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ジェームス・ディーンな?お父さん
「そのジーパンだけは絶対捨てないでね!」と父が言って大切にハンガーにかけてある最近は出番のないビッグ・ジョンのジーパンがある。
ジェームス・ディーンのつもり?らしい。
ジェームス・ディーンはLEVISでは??
・・・
今日も娘訪問介護だ。
息子のお弁当と同じカルボナーラとフルーツヨーグルトを2人分持ってチャリを走らせる。
沢山の食料と、好きそうな塩っぱいのと甘いお菓子、スープ、みそ汁、最近の一番のお気に入りのマグヌードルとエプロンも、リュックに詰めて。
オトン、待っててよー!もちろんチャリは立ち漕ぎだ。
自分の家の家事はホンットに面倒くさいけど(誰か代わりにやって欲しい。何なら我が家の愛猫の手も借りたい。貸してくれないけどさ)、父の家の家事はいつも楽しみ。
なんたってお父さんがカワイイからだ。
私は、お父さんの家の洗濯、お風呂掃除、トイレ掃除、床掃除、台所磨き、祖母や叔母の遺影磨き、を新幹線?のような速さで終わらせ、テレビを観ながらオトンとランチタイムが始まる。
今朝の生存確認メールで、「今日お父さんの家に行くけどカルボナーラ食べる?」と聞くと、秒速で「食べる。」と返事が来た。よしよし。
「お父さん、食べれるかなー?」と言いながら父はカルボナーラをウキウキとレンジで温める。私はいつもの紅茶も少なめに父のカップに入れる。
紅茶は飲み終わると隙きを見て追加だ。
「美味しいね!!」カルボナーラも、フルーツヨーグルトもモリモリ食べている。
「ちょっと!お父さん!喉に詰まるから少しずつよく噛んで食べてよ!」娘はいつだって怖いのである。
父は、2人分のうち、1.5人分をたいらげた。
すげー、オトン更に元気になってるよ。
私の頬が緩む。
ヒルナンデスの温泉特集を観ながら、ここの温泉は良いとか、海沿いの温泉は寒いとか、混浴はおばあさんばかりでつまらない、若い女の人は岩陰に隠れている。とか言っている。
「は??」私は紅茶を吹き出す。
「コロナ終わったらさ、近所の銭湯行こうよ!」と言うと嬉しそう。
「お兄ちゃんがさ、この前来てくれてね、お母さんのお墓参り行こうって!」と言ってとてもニコニコしている。
(オカンとは離婚してたけどね。というイジワルは私の心の中にグッとこらえて言わずに。)
「良かったねー!お母さんも喜ぶよ。」
父は満面の笑みだ。
お風呂にもたまに入っている様子で安心した。
でも、せっかく磨いたお風呂に「今日はちやっぷい(寒い)から入らないよ。」と、出しておいたパンツと肌着をいそいそと父がタンスに片付けている。
仕方ないので「暖かい日の昼間に入りなよ。」とめちゃくちゃ優しい声で言ってみた。
スマホで我が家のにゃんこの写真を見て嬉しそう。
「帰るねー。」「ありがとう!気を付けてね!」ベッドから手を振る父。
・
我が家への帰り道、チャリを走らせながら私は思った。
「本当にさ、私の中のがん細胞さん達よ。いい加減出ていってくれないかね?何なら脂肪に変わってもいいからさ。(おデブさんになるのは嫌だけどね)私はまだまだオトンの世話がしたいのよ。私の愛する大切な人達との楽しい時間も過ごしたいのよ。」涙が眼鏡の縁を伝いマスクに染みる。
精密検査のことは父にはナイショだ。兄にも言えてない。
せめて、もうしばらく父と反抗期の娘との楽しいやり取りをしたい。
何十年後かの父の看取りもしたい。
何なら息子の結婚式に緊張して出席して、感謝の手紙に号泣した後、孫の顔も見たい。一体何年後の話しだよ?←結構欲深い。
とりあえずさ、オトンがお気に入りのビッグ・ジョンのジーパンを履いてもらって、一緒に銭湯行かせてくれ!オトンの好きな混浴じゃないけどさ。
と願いつつ、家路に着く。
・・・・・
ジェームス・ディーン風?の父を描こうと思ったけど、難しかったので銭湯に入る父の絵を描きました。
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(マガジンはじめました。)
娘訪問介護別バージョンです。
麦わら帽子とお父さん|じゅんみは @junmihappy #note #いま私にできること https://note.com/junmihappy/n/nd91dd063f589
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