#雨と6月とワタシ
6月
白い藤の花を見上げていた。
大きな大きな藤棚。
真ん中に一人立つ。
花と花の間からサーッと降る小雨で白い藤がキラキラ輝いて見える。
ワタシは傘もささずそのキラキラを見上げていた。
車椅子に乗せた母と病院の周りをぐるりとお散歩すると「大きな藤棚ね!咲いたら綺麗なんだろうね。」いつも母とワタシはニコニコ見上げていた。
もう、車椅子に乗ることも、喋ることもできず、意識のなくなった母とは、何週間もお散歩が出来なくなっていた。
そして数時間前、呼吸が止まってしまった。
「お母さん、白い藤は珍しくて綺麗だね。」ワタシがそう呟くと、
「そうね、本当に綺麗ね。」
母の声が聞こえて笑顔が見えた気がした。
白い藤の間から降る小雨と一緒に
ワタシの目からも涙が降っていた。
・・・・・
「あんこはるかの寄せ書きRADIO」
の予告でのテーマ
「#雨と6月とワタシ」を書いてみました。
拝啓あんこぼーろさん、あこはるかさん、
なんか切ないような、悲しいお話(実話です)になってしまいましたが
大丈夫でしょうか?
しかもギリギリの投稿!すみません。
「あんこはるかの寄せ書きRADIO」
予告編はこちら!
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読んでくださりありがとうございます! 嬉しくて飛び上がります♪ 私の心の中の言葉や絵を見て何か感じてくださればいいなと願いつつ。