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ゴッホの青い手紙 36

 テオよ。ご機嫌いかがかな?ドレの作品ありがとう。「監獄の中庭」を油絵で仕上げてみようと思う。

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 これは模写ではない。ドレの作品ではセンターの人物の眼がぴったりセンターに合わせられている。

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 僕はセンター左の人物の踵をセンターに持ってきた。そうすることによって何か動きが生まれるような気がするんだ。

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 不思議なんだが人間はセンターというものを無意識に察知できるんじゃないかな。だからこそ画家はその無意識を利用しなければならないんじゃないかな。ドレが眼に意識を持ってきたなら僕は囚人の運動を表現してみたかった。僕の油絵の方が運動している感じが出たと思う。

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 それにドレの絵をよく見ると足が抜かれているところがある。これは写真にはできない技だな。特に群衆を描くときは、正確に描きすぎると足がごちゃごちゃして画面構成上邪魔になることがある。描いていたら囚人は僕の顔になってしまったよ。深い意味はない。実験だ。例の三角柱のガラスでみてくれたまえ。一目瞭然だ。ヨルダーンスの「牛」も模写してみた。別に強烈な絵ではないのだがこの絵も牛の脚が興味深い。左奥の後ろ脚が、さりげなく描かれていない。

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 しかし自然に見える。これも実験だ。確認だ。だから手前の牛の脚は省いた。奥の牛だけ描いてみた。

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どうでもいい内容だ。焼却してくれ。

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