精神覚醒ノ肥後虎 ACT.12「このままでいいの?」
精神覚醒ノ肥後虎 act.12「このままでいいの」
前回までのあらすじ
覚は部長決定戦に乱入してきたスタリオンとの勝負に挑んだものの、圧倒的な腕を見せられて敗れてしまう。
次に虎美が挑んだものの、敗北してしまった。
乱入してきたスタリオン乗りの名は、相良玉子と言い、肥後スプリントレースに参加予定の走り屋だった。 彼女に負けた2人は、彼女に勝つために速くなろうと考える。
ちなみに、自動車部の部長は誰に決まったかって言うと……虎美だ。
部長決定戦を終えると、うちらは蛍食堂へ戻ってきた。
そこの3台の派手なランエボが停止している。
沙羅さんと副代表2人組があそこへ立っていた。
うちらはクルマから降り、あの人の元へ向かう。
「沙羅さん、いたんですか?」
「2人の副代表から聞きましたよ。あなたたち、部長決定戦を行ったんですね?」
「部長はうちに決まりましたけど」
「それはもう、知っております。副代表から聞いた話です。実はそのバトルの最中に、乱入されたのですね?」
「これも聞いたのですか? 相良玉子というスタリオン乗りにバトルを挑まれて、負けてしまいました」
「相良玉子という走り屋ですか。全国各地で行われる自動車レースの大会で上位を取っているほどの腕を持っております」
「本当なんですね。バトルの後、彼女は「私の腕には及びません」と言ってきました。今度開催されるスプリントレース、優勝できんかもしれません」
次の沙羅さんたちの言葉を聞くと、耳が重くなった
「今のあなたのままでいいのですか? 今のあなたじゃあ、スプリントレースでは優勝どころか上位に入れません。あなたは走り屋を始めたばかりの初心者です。例え覚醒技を持っていても、初心者がいきなり参加して優勝するなんて無理な話です。優勝したいなら、経験を積んで、腕を上げるべきです」
「私からも言います。色々な人と出会い、勝負してみましょう。そうすれば、経験値を稼げます」
「腕を上げたいときはついてやるぞ。いつでも鍛えてやる」
沙羅さんは今度、飯田ちゃんとひさちゃんの顔に注目する。
「あなたたちは初めましてですよね? わたくしはサラマンダー財団の代表こと竜宮沙羅子と申します」
「私は飯田覚と申します」
「わしは森本ひさ子と申します」
「また会ったらよろしくです。
わたくしたちは帰りますわ」
沙羅さんたちはそれぞれの愛車に乗り込み、帰っていく。
「明日から部長ばよろしくな。ビシビシいくばい!」
「いやあ、頼りない部長は私がフォローするわ。時間が遅いから帰りましょ」
「うちも帰ろうか、じゃあなひさちゃん」
「じゃあね、森本さん」
「おやすみ、また明日たい!」
うちらもそれぞれの車に乗り込み、蛍食堂を後にした。
今日からうちが部長だけど、どんな部長生活が始まるんかな?
日付けは5月11日金曜日。
時間は朝8時20分。
私とSVXは高校に着いたけど……。
「うう……遅いわ! 虎美と森本さん、何してんのよ!」
後の2人を待っていた。
ったく虎美、自動車部の部長の癖に……これじゃあ部長の意味ない!