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「陶芸家になるには」ースタイル編ー 7 <守>
「守」の総括
▽「型破り」と「形無し」
守破離に付属する言葉で、「型破り」と「形無し」があります。
「型破り」: 基礎を身に着けた状態で、あえてそれを「破り」、新しいものを生み出すこと
「形無し」: 基礎を身に着けず、好き勝手にやること
私の個人的な見解では、新しいものを作り出すなら、どちらでも違いはないと思っています。
ただ、一発屋で終わらずに、ヒットを繰り返すとなると話は別です。
これはとても単純なことで、「基礎=先人達のアーカイブ」を知っているかどうかということになります。
ある意味「形無し」は、ランダムな方法で作り出されたものが、偶然によってマーケットに受け入れられる、確率的に限られたルートです。
確率論なので、偶然うまくいったとしても、次には失敗もあります。それが怖くて、自身の成功論に頼った、自分の作品を引用するような作品となりがちです。(これはブルーピリオドのエピソードにありました)
「型破り」であれば、戦略的に構造化した知識や、技法の微妙なチューニングで、マーケットのピンポイントなポジションに作品を投下することができます。
また、どの部分に自分のスタイルを入れるか、親和性があるかを見極めやすく、方向性の軌道修正も基礎ベースでしやすくなります。
このように、制作を続けていく上でのトータルでみた時間的、メンタル的なコストを抑えることができるのが、基礎を知るという利点です。
▽ おすすめルート
基礎を知る重要性を踏まえたうえで、私個人のおすすめとしては「自治体の教育機関と、就業の組み合わせ」です。
利点は
知識・技術、マーケット感、内省性をバランスよく伸ばせる
メンターがいる
周りのモチベーションが高い
期間が比較的短く、コストが低い
産地の情報を取り込める
などです。
また、このルートで陶芸家になる人の割合が、かなり多いのも事実です。
教育機関の試験も、私が受けたころよりシンプルになっているらしく、学歴等不問です。
やりたいという情熱を伝えることができれば、入所できます。
また、工場等の就労も、産地の人口減少・労働力不足もあり、若い方や他に経験のある方なら引く手数多です。
そのため、現在活躍している陶芸家をベースにして、前例が最も多く、再現性が最も高いルートとなります。
もちろん、ただ入所・入社するだけならハードルは低いとしても、ここから実際にマネタイズできる陶芸家になれるかは、別の問題です。
では、どういうスタンスで知識・技術を吸収していけば、安定した独立へつなげることが出来るのか、次はそこに着目していきます。
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