精神覚醒走女のオオサキ ACT.41「雨原vs戸沢」
あらすじ
熊久保が慌てたのはDUSTWAYとWHITE.U.F.Oの交流戦を知らせるためだった。
それを聞いたオオサキたちは行くと決める。
そしてバトル当日……赤城最速と榛名最速の戦いがやってきた。
まずは前半戦のヒルクライムでサクラが柳田を制す。
後半戦の雨原と戸沢のダウンヒルが始まる。
コース:赤城山下り
雨原芽来夜(FD3S)
VS
戸沢龍(DC5)
あたしが先攻で、戸沢が後攻だ。
後攻を取った戸沢のDC5はすぐヘッドライトを消す。
あたしが戸沢相手に先攻を取ったのを見て、ギャラリーたちはどよめきだす。
「雨原さんが先攻を取っただとォ!?」
「戸沢相手に大丈夫か?」
戸沢といえば、後攻になるとブラインドアタックを使う走り屋だ。
戸沢の走りを知っている走り屋なら、それを対策して後攻を取ることが多い。
オオサキちゃんもその一人だった。
ただし、あたしが先攻を取ったのはある狙いがあるからだ……。
「技を仕掛けてくるのを待っているぜ」
「さて……どこで仕掛けるか」
最初のロングストレートを抜けて、左高速ロングヘアピンに入る。
ここは両者ともグリップ走行で抜けた。
右高速ヘアピンが迫り、その直後には左U字ヘアピンだ。
2つのコーナーではあたしがドリフト走行、戸沢はグリップ走行で攻める。
この後は直線。
465馬力のFDは280馬力のDC5をかーなーり離されると考えられるけど、今回はあまりアクセルを踏まず、序盤は手を抜いて走ることにしている。
直線が終わると右ヘアピンが来る。
ここも前の2つのコーナーと同じ走りで攻める。
「雨原さんがリードしている!」
「バトルは始まったばかりだけど、これからどうなるか分からねぇ!」
ヘアピンを抜けると直線が来る。
ここでもアクセルをあまり踏まず、後ろの戸沢のDC5と同じ速度で走り抜けた。
3連ヘアピンが迫り来る。
ここはあたしがドリフト走行で、戸沢がグリップ走行で抜けていく。
戸沢は今のあたしの走りをこう捉えていた。
「今日の雨原は本気を出していない……」
その通り、本気じゃあない。
だが、このバトルは本気を出さずに勝つつもりだ。
3連続ヘアピンを抜けた後の直線を通り、左U字ヘアピン、右寄りのS字ヘアピン、2連ヘアピンが迫り来る。
それまでのコーナー同様の走行スタイルで攻める。
ここまでは変化は無かったものの、この後の第1高速セクションを抜けた辺りから豹変していく!
第1高速セクションと第2高速セクションを結ぶ、ハンマーヘッドと呼ばれる左突き当たりヘアピンと右U字ヘアピンの複合ヘアピン。
そこに入ると、闇の中の戸沢はついに仕掛ける!
DC5は黒いオーラを纏った!
「ここで仕掛けるぞ!!
WHITE.U.F.O.ミッドナイトドライブ流<消えるミッドナイトドライブ>」
ミラーに写らないほどの死角をつく走りで、あたしを追い抜く!
「戸沢さんが追い抜いた!」
「雨原さんが抜かれたぞ!」
あたしの前へ出るとヘッドライトをつける。
これで抜かれた走り屋は大きな精神ダメージを与えてきて大半は挫けるのだが……
「来たか……」
あたしは待っていた。
こっから逆襲が始まる。