フランスのMBA、HEC Parisに進学します🇫🇷
皆さんこんにちは!佐宗です。
タイトルの通り、この夏からフランスのHEC Paris経営大学院(MBA)へ進学します!
現職のグッドパッチでは、シリーズA直後のワンフロア時代に入社し、事業立ち上げと上場を経て、2部門の責任者を経験させていただきました。
気づいたら8年と4ヶ月働いていました。これまでお世話になった皆さん、本当にありがとうございました。
このnoteでは、海外MBA受験の裏側と、HEC Parisにした理由、そして渡航前の留学コミュニティーについて紹介します。これから受験を考えている人に参考になると幸いです。そして普段お世話になっている方へのメッセージもあるので是非最後まで読んでいただけると嬉しいです!
なぜスタートアップから海外MBAに行くのか?
最初は単純に海外留学に行きたいなあという漠然とした憧れ、関心から来るものでした。経営学部出身ということもあり元から興味を持っていて、海外MBAに行く人生と行かない人生だと、行く人生を選択したい、という単純な理由です。
そこから現職でヨーロッパやアメリカへ出張する中で世界の広さを実感しつつ、ヨーロッパの元同僚や世界を舞台に活躍している友人を見る中で想いが強まっていきました。
そして最終的には以下の理由で海外留学を選びました。
現職のIPOや事業責任者の経験を通じ、数億円規模の事業と組織は作れたが、このままだと一次曲線的な成長になってしまうという危機感
世界と日本の差がついていく中で、世界のトップレベル人材と時間を過ごしてみたかった
30歳を過ぎて改めて自分の価値観や人生の基準をアップデートしたかった
特にデザインスクールとMBAで悩んだのですが、自分のキャリア観として、『Design・Creativeによって企業価値/顧客価値を高められる経営人材になりたい』という方向性があったので、経営をメインに、そういう人材が世界から集まるMBAという環境を選択しました。
なぜHEC Parisにしたのか?
端的に言うとヨーロッパが好きだったからです。笑
知れば知るほど、学校によってカラーが大きく異なります。起業に強いStanford GSB、ソーシャルアントレプレナーに力を入れているOxfordSaid、そしてLuxury Brandingに強いHEC Parisなど。まあまだ行ってないので正直わかりませんが。
各学校を様々な基準でスコアリングしたランキングがあり(Financial Times、 TheEconomist、QS Globalなどが有名どころです)、HEC Parisは常に上位にランクインしています。
魅力的な学校がたくさんある中で、HEC Parisを選んだ理由は次の3つです。
1.Luxury Brandingに強く卒業生が業界トップにいること
みなさんもご存知かもしれませんが、パリには世界大富豪ランキング1位(5/30時点)のベルナールアルノーさん率いるLVMH本社がありますし、 HEC Paris出身のピノーさん率いるKeringもあります。LVMHは1代で企業価値60兆円、Keringも1代で企業価値10兆円と想像すらできない経営手腕です。
HEC Parisは特にLuxury BrandingとLuxury Marketingに強いことで有名で、Keringがクライアントを務める授業(Certification)を受けることができたり、有名ブランドのフランス本社のトップ層には基本的に卒業生がいます。
2.多様性がある環境で座学以外の機会が多いこと
フランス軍隊によるアウトドアリーダーシップ研修、ベルサイユ宮殿でPowerの講義、学期が終わる毎のセーヌ川クルージングパーティー、予算6,000万円の欧州MBA合同の大運動会MBAT(@東京ドーム30個分のHECキャンパスにて開催)などHEC Parisでは一般的な授業に加えてフランスらしい機会がたくさんあります。
他にもクラブ活動があったり、HECのAlumniの機会も多く、実際来週も日比谷でAlumniがあるので参加予定です。
3. デザイン/クリエイティブに強い都市でパートナーと楽しく過ごせること
単身で行くのであればどこでもいいですが、帯同で行く場合はパートナーの生活も大きく変わります。ビザの関係でパートナーは基本的に就労ができなくなるので、生活する環境はとても大事です。
うちの場合は、生活しやすく観光も楽しめる都心部に住む+1年以上という前提で、London Business School・IESE・HEC Parisの3択で、最終的にはHEC単願にしました。学校自体はベルサイユ近郊にあるんですが、住むのはパリにしました。
自分も妻も同じデザイン会社で働いていたので元々Creativeなものが好きでしたし、何と言ってもクリエイティブの先進都市パリに住むことで価値観もアップデートされるはずです。ストライキやパリ特有のカルチャーショックも含めて経験として楽しんできます。笑
幸運にも、日本人オーナーのとても素敵な家と巡り会うことができました。住環境についてはまた渡航後に書きます!
海外MBA受験の全体像
さて、ここからは受験編です。結論としてスコアメイクにめちゃめちゃ苦労しました。。仕事と受験の完全なる二重生活、もう二度とやりたくないです。なるべく実践的なことを書いていきます。
全体スケジュール
受験全体で約2年かかりました。早い人で半年、平均で1年から1年半の人が多いです。
受験に必要なものは以下の通りです。
・TOEFL or IELTS
・GMAT or GRE
・エッセイ
・推薦状
・GPA
・面接
ターニングポイントは入学審査担当官の言葉
自分の場合はターニングポイントはHECの入学審査担当官(Admission)と話したことでした。赤裸々に今のスコアと経歴を伝えたところ、「キミ、ユニークだから出してみてよ!」と言われ出したら通りました。なので後半のスケジュールがギュッとなっています。中の人と話して必要なスコアを見極めること、大事です。
ちなみに受験準備だけで200万円使いました。
周りを見ていると平均150〜200万円くらいで、独学天才タイプで30万円くらいかなと思います。
スコアメイク
このパートがめちゃくちゃ苦労しました。。
要領のいい人はここまでやらないと思いますが、自分の場合は小学受験も中学受験もしなかったので、実際これだけの量をやりました。予備校はPDFがほとんどだったので、実際はこの1.5倍くらいかと思います。
長期留学経験がない人はIELTSかTOEFLで半年はかかると見ておいた方がいいです。自分の所感としてはIELTS7.0を取る方がTOEFL100点を取るより楽でした。同様に110よりも7.5の方が楽だと思います。
GMAT/GREが最難関。文法、読解、クリティカルシンキング、数学に分かれています。早くて3ヶ月、平均半年、小・中学受験していない人は1年かかると見た方がいいです。文系で数学受験してない人は尚更時間かかります。
予備校
仕事で部下との1on1や面接を終えた5分後からオンラインで予備校が始まります。事業の壮大な構想を話した数分後に、予備校で頭を抱えながら講師に泣きつくという日々、想像するだけで滑稽でしょう。笑
お世話になった予備校講師からは「今年の出願は消極的賛成です!」と、コーチングスタイルでNGと言われていたのですが、結果としてこれが起爆剤になりました。
海外MBA界隈には大学受験のような予備校が点在しています。自分がお世話になった予備校はAffinity英語学院とAGOSでした。スコアメイクが前者、エッセイ対策と面接対策が後者です。
AffinityでSC(Sentence Correction)とCR(Critical Reasoning)の基礎を固め、Mathと並行しました。自分の場合はRC(Reading Comprehension)を捨てる戦略でした。とにかく早くMathを安定させることが近道です。また、Affinityでは飯島先生との学習カウンセリングを重ねて、自分の強み弱みの分析、学習の進め方・ペース配分・スケジュールを管理していました。
特にAffinityの飯島先生とAGOSの岡田先生には本当にお世話になりまして、感謝してもしきれないほとです。この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました!お二人との出会いは人生の財産です。
エッセイ
エッセイは短期勝負にしました。
AGOS岡田先生と12回ほどキャリアカウンセリングを重ね、自分のキャリアを棚卸しし、CVとエッセイを作り上げていきました。
特に自分の価値観を深掘りするコーチングや、Short term goalとLong term goalを繋げる構造化が大事でした。アドバイスとしては、予備校はエディターであり、オーナーシップは自分が持つことです。
ちなみにHECの2022年度のエッセイ質問はこんな感じです。(一部のみ、かつ意訳してます)
推薦状
さあ、スコアメイクとエッセイが終わると推薦状に入ります。
多くの学校で2通求められます。学校によってフォーマットが異なるので注意が必要です。
自分の場合は現職の社長と元上司の執行役員に書いてもらいました。快く引き受けていただいたお二人には本当に感謝ですし、こうやって社員の挑戦を後押ししてくれる会社って素敵ですよね。そう思ったそこのあなた、グッドパッチのウェブサイトをぜひご覧ください。
MBA受験プロセスを経て、この推薦状をもらえること自体がギフトだと感じています。強み、弱み、期待を客観的かつ情熱的に書いてもらえる機会なんて人生にそうそう無いです。今でもたまに読み返す財産になっています。土屋さん、ぺんぺんさん、本当にありがとうございます!(土屋さんのnote、ぺんぺんさんのnoteおすすめです)
面接対策
面接対策は近所にある英会話スクールBumbleBee EnglishのJamesにお願いしました。
面接に向けてネイティブとの英会話に慣れること、そしてHECの場合は10分のプレゼンテーションが2回あるので、それの構成やスライドの設計、プレゼンレビューを何回もしてもらいました。
英語とプレゼンに特化し、別途予備校や受験仲間から面接で聞かれる質問集を入手して対策していきました。
ここには毎週1時間、計1年間通いました。なお、合格後の今でもまだ通っていますし、別枠で妻も通っています。プライベートレッスンは自分のようなMBA受験対策にも対応していますし、英語初心者向けのレッスンもあり、教材はJamesがカスタマイズして選んでくれるのもありがたいです。最近は渡航前準備としてMBAのケースやHBRの原文を読んでディスカッションをしています。(なかなかハードです。笑) Thank you James!!
渡航前のMBAコミュニティー
ここで最後です。自分は海外MBAドットコムと呼ばれる留学に行く人たちのコミュニティー活動の今年の幹事をしています。この幹事は毎年メンバーが変わっていく制度で、合格者・渡航前ステータスのメンバー10名ほどで成り立っています。これ立ち上げた人すごい。
先日は今年日本から海外MBAに行く人が100名ほどオフラインで集まったり、今週の日曜も受験生200名向けにイベントを開催予定です。
また、他にもMBA特有の「壮行会」と呼ばれる30社ほどの企業がこれからMBAに留学に行く人に対してサマーインターンシップの案内や、卒業した自社の社員のトークセッションを聞ける機会が存在しています。
お世話になった方へ
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回の渡航に関して、事前に温かく送り出してくれた皆さん、本当にありがとうございました。
直接ご挨拶できなかった皆さんにお伝えしておくと、グッドパッチは退職せず、在学中も引き続きアドバイザリーのような形で携わります。関わり方は大きく変わるとは思いますが、今後ともグッドパッチをよろしくお願いします。
おわりに
ということで、怒涛のMBA受験でした。
働きながらのMBA受験はとても辛く、スコアメイクに大苦戦の裏で、事業が順調に伸びていくという完全なる二重生活でした。
この二重生活を乗り切ることができたのは、なによりも妻と飼い猫のおかげです。学校の面接官に在学中に最もチャレンジングなことは?と聞いた際に「スクールライフと家族との時間の両立」と言われました。
今回の受験生活と仕事の両立を支えてくれた妻と猫への感謝の気持ちを忘れずに、スクールライフと家族との時間を大切に、新しい挑戦を楽しみたいと思います。
ではでは、行ってきます!
Merci Beaucoup~!!🇫🇷✈️
___2023年8月追記
Standfm・Spotify・Appleでポッドキャストを始めました。なるべくリアルなストーリーを発信していくので良かったら聞いてください!
最後まで読んでいただきありがとうございます!