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冬が始まる前のケア 〜ウィルス対策として具体的なアプローチをご紹介〜

冬が近づくと、RSウイルスやインフルエンザの流行が気になります…特に発達障害を持つお子さまにとって、感染症対策としての「手洗い」や「うがい」は、生活スキルの一環として重要なケアですが、反射や感覚の特性からうがいや手洗いがうまくできなかったり、嫌がったりすることも多いのが現実です。今回は、こうしたお子さまに対してどのように支援やサポートができるか、いくつかの具体的なアプローチをご紹介いたします。

1. 手洗いを楽しい習慣にするための工夫

手洗いは感染予防の基本ですが、発達障害のあるお子さまは手洗いの手順を覚えることや、その感覚を苦手とする場合があります。こうした場合、視覚的なサポートを活用することが効果的です。例えば、イラスト付きの手洗い手順ポスターを洗面所に貼って、手順をひとつずつ確認しながら練習できるようにします。また、手を洗う際に「20秒間の歌」を一緒に歌いながら洗うと、楽しく、時間をしっかり使って洗うことができます。「バイ菌さんバイバイ!」と声かけをしながら、お子さまが楽しめるような工夫も有効です。

さらに、匂いへの過敏性がみられない場合であれば、泡立ちや香りの良い石けんを使うことで感覚的な不快感を和らげることも効果的です。手洗いが楽しい「体験」になるようにすることで、習慣化しやすくなり、感染予防に役立つスキルとして定着します。

2. うがいの難しさと段階的な練習方法

うがいは、特に発達障害のお子さんにとって難しい動作の一つです。口に水を含んで吐き出すという動作が反射的に苦手だったり、感覚的に違和感を感じたりするため、うがいに抵抗を示す子も少なくありません。こうした場合、段階的に練習することで、少しずつ慣れていけるようサポートしましょう。

まずは、コップから水を口に含むことから練習を始めます。初めは水を飲み込むだけでも構いません。次に、含んだ水をゆっくりと吐き出す練習を重ねていきます。このとき、無理をせず、お子さんが「吐き出す」動作に少しずつ慣れるように見守ります。最後に、のどの奥で「ガラガラ」する感覚が難しい場合も多いので、ぶくぶくうがい(口を閉じたまま水を含んで口の中で動かすうがい)から始めると、よりスムーズに進められます。

また、うがいの習慣を楽しくするために、キャラクターがデザインされたコップや、お子さんが好きな色のうがい用コップを用意すると「やってみよう」という気持ちが引き出しやすくなります。

3. タイミングを決めた習慣化と環境づくり

感染症対策として手洗いやうがいを習慣化するためには、決まったタイミングで行うことが効果的です。例えば、外から帰ったときや食事前、トイレの後などに一貫して「手洗い・うがいをする」というルールを作ることで、お子さん自身もそのタイミングを覚えやすくなります。家族全員で一緒に行うことで、自然な流れとしてお子さんも参加しやすくなります。

環境づくりも大切です。例えば、踏み台や小さなタオル掛けを用意して、手洗いやうがいがしやすい環境を整えることで、お子さんが自分で行える範囲が広がります。また、洗面所やトイレに「手洗いの時間だよ!」と知らせるカラフルなポスターを貼ることで、視覚的にもタイミングを意識できるようになります。

4. マスクや他の衛生習慣も合わせて練習

感染予防には手洗いやうがいだけでなく、マスクの着用も重要です。発達障害のあるお子さまは、マスクの感覚に不快感を覚えやすいことがありますが、こちらも段階的に慣らしていくことで習慣化しやすくなります。最初は短時間から始め、慣れてきたら徐々に着用時間を延ばしていくと良いでしょう。マスクの選択も重要で、肌触りの良い柔らかい素材や、好きなキャラクターのデザインを選ぶことで、マスク着用への抵抗感を軽減できます。

また、お子さまが自分で使い捨てマスクを「交換する」体験をすることも、衛生習慣の一つとして役立ちます。たとえば、使い終わったマスクを捨て、新しいものをつける一連の流れを一緒に行うことで、感染予防に対する意識が少しずつ高まるでしょう。

焦らず、親子で感染予防を習慣化

発達障害を持つお子さんにとって、生活スキルの習得には少し時間がかかることもありますが、焦らずに小さなステップを積み重ねていくことが大切です。ご家庭で感染予防のための基本スキルを身につけることが、お子さんの健康だけでなく、家族全体の安心にもつながります。日常生活の中で、親子で少しずつ感染予防を習慣化していきましょう。

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こども訪問看護ステーションJuno 編集部
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