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「陶芸家になるには」ースタイル編ー 8 <破>
破: スタイルを見つける
「守」では、学ぶ場所について、様々な選択肢を見てきました。
この「破」の項では、基礎のインストールから、スタイルの芽を見つけるまでの流れを見ていきます。
どの場所で学ぶにしても、基本的にこの流れは同じです。
そして、私が最も効率的だと思う方法を中心に説明していきます。
よくあるのが、「基礎を学んでから、応用として自分の作品に取り掛かる」という流れ。
これだと、モチベーションの維持が難しく、スタイルを見つけるまでに時間が掛ります。
このように、「学習とアウトプットを区切り、順番に行う」のではなく、それらを「同時に進めてしまおう」というのが、私の考える効率的な方法です。
破の項目は、以下の通りです。
スタイルとは何か、またその重要性を説明します。
「効率的な方法」を見ていきます。
スタイルを見つけるうえで重要な内省について説明します。
これを知れば、学習へのアプローチが変わります。
そして独立後も、私はこの方法で 学習 ↔ アウトプット を繰り返しています。
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
▽スタイルの重要性
スタイルを確立し、マーケットを分析し、制作を継続させていく。
このサイクルを回していけば、陶芸でマネタイズすることは可能です。
この中で一番重要な要素が、スタイルです。
なぜならスタイルがすべての中心点になるからです。
まず、スタイルの定義ですが、
スタイル ≒ 性質 ≒ オリジナリティ
小手先ではなく、私たちの深い部分にある、変えることが難しい性質。
それを元に陶芸でアウトプットしたものがスタイルです。
そして、スタイルがなぜ重要なのか。
理由としては、
1.資本主義経済では、珍しさ=価値となります。
私たち個人という人間は、この世界に一人しかいません。
あなたがこれまでに歩んできた道のりも、唯一のものです。
この希少性を陶芸に昇華させれば、価値となります。
2.陶芸のマーケットを見渡した時、スタイルがないと自身のポジションが分かりません。(第二章)
3.ランニングコストは、スタイルにより異なります。(第三章)
このようにスタイルは、あなたという陶芸家のコアとなる要素です。
まずは、自身のスタイルを見つけることを目標としていきます。
そしてそれを見つけるためにまず必要なことが、基礎をインストールすることです。
▽基礎の重要性
陶芸というフィールドでスタイルを見つけるためには、陶芸の基礎が必要になります。
ここでいう基礎は、陶芸で伝統的に使われている技法と、その歴史や知識のことです。
守の「型破り・形無し」の話と重複しますが、理由としては以下の通りです。
ー 理由
陶芸家は、陶芸というジャンルの中で活動する専門職です。
このジャンル内のルールに乗っ取っている限りは、陶芸家と言えます。
そのルールこそが基礎です。
分かりやすく言うと、スポーツのようなものです。
サッカー選手になりたければ、サッカーのルール内で自己プロデュースしていきます。
もちろん、このルールからはみ出したってかまいません。それも一つのスタイルです。
しかし、どこからどこまでがフィールドか知らなければ、はみ出しようがありません。
また、フィールド内にどんなプレイヤーがいるか知らなければ、ポジションがかぶってしまうかもしれません。
このように、俯瞰的・近視眼的に自分を見るためには、基礎を知る必要があります。
そして、自分という特性が、陶芸ルールの中で、どのように活躍できるのか…それがスタイルとなります。
それでは具体的に、どのように基礎を学び、スタイルを見つけていくのか。その方法を見ていきましょう。
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