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「陶芸家になるには」ースタイル編ー 2

伝統を受け継ぐ

“規矩作法 守り尽くして破るとも 離るるとても本を忘るな”

千利休(1522-1591)

私は、金沢にある卯辰山工芸工房という施設に在籍していました。そこでは、茶道・華道・書道を月に一度、学ぶ機会がありました。

はじめて茶道の稽古をしていたとき、なんて堅苦しいんだ…という印象を持ちました。

しかし、実際に本番の茶会の席でお点前をしたとき、伝統という巨人にふんわりと支えてもらっている安心感、作法を覚えているからこその、周りの雰囲気や反応にアドリブで対応できるフリースタイル感。

あの経験は、新しい感覚を自分に与えてくれました。

伝統 = アーカイブ

序文の名言は千利休の歌です。
守破離という、文芸をマスターするための方法論としてとらえられています。

日本は独特の歴史をもった国です。
他の国と比べ、ガラパゴス化した伝統の上に成り立っています。

陶芸も、伝統工芸としてカテゴライズされることがあります。

伝統という言葉を聞いて、どんな印象をもたれるでしょう?

美しさ
古臭さ

自分はそんな、相反する印象を持っていました。

しかし伝統は、この “なんとなく” のイメージだけではありません。
作り手として、それをどうとらえるか。

伝統=技術や知識の膨大なアーカイブとしてとらえることができないか。

幸運なことに、上の利休の歌や、様々な情報がいまだに語り継がれ、私たちの無意識下にもしっかり刻まれています。

先人達はとてもロジカルです。

利休の守破離にはじまり、雅楽の序破急など、物事の真理をつくような “型” として残してくれいています。

私が陶芸のキャリアを歩んできた過程を振り返った時、上で話したお茶会の印象との親和性を感じました。

陶芸のキャリアも “型” に当てはめることができる。

せっかく日本という国にいるのです。
どんどん先人の知恵を使って行こうと思います。

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