精神覚醒ノ肥後虎 ACT.24 夫婦喧嘩をどうにか
あらすじ
斬鬼郎は赤石火山という男性と遭遇する。
ミドリを探すという点で利害が一致した。
2人が会話している所に彼女がやってくる。
説得してもそれを聞かないので、赤石は力付くで家に帰そうとバトルを挑むものの敗れてしまった。
他の自動車部や斬鬼郎さんと共に再び鎌切家を訪れる。
「昨夜、娘さんを見かけたぞ」
「ありがとうね、見つけてくれて」
「けど戻ってくる気はなかったらしい……」
「やっぱりね……」
1台のクルマの音がしてくる。
エンジン音の正体はランサーエボリューション7だ。
運転手と思われる男性が家に入ってきた。
「赤石!?」
「ストレートロングの君とポニーテールの君とは初対面だったね。私は赤石火山、君たちが探しているミドリとはチーム仲間だよ」
「うちは加藤虎美と申します」
「森本ひさ子と申します」
赤石さんは夫婦に訪ねる。
「私は娘さんのチームメイトです。何度か家に戻ってくるように説得していますが、聞いていただけません。力付くで家に帰そうとバトルを挑みましたけど、負けてしまいました」
「そうなの、ありがとう」
娘を探す赤石さんにお礼を言った後、鎌切の奥さんは豹変した。
「せっかく探してくれるんだから、お礼をしなさいよ」
「分かっているって!」
「2度のその言葉を聞いたけど、伝わっていないわ! 心から感謝しなさいって」
「心からそう思っているよ!」
夫婦はまた喧嘩を始めた。
「はいはい、落ち着いてください! 人前で喧嘩するなんて恥ずかしくなかとですか!?」
「森本さんが耳を塞ぎ出しましたよ!」
「虎美の言う通り、夫婦喧嘩は人前でするもんではないぞ!」
「そんな喧嘩は娘さんが見たらショックを受けますよ」
皆で喧嘩を止めようとした。
「旦那が原因なのよ! 旦那が全て悪いわ」
「なんだよお! 全部わしが悪いと言うのか!?」
しかし喧嘩は止まらない。
喧嘩を止めない2人を見て、うちは苛立った。
「娘さんが帰らんのはあーたたちにも責任があるのでは?」
苛立ったうちはそんな言葉を言ってしまった……。
「おい、虎美!」
「何て事を言うの!」
酷いことを言ってしまったから、斬鬼郎さんと飯田ちゃんに叱られる。
「すみません、撤回します」
うちは夫婦に謝罪した。
「2人はなぜ喧嘩ばっかするばってん、結婚したとですか?」
うちは疑問に思った。
そういう夫婦は結婚をするようなものではないけど。
奥さんは口を開いた。
「お見合いがキッカケで結婚したのよ。でも、この結婚は騙されたと思っているわ」
「そうなんですか……。騙されたって」
「旦那は話聞かないし、私の言うことを聞かないし、空気を読まないし……欠点ばかりの人だったわ。ミドリが子供の頃は、日曜日に家族でボーリング場やデパートに行かせてあげたけど……」
「お前の教育が失敗したからそれが少なくなったんだろうが!」
「いいや、間違っていないわよ! 私はちゃんと育てたつもりよ!」
解説の途中に喧嘩をしだす……。
やれやれ……。
「歳を重ねる毎に喧嘩が増えていき……逆に夫婦の時間も少なくなっていたわ。それが嫌になったミドリは14歳で不良になり、震災を機に家に帰らなくなった……」
「やっぱ不良になったのはお前の教育が失敗したせいだな」
「いいや、あなたのせいよ」
またまた喧嘩が始まった。
「STOP! 落ち着いてください!」
「あなたたちは黙ってて!」
みんなで止めようとした。
しかし、そんな気配はない。
結局、状況を見て斬鬼郎さんは考えた。
「俺たちは退散しようか」
喧嘩を止めることなく、うちらは家の外へ出るこつにした。
外へ出ると、斬鬼郎さんと自動車部の部員たちが失言の件でうちを叱責してきた。
「虎美、あの発言は酷いぞ」
「そうよ! あの夫婦に失礼な言い方だわ!」
「最低な台詞たい」
「すまん、実はある考えを言ってしまった言葉たい」
うちの考えを話す……。
「実は……ミドリちゃんが帰ってこんのは両親の喧嘩が原因なら、探す以前よりそれをなんとかしようと考えて言ってしまいました……」
「探す以前に喧嘩する夫婦をどうにかしなければならない……そうだな」
「けど、喧嘩を止めることにどうすればいいのかしら」
「止めるのは難しか……」
喧嘩ば止めれば、いつ帰ってもおかしくなくなるだろう……。
しかし、ひさちゃんの言う通り、難しい話だ。
「なーして喧嘩が起きるんやろうかな……」
「ちょっとした考えのすれ違いとかで起きるだろ。お前と友達、両親だって喧嘩するだろ?」
「ごく稀にします」
「けど、喧嘩にもメリットがある。それは相手の気持ちを理解できることだ」
「相手の気持ちを理解できるこつ……?」
「互いの気持ちをぶつけることで、考えを知ることができるからだ」
「なるほど。あの夫婦は互いの気持ちを理解出来ているのでしょうか?」
「さぁな……理解する以前に憎しみをぶつけ合っているようにしか見えない」
うちもそう考えとる。
憎しみばぶつけ合っているようにしか見えんたい。
斬鬼郎さんがある話題をする。
「俺だって、女房と娘がいた……」
「いたって過去形ですよね……今はどうなっとるとですか……」
「今は離婚して別々に暮らしている……」
なんだバツイチだったという話か。
時間が経過すると、衝撃的なニュースが飛んでくる。
赤石さんが運んできた……。
「ミドリのお父さんが………」
「何があったとですか!?」
「お母さんに手を出して……警察に捕まった……」
うちらは信じられなかった。
喧嘩が事件に発展してしまったのか!?
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