ニャンコトバ ニャンガイヘン 2 カアチャンのコトバ
あの子のコトバが聞こえた気がした。
・・・
昨日
『酸素ルームから出なくなった』
『酸素ルームから出られなくなった』ではない。
『出なくなった』
次女ちゃんの意思だ。
どうにもならない気持ち。
美味しそうなご飯の匂いがしてもいつものように「アタシもご飯食べる!」と扉をカリカリしない。
名前を呼んでも振り向かない。酸素ルームの扉を開けたままにしても、扉は見るけれど『出なく』なった。
酸素ルームの丸窓を開け、手を入れる。そっと撫でると少しだけ頭を上げて嬉しそう。
でも直ぐに力なく毛布に突っ伏して目を閉じてしまう。
手にこぼれる涙。
突っ伏してからもしばらく撫でる。丸窓を閉じる。
昨日の昼
数日前から酸素ルームの横に座椅子ソファーに布団を敷いて、細切れに寝ていた私は、寝不足の看病疲れでウトウト2時間くらい寝てしまった。
起きると遅い昼食を終えたオトンがいた。
「次女ちゃんね、お父さんがご飯食べてても起きなかったの。扉カリカリしなかった。背中がずっとバクバクしてるよ。」
潤んだ目で食器を片付けたオトンは自室のベッドへ。
しばらく様子を見る。
酸素ルームの中でも少し口を開けて呼吸。背中というより、体中が波打つようにバクバクしている。
数日前から寝てる時もずっと目は開いたままだったけど、目も閉じて寝ている。
「ニャンコトバ ニャンガイヘン カアチャンのコトバ」を投稿してから、まだ数時間だよ?
こんなに変わっちゃうの?
うそだよね。眠いだけだよね?
15時過ぎ、私は絶えられなくなった。
酸素ルームで寝ている次女ちゃんに
「次女ちゃんごめんね、母ちゃんのわがまま、一つだけ一つだけ許してください。ほんの少しだけ。」と言う。
「そんなことしたらダメだよ!」という気持ちが抑えきれなくなった。
酸素ルームで寝ている次女ちゃんを抱っこして私の部屋のベッドに連れて行った。
いつものように胸には乗ってこない。
「ごめん、ちょっとだけ」と胸に乗せると猛烈に嫌がった。
余計にハアハアしてしまった。
それなのにオトンの部屋まで抱っこしてオトンの寝ているベッドにも一瞬乗せた。
「お父さん、もう一緒にベッドでは寝れないのよ。撫でてあげて」
オトンは涙しながら頭を撫でた。
急いで酸素ルームへ戻すと、とても苦しそう。
私何やっているのかな?
ごめんなさい。
しばらくすると
小さく「カリカリカリ」と音がして振り向く。
「扉を開けて」と次女ちゃんが座ってる。次女ちゃん!
開けると歩いて先ずカリカリご飯の所へ。
今だ!とちゅーるにお薬を混ぜて食べさせた。
その後キッチンのいつもの場所に座ってお水待ち。
お水が飲みたくて、舌をペロリとしている。
いつものグラスだと、水をなみなみ入れても飲めない。舌を出しても届かないし、上手く動かないのか?ハアハアしてるから飲めないのか?
いろんな器で、いろんな高さで、いろんな角度で試してみた。
やっと少し飲めた!
トイレに連れて行くとトイレの中でへばって倒れ込む。
酸素ルームに連れて行く。
グッタリ寝ている。
それから2時間くらい経った。
また小さな音で「カリカリカリ」と聞こえて扉を開けると、ゆっくりゆっくり歩いて私の部屋のベッドの下の床に座った。ベッドの上を見ている。
「もしかして乗りたいの?」もう自分では乗れない。
ベッドには三女ちゃんが寝ていた。
ベッドに乗せると、ハアハアしながら私の横に来た。私が寝転ぶと胸に乗ってきた。
ああ、さっきの母ちゃんのお願い聞いてくれるんだね。
頬に涙が伝って鼻水も流れてくる。
次女ちゃんは本当に家族思いで優しいからね。
次女ちゃん、一生懸命頭を上げる。私はゆっくり撫でる。
気持ち良さそうにしている。
「もっと撫でて良いよ」と聞こえた気がした。
口呼吸になっても、舌が出てきても、撫でてと手に顔を擦り寄せるから撫で続けた。ずっと撫でた。
「きゃわたんだねぇ!今日もプリプリプリティーラブリーおきゃわたんだねぇ。なんでこんなにカワイイんですか?次女ちゃんだからです!そうですねー」
いつものように話しかけながら撫でた。もうこのままずっと撫でていたい。どうなってもよいから撫でていたい。
グタッと頭を下げた。
流石にこれは次女ちゃん限界だ。
私もこんなに苦しそうな次女ちゃんを見続けながら撫でることはできない。
「ありがとう。ありがとね、次女ちゃん。」酸素ルームへ連れて行く。口を開けたまま眠っていた。
それから数時間おきに扉を小さな音でカリカリするようになった。
前のように「出してー!カリカリカリー!カリカリカリー!」ではないけど、次女ちゃんの意思表示。
お水を飲みに行くようになった。試行錯誤して飲ませる。ちゅーるは残すけど、ゆっくり食べれる。トイレでもおしっこできる時もある。
そのまま自分で酸素ルームへ戻っていく。
次女ちゃんのためにキッチンの椅子の後ろに置いていた座椅子は、私の簡易ベッドにして酸素ルームの横に敷いてあるので、そこにお気に入りのクッションを置いてある。
たまにそこで横になり、束の間のリラックスタイム。
3分もしないうちに口呼吸になるから、自分からゆっくり歩いて酸素ルームへ。
酸素ルームで寝ていても、背中と横っ腹はバクバクしなくなった。
ほんの少し、ゆっくりと横っ腹がドクンドクンと動いている。
目を閉じて小さい毛布を枕にして寝ている。
息子君が言っていた
「なるようにしかならない」
本当にそうだな、と思う。
あれだけ酸素ルームに入れることに引け目を感じていた私だけれど、今は次女ちゃんが
「酸素ルームでゆっくりしたい」と言っているように思える。
横綱級に丸々していた次女ちゃんは背骨が触るほど痩せたのに、お腹がぷっくりしているのは腹水が溜まっていたからだった。
1L、牛乳1本分。この前、体に負担がない程度にと300cc抜いてもらった。コップ1杯半だけだ。
私は考えた。
お薬は継続するけれど、もう治療はしない。
また気持ちが変わるかもしれない。今はそれでよい。
考え方は人それぞれ。ずっと治療を続けた方が良いのでは?と言う人もいると思う。
私は私の思うようにしよう。
あとは次女ちゃんが好きなように過ごせるように。
オトンに話したけれど、オトンは病気の話が大の苦手だ。
私の病気の時も聞いてはくれなかった。
ただ「こういう時はアレとコレをしてください」と頼んだ。
息子君は「じゅんみはさんの思う通りでいいよ。一番近くにいるんだから」と言っていた。
夜、何度も呼吸をしているか確認する。
でも私もちゃんと寝ようと思い、いつも通り眠剤を飲んで次女ちゃんの酸素ルームの隣で寝た。
今朝
「カリカリカリ」という小さな音で目が覚めた。
扉を開けてと酸素ルームの扉の前でかわいく座っている。
「次女ちゃんおはよう」
次女ちゃん、今日も朝が来たね。
まだ夜が明けたばかりだけど、冷っとした空気の中で、少し青空が見えていた。
いつどうなるのかわからない。
気持ちもどうなるのかわからない。
「次女ちゃん愛してるよ」
ということだけはかわらない。
ただ側にいる。
ニャンミハ
・・・
ニャンコトバ ニャンガイヘン 2 カアチャンのコトバ
でした。
昨日は辛くて辛くて投稿しました。
今も辛い気持ちはあります。
noteに書くことで少し落ち着きます。
読んでくださった方には、辛い嫌な気持ちにさせてしまったかもしれません。
申し訳ありません。
今は、ちょこちょこみなさんのnoteを拝見するのが楽しみになっています。
私の記事を読んでくださったり、コメントキャッチボールも楽しませていただいています。
ありがとうございます。
私が明るい気持ちだと、家族みんな明るい気持ちになっているように思えます。
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今日のニャンコトバ
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