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「陶芸家になるには」ースタイル編ー 10 <破:フロー学習のスイッチ>
フロー学習のスイッチ
▽目標=スタイルの芽を見つける
何事もゴールを設定することは大切です。
何のために今自分は行動しているのか。
これが分かっていると、モチベーションも維持できます。
また、目標を達成するために必要なことを、今すぐできる単位に分割していけます。
フロー学習は、練習のための練習ではなく、本番のための練習です。
まずは一番大切な、自分のスタイルを見つけることを目標としていきましょう。
といっても、スタイルは徐々に見えてくるものなので、焦らなくても大丈夫です。
今、勉強している知識や練習している技法に、どこかグッとくるところや、ピンとくるところはないか。
それは楽しいか、何時間でもできるか。
最初はそんな、相性探しみたいなノリでいいんです。
ただ、こう考えながら学習することで、能動的な学習になってきます。
▽能動性=アウトプット
効率的に知識や技術を吸収するためには、楽しむことが大切です。
楽しむためには、作りたいものを作るのが一番です。
少し、私の経験を述べさせて頂きます…。
私はこの楽しむコツを、偶然にも最初に行っていました。
私が陶芸を始めた研修生時代、勢いでろくろと、小さな窯を購入しました。
もちろん研修所にも設備は整っているのですが、自分のペースで、いつでも0から完成まで調整できる自由が欲しかったのです。
自分の時間で好きなものを作って、研修で学んだことを応用したり、できなかったりしたことができるようになる工程を、とても楽しんでいました。
そして6年後、私は3Dモデリングを独学ではじめました。
久しぶりに0からの学習です。
教材はyoutubeのチュートリアル動画。
このときに痛感したのですが、レッスン形式で基本から応用まで毎日つづけるのはつらい…。何度も挫折しては一からやり直しを繰り返しました。
そうなんです。まったくもって陶芸を始めた当初の方法を忘れていました。
というか、楽しむことをコツとして認識していませんでした。
何か月かオンランチュートリアルをつづけた後(もちろん初歩で止まっています)、もういいや!と思い、作りたいものをモデリングしはじめました。
それからの上達は早かった。
作りたい形にするためのアプローチを調べ、覚え、試行錯誤すると、頭に入ります。
なにより楽しい。
このように作りたいものを作っていくと、必然的にこんなことはできないか、あんな形にしてみたいなど、造形への欲が出てきます。
そうしたらしめたもの。その欲は次への挑戦につながります。
覚えたい知識や知りたい技術を調べる工程は、結構つらいものです。
なかなか欲しい情報にたどりつけないし、そもそもどう聞けば(検索すれば)いいのか分からない。
しかし、これを繰り返していくと、知らないうちに知識が増え、できること・できないことが自然と分かってきます。
狙っていた情報ではないけど、面白い情報に出会ったり、それを試してみたり…
この工程そのものを楽しめれば、通常の何倍も効率的に学習できるはずです。
とにかく、どんどんアウトプットしていく。それがとても大切です。
▽難易度=新しいことに挑戦する
単純で簡単なゲームほど退屈なものはありませんよね。
やはり手ごたえがほしいです。
同様に、できるようになったことを続けると、徐々に飽きてきます。
新しい技法や、サイズ、素材など、思いついたことから、すぐに挑戦していきましょう。
その中には、予想通りの結果になるものや、想定外の結果になるものもあります。
これは普通、失敗ととらえられがちです。
しかし、失敗かどうかは、予想をどこにおくかによって変わってきます。
例えば、作品の焼成時でいうと、もし同じ結果だとしても…
最高傑作を予想していた場合
まったく期待していない場合
で、出てきた作品の見え方は変わります。
この段階ですべきことは、一喜一憂よりも、客観的に結果を受け入れ、データとして経験に蓄積していくことです。
シンプルにいうと、失敗=予想外です。
予想外ということは、自分の知識や技術の範囲外のことが起こった。そして、それを学ぶことができた。
こんなに効率の良い学習方法はありません。
人間をフロー状態に入らせるためには、絶妙な難易度設定が必要だといわれています。
これができればベストなのですが、まったく知らないことを学んでいるので、自らそんな設定をするのは難しいですよね。
(良い教育機関のカリキュラムは、絶妙な難易度設定がされているはずです。)
ですので、そんなことはひとまず置いておいて、まずはどんなことでも挑戦して、失敗して、いろいろな角度から「陶芸」にアプローチしていきましょう。