精神覚醒ノ肥後虎 ACT.19「山中ルリ子」
あらすじ
虎美は3台のコペン軍団と遭遇する。
巧みな連携プレーに虎美は苦戦するのだった。
しかし他の自動車部が加勢したことと虎美がある技を使ったことで逆転。 追い抜き順位を上げることに成功する。
裏では自動車部を認めるために始まった学園ナイターレースは2週目に入る。
緩い右S字ば2つ交えた全開区間ば走っていく。
前には山中副会長のSA22C型RX-7がいた。
「ルリ子と勝負するん? 負けんばい! 」
ストレートば4台がアクセル全開で駆け抜ける。
うちら自動車部の方が有利だった。
「追い付かれそうばい。けどコーナーならルリ子の方が上なんよ」
全開区間を終えて、グループホーム乙姫前の左高速ヘアピン。
SA22Cがコーナーでうちらを引き離す。
しかし、再び全開区間に入り距離は再び縮む。
「なかなかやるばい。ルリ子、ここから本気ば出すとよ」
ペンションゆめりんご前にある突き当たりの右ヘアピン。
SA22Cは氷のように冷たいオーラば纏う。
技を発動させるようだ。
「瑠璃色の流星流<石州大太刀>!」
刀ば描くようなドリフトで攻める!
うちらとの距離が離れた。
「副会長、速か」
「相手にしてくれそうな雰囲気ではないわ」
「今までのドライバーより速かばい」
右ヘアピンを抜けると直線が来る。
ここは少し登り坂となっている。
小さくて見えづらいけど、ある副会長の癖ば見つけた。
「副会長のクルマ、フラついとる……」
左右にクルマを蛇行させながら坂道を登とった。
この特徴はバトルの鍵になる。
直線ば抜けて突き当たりの右ヘアピン。
うちと飯田ちゃんには萌葱色のオーラ、ひさちゃんは黄色のオーラを纏う。
3人共、技を使ってペースを上げる体制に入る。
「肥後虎ノ矛流<真空烈速>! 虎虎虎虎虎虎ー!」
「山崎ノ槍柱流<スピニング・ラビット>! ホワホワホワホワホワホワホワ、ホワチャー!」
「儀の蛍流<スライディング・ハンマー>」
うちはかまいたちのような高速ドリフト、飯田ちゃんは限界までのグリップ走行、ひさちゃんはハンマーのようにクルマを振り回したドリフトで攻める。
技を使うことで副会長との距離が縮まった。
直線に入る。
副会長とうちらの距離が少しづつだけど、さら縮まる。
ペンションロワ前の突き当たりの左ヘアピン。
SA22Cのボディに、水のように青いオーラが包まれる。
「中々やるばい! ばってん、ルリ子……また使うばい! 今度は別の技ばい! 瑠璃色の流星流<荒身国行>!」
斬った刀で描くようなドリフトで攻める!
縮まっていたはずの距離が離される!
右寄りの狭いS字。
副会長はうちらをさらに離していく。
しかし……後に全開区間が来て、副会長との距離がさらに縮まる。
全開区間が終わると右寄りのS字が来る。
後半は突き当たりだ。
副会長の方が有利であり、距離が離される。
さらに、突き当たりの左ヘアピンが来る。
副会長がまた引き離す。
「副会長、コーナーが速か……どんどん離されとるばい。やっぱ今までの相手とちゃう!」
離されまくるうちらの顔に焦りが生じる。
突き当たりの右ヘアピン。
焦りから技を発動させるんだった。
エクリプスとSVXには萌葱色のオーラ、ファミリアには黄色のオーラが包まれる。
「肥後虎ノ矛流<真空烈速>!
虎虎虎虎虎虎ー!」
「山崎ノ槍柱流<スピニング・ラビット>
ホワホワホワホワホワホワホワ、ホワチャー!」
「儀の蛍流<スライディング・ハンマー>」
エクリプスはかまいたちのようなドリフト、SVXは限界のグリップ走行、ファミリアはハンマーを振るようなドリフトで攻める。
技を使ったことで距離が縮む。
左高速、右高速、また左ヘアピンといったコーナーが迫り来る。
しかし……コーナーが続くにも関わらず、副会長との距離が離れなかった。
それらの路面には、ある特徴があったからだ。
直線に入る。
副会長との距離はテールトゥノーズになる。
乙姫の上にある月は輝いていた。
「こんままじゃあ、抜かれるばい! 月よ、ルリ子に七難八苦ば与えたまえ! 瑠璃色の流星流<七難八苦>!」
SA22Cのボディを黒いオーラが纏いだす。
突き当たりの右コーナーが来る。
黒いオーラを纏った副会長はここを前以上の速さで攻めていた。
「前よりも速くなっとる!」
「簡単には抜かせようとしないわね」
「抜けんかもしれん」
突如、飯田ちゃんから通信が来る。
「虎美……もし副会長を抜くときは、あなただけが抜いて! 私には無理だわ……」
「なーして敗北宣言しとるん、飯田ちゃん」
「変なタイツで腕を上げた虎美なら、抜けると思うわ」
飯田ちゃんは通信を切った。
突き当たりの右コーナーを抜けると直線が来る。
ここで副会長は水色のオーラを纏う。
「瑠璃色の流星流<不動国行>!」
SA22Cは刀で刺すような立ち上がり加速を見せる。
うちらのほうが有利な直線にも関わらず、離されてしまう。
「加藤さん、さよならばい」
左中速ヘアピンへ入る。
副会長は<七難八苦>を使って上げた操作性で、うちらばさらに離す。
次は右高速ヘアピン、テクニックが上がっている副会長が少し優勢で、距離を離していく。
どんどん離されとるうちは、苛立ちを感じるようになり、右手でハンドルを叩いた。
「どうやったら、ついていけるん?」
ばってん、あるこつに気づいた。
「ここ、登り坂になっとる」
登り坂といえば、副会長がフラついた区間だ。
副会長にはそこで蛇行する癖がある。
ペースが遅くなり、一時コーナー区間でうちらば離せなかったのはそのためだ。
SA22Cの最大トルクが低く、補うために癖が出る。
「副会長は登り坂で遅か……」
癖ば利用すれば……。
「直ドリで使ったる! 肥後虎ノ矛流<真空裂速>! 虎虎虎虎虎虎虎虎虎ー!」
全開区間にも関わらず、高速ドリフトで副会長を追いかける。
作戦は上手く行き、距離は大きく縮んだ。
「どうやってついてきたと!?」
副会長は驚いた顔をする。
SA22Cに接近すると、パワーとトラクションに任せてオーバーテイクする。
「逃がさんたい!」
抜かれても副会長は諦めんつもりだ。
全開区間後の八仙山荘前の右U字ヘアピン。
逆転を狙う副会長はSA22Cは水色のオーラば纏わせる。
「瑠璃色の流星流<石州大太刀>」
刀で斬るようなドリフトで攻める。
うちの方は直後の左中速ヘアピンにて、エクリプスに銀のオーラば纏とわせた。
「肥後虎ノ矛流<片鎌槍>!」
槍で斬りつけるようなドリフトで攻める。
刀と槍、どっちが速い!?
「ルリ子、離される……!」
速いのはは、うちだった。
属性は能力の影響で鉄属性に変化しており、その属性は氷属性に強か。
負けた副会長の技は威力と速さが低下しとる。
さらに右U字ヘアピンの後は登り坂になっとる。
登り坂は副会長のSA22Cが苦手としとる場所だ。
距離がかなり離れる。
「うわー!」
他にも、副会長の<七難八苦>にはドライバーをテクニックを上げる代わりに精神ダメージを大きくする効果があった。
「完全にルリ子の負けばい……ばってん、菊池生徒会長はルリ子より速かよ」
飯田ちゃんから通信が来る。
「副会長を抜いたわね。
後は会長だけよ。
虎美……1位になれば部が認められるわ
頑張って」
通信を切ると、そのままクルマを走らせる。
グレーのケンメリが見えてきた。
菊池生徒会長のクルマだ。
「待ってたとよ、加藤虎美。私ば倒せるばい?」
「あなたば抜いて、1位になるとです!」
例え強敵だと分かっても、生徒会長に挑むとよ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?