岩窟の聖母 13
墓石の上の幼児
レオナルド・ダ・ヴィンチの位置あわせ指示によれば、幼児が受胎告知の大理石製の聖書台の上に立膝で居ることになる。これは何か意味があるのであろうか。ウィキペディアによれば受胎告知の聖書台はヴェロッキオが同時期に手掛けたフィレンツェのサン・ロレンツォ大聖堂にあるピエロ・ディ・コジモ・デ・メディチの墓碑彫刻を模しているそうだ。これはどのような意味に解釈すれば良いのだろうか?キリスト教がメディチ家の繁栄の上に成り立っているといった皮肉的な表現なのだろうか?いや、後にルネサンスという名で呼ばれるこの虚構に満ちた時代を反映しているのだろうか?私には分からない。考え方はさまざまである。当然のことながら真意はレオナルド・ダ・ヴィンチしか知らないことだろう。だが仮にこの私の様な解釈を当時カトリック側に解明されてしまった場合、レオナルド・ダ・ヴィンチ名声、極端に言ってレオナルド・ダ・ヴィンチの命はなかったかもしれないことは容易に想像できる。