドです。
主語がTypes of companiesなので、これは業界ごとにデザインチームが拡大した会社の数を示していると思います。
特に小売とヘルスケアにおける増加率が高く、それぞれ約3倍ですね。
確かに日本国内を見ても、ファッションブランド、メーカー、ヘルスケアスタートアップにおけるデザイナー採用は増えていると感じます。
数で言うと金融でも大きく伸びており、日本ではSMBCのデザインチームが「銀行とデザイン」と言う書籍を発刊したのも記憶に新しいですね。金澤さんにいただいて読みましたが、同業種や1人目デザイナーの方にお勧めです。
やはり、世界でもデザイナー採用は難しい
54%の企業が今の経済状況によってデザイナー採用がより困難になると回答しており、15%しか簡単にならないだろう(=引き続き難しいだろう)と読んでいるようです。
経済状況を除いても、プロダクトやサービスの改善、トランスフォーメーションプロジェクト(日本で言うDX)におけるデザイナーのニーズは変わらず高いので、より困難になっていく、と書かれています。
では、どうすればデザイナー採用をより効果的にできるのか?
このパートはとても読み応えがありました。デザイナー採用に困っている人はとても参考になると思います。
特にデザインカルチャーで有名な企業は通常の企業の4.3倍、デザイナーの採用確率が高いそうです。
「私たちの会社はデザインカルチャーで業界に知られている」と言う質問に対して”Strong Agree”している企業の方が4.3倍採用に成功しているという見方です。
この図わかりやすいですねー。デザインカルチャーが提供できる環境と、個人の目指したい成長環境が合わさっているところで働きたいよねと。
例えばGoodpatchだとデザイナーが数百人単位でいるので、社内デザインナレッジの循環がカルチャーですし、それを運営するDesignOpsチームがいて、毎月必ずナレッジパッチと呼ばれる社内勉強会がオンラインで開催されています。
また、専門領域ごとに組織が分かれているので自分の専門を深めやすく、プロジェクトには職種混合でアサインされるので自分の専門を発揮しやすいです。
このようにデザインにプロフェッショナリズムのあるGoodpatchだからこそ、こういった働き方ができる、と言うのもここで書かれている1つのデザインカルチャー事例だと思ったので紹介しました。
デザイナー採用が成功している企業の仕組み
これを見て感じたのは、日本でも各社DesignOps(Design Operations)の役割を組織的に設置する企業が増えてきているなというものです。実際この1年でDesignOps機能を強化している企業は多いと思います。
上に挙げた2つ目のDesign Philosophyに関しては最近Visionalさんが公開したBlend the DESIGNのウェブサイトがめちゃかっこいいので参考になると思います。CDOの田中さんがDesignshipで発表した資料も痺れました。
デザインマネージャーだけでなく、チームメンバーも話すことが大事
これまた面白いデータが出てきたなと思うんですが、デザインマネージャー(=Leadershipポジションの人)が登壇や発信するのはもちろん大事だが、それと同等にチームメンバーが登壇している企業が採用成功しているというもの。
Leadershipポジションの人しか登壇していない企業は、その量を落とさずに、チームメンバーが登壇する機会を増やすことが良さそうです。
どんな情報を発信すべきか?
採用プロセスでよく候補者に聞かれるのは以下の5つだそうで、それを発信内容に入れようというものです。
ジョブディスクリプションの書き方
ここでは従来の採用要件を書くのはもう限界だから、求人には以下の質問への回答を書こうというものです。
これは日本においては絶妙なラインだなと感じまして、もちろんこれらは書くべきなんですが、そもそもデジタル分野のデザイナーのマッチングが難しい日本で採用要件をすっ飛ばすと次に繋がらない書類選考や面談が増えるリスクがあると思います。両方書くのが無難だと思います。(でも文章量・・)
デザイナーの年収アップは1つの要件にしかすぎない
また面白いデータが出てきました。デザイナーの年収を21%以上上げたと回答した企業の中で、43%が採用成功しているものの、22%の企業は採用できていないようです。
ここからわかることは年収提示はもちろん影響は与えるが、年収を上げれば採用できるかというとそうではない、ということですね。
マッチするデザイナーを探す方法
結構当たり前のことですが、3つ紹介されています。2のChat over the coffeeは海外の文化だと思いますが、自分も海外でデザインチームにアポイントメントを取るときはよくOver the coffee chatでした。
そして、以下の図を見て結局どこも同じだなと思ったのですが、やはりマネージャークラス、シニアクラスは全然見つからないが、ジュニア向け求人をオープンするとめっちゃ応募があるそうです。デザインマネージャーどこにいるの問題、世界共通ですね。笑
次にBad Newsと書かれてるんですが、やはりたくさんのメッセージを送ることと採用成功はやはり因果関係があるみたいです。やはり都合のいい隠し技は世界でもないようです・・
最後に昨年公開されたFigmaのデザイン組織の作り方のスライドも紹介しておきます。100ページ超えてるので、解説はまたの機会にw
おわりに
ということで、Figma Design Hiring 2022を見てきました。
いやー非常に勉強になりましたね。そして世界も同じくデザイナー採用の課題を抱えているんだな、ということがよくわかりました。
こうやって見ると、デザイナー採用を担当するデザインマネージャーになるのは大変そうだなあ・・という見方もできますが、本当にそうなのか軽く考察して締めたいと思います。
・・と思って書き始めたらめちゃめちゃ長くなったので、これはまたの機会にしますw 要約するとデザインマネジメントとピープルマネジメントは分けれるよねという話です。
世界のデザイナー採用を考察する気づきを与えてくれたFigma Design Hiring 2022に改めて感謝したいと思います。ありがとうございました!
告知
先日Figmaのイベントに行った時に、dely CDOの坪田さんとマネーフォワード CDOのセルジオさんと、ちょうどDesignOpsの話になりまして、来年の1月31日(火)夜に、Goodpatch DesignOps立ち上げの角野と一緒にDesignOpsをテーマにしたオフラインイベントやります。詳細は追って告知します!
また、ReDesignerでは来年、プラットフォームを強化するためにデザイナーが自分の情報をまとめやすく、企業と最適なマッチングを促すサービスをリリース予定です。お楽しみに!
Goodpatch Design Advent Calendar 2022
Goodpatch Engineer Advent Calendar 2022
ReDesigner for Student Advent Calendar 2022
最後まで読んでいただきありがとうございます!