とりあえずお鍋食べよう
お鍋は体があったまる。
心もあったかくなる。
何を入れても良い。安くて簡単に作れる。
とにかく美味しい、こんなすごいお楽しみがあるなんて嬉しい。
「とりあえずお鍋食べよう。」
熱と心の不具合で数日寝込んでいた。
起きたくても頭と体が動かない。
体は熱いのに心は冷たく凍っていた。
ちゃんとしたものを食べる気力もなかった。
私は、16時頃むくりと起き上がった。まだ頭はぼやっとしていたけれど、熱が下がったので今夜の鍋の材料を調達しに行こう。
お鍋を食べたら元気になる気がする。
裏山をてくてくと歩き、地の採れたてお野菜が売っているお店へ。(道の駅みたいなところ)
紅葉の横にまだ薄ぼんやりと見える月が綺麗だ。
夕方の少しひんやりした空気が心地よい。
人も少なく、お散歩のワンちゃんが嬉しそうにシッポをくるくるさせて「こんばんは!」と挨拶してくれる。
ただ歩いて、景色を観て、ワンちゃんや鳥さんたちの声に耳を傾け。
頭のてっぺんからつま先まで滞っていた血が緩やかに流れ出した。
遅い時間だったのであまりお野菜はなかった。
お天気が良くてお散歩帰りのお客様が沢山来たのですよ。と店員さんが言っていた。
お目当ての白菜はなかったけれど、朝採の京菜と、みぶながあった。しいたけも。
東京でも京菜を栽培してるところがあるのかと驚き、初めて買ってみることにした。
ちゃっかりオススメの「ひめいちえ」というワンカップの愛媛のお酒も。
前回こちらで購入した柚子もお家にたっぷりある。
胸が躍る。
そのまま少し歩いて昔からある小さなお肉屋さんへ。
今夜はお鍋なんです。とお母さんに相談して、豚肩肉と豚バラを半分ずつ。
いつもありがとね!お母さんの声があたたかい。こちらこそ美味しいお肉ありがとうございます!と頭を下げる。
その2軒先のお豆腐屋さんへ。
腰の曲がったおばあちゃんがゆっくり近付いてきて何にしましょうか?と聞かれる。
お鍋なんですけど、厚揚げかお揚げさんか迷っちゃって。
どちらも美味しそう。
悩んでたら、おばあちゃんがお揚げさんが出汁が出てオススメですよ、という。
おばあちゃんが、もう本当に可愛らしい笑顔でありがとうございます。とおっしゃるので、私も笑顔でいつもありがとうございます。と頭を下げた。
いつものドラッグストアで、三毛猫三姉妹のおやつも忘れずに。猫のトイレの砂も買う。
新鮮なお野菜とお肉、心のこもったお揚げさん。
全部で780円。嬉しい。
後は柚子をまるごと一個スライスして。
久しぶりに日本酒。嬉しいな。「ひめいちえ」どういう由来なんだろう?
愛媛県には行ったことがない。
いつか行ってみたいな。
学生時代の友人にいただいた、あご出汁と水、酒、少しお塩、お揚げさんを入れ温める。お揚げさんは一度取り出しておく。
お野菜、お肉は切って別皿にスタンバイ。息子が帰宅するまでお待ち下さいねと声掛けする。
その間にゆっくりとお風呂に入り、湯船に浸かる。にゃんこの三女が扉を開けうろうろしながら「にゃーにゃー(まだ入ってるの?)」と覗いている。かわいい。
土鍋からの出汁の香りとあたたかい湯気でホッとする。
今月に入ってから
本当に信じられないくらいの
「嬉しいこと」と「辛いこと」
がいっぺんにたくさんあった。
嬉しいことの方が断然多くて元気だったのだけど、熱が出て一気に心が弱った。
辛いことへのやらなくてはいけないことが頭でぐるぐるして熱が上がる。何度も夢に見る。急ぐことではないのに自分で焦らせていた。
消えてしまいたい。消えてしまえばいい。消えちゃだめだ。
ぐるぐるぐる。
今は焦らないで嬉しかったことに目を向けよう。
noteでのチャレンジの歌を聴いたり、コメントを読んだり、栞のお礼のあたたかいお手紙と、桜のポストカードを眺める。
辛い気持ちと嬉し涙が混ざって泣いたらすっきりした。凍っていた心がとけた。
介護職時代の飲み仲間から数年ぶりのお誘い。今はみんな役職があり忙しい。
介護職を離れて何年も経っているのに「顔が見たいからみんなで会おうよ!」と気さくに誘ってくださった。来月のお楽しみが増えた。
大好きなお友達も不安定な私にやさしい。いつも心配かけてごめんね。
三毛猫三姉妹も寄り添ってくれる。
息子も息子の友達もやさしい。
心が食べたいと思う、美味しいものを食べたら、きっと元気になれる気がした。
息子が帰宅。
土鍋にお待たせしていた材料たちを並べる。
美味しくなってねー。ゆっくりコトコト温める。
素朴なお鍋なんだけど、なんだかお野菜もお肉も「美味しいよ!」って言っている気がする。
「いただきまーす」
写真を撮っている間に息子は二杯目をおかわり。嬉しいな。
食べる毎に体があったかくなっていく。
お肉屋さんのお母さんやお豆腐屋さんのおばあちゃんの笑顔が頭に浮かぶ。
「ぱくぱくもぐもぐ」幸せの味。
しめは卵雑炊。たっぷり海苔を乗せて。
朝も残った出汁でまた雑炊を作って食べた。
まだ本調子ではないけれど、ゆっくりと良くなっていく気がする。
消えてしまいたい気持ちが消えたから。
みんなのやさしさと、美味しいお鍋でまたゆっくり歩いて行こう。
明るい空を眺めながら。
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みなさんいつもありがとうございます。
暗いような?明るいような?
「ただお鍋が美味しくて元気になり始めた」というそれだけのお話なんですけど、読んでくださり嬉しいです。
みなさんのお好きなお鍋はどんなお鍋なんだろう?なんて想像しながら。
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絵を描く気力がなかったので
我が家のきゃわいい次女の写真をヘッダーにしました。