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「陶芸家になるには」ースタイル編ー 9 <破>
▽効率的吸収法
ここでもう一度、陶芸をマスターするための「守破離」というキーワードに戻りましょう。
守:基礎を学ぶ
破:スタイルを見つける
離:スタイルを育てる
上で述べた、「スタイルを見つける。そのためには、基礎が大切」という内容は、「守」と「破」にあたります。
これが陶芸家としての最初のステップです。
しかし、「守」のステップは、時間と忍耐を必要とします。
なぜなら、基礎を学ぶのはほぼ受動的だからです。
知識ゼロの状態から、専門性をインストールしていくので、受動的にならざるを得ません。
そして、「破」のステップ。
これも、「守」で基礎を固めてから取り掛かると、堅苦しい先入観が刷り込まれていたり、手癖がついていたりと、アンラーニングに時間が掛かってしまいます。
この2つの要素を効率的に進めていく方法。それは、同時進行で行うというものです。
なぜ同時進行が効率的なのかというと…
人間のもともと持っている特性を使った、学習方法だからです。
では、その学習方法とはどのようなものか。
結論から言うと、「フロー状態を利用する方法」です。
フロー状態とは、ものごとに対し没頭している状態です。
(スポーツではゾーンに入るとも言います)
人間は夢中になっている時が一番効果的に学習しています。
例えば、ゲームでいうと、最初はぎこちないながらも徐々に慣れてきて、最終的には中毒化してくる。
これは、プレイヤーをフロー状態に入れるよう、巧みにゲーム制作者によりデザインされたものです。
この例は、制作側がフロー状態に入るためのポイントを理解していると言い換えることもできます。
では、これを自主的にコントロールすることはできないか…?
最適な研究がありました。
「フロー体験 喜びの現象学」 ミハイ・チクセントミハイ著 (世界思想社)
この本を基準として、陶芸の最初のステップへ応用していきます。
フローへ入るためのスイッチはこんな感じです。
目標(スタイルを見つける)
能動性(作りたいものを作ってみる)
難易度(新しいことに挑戦する)
これらを学習と制作にとりいれ、自覚的にコントロールすることで、効率よく、まるでゲームのように知識や技術を吸収していくことができます。
便宜的にこれをフロー学習と名付けましょうか。
まずは、全体像を見ていきましょう。
▽ フロー学習の構造 = アウトプットとインプットの繰り返し
フロー学習をまとめると、以下のようになります。
目標
スタイルの芽を見つける
能動性
スタイルの芽を見つけるためには、基礎(何ができるか)を知り
内省(なにをしたいか)を繰り返す
難易度
制作のつまずいたところで、そのつど学ぶ
これは簡単にいうと、アウトプットとインプットの繰り返しです。
実は、この言葉の順番も重要です。
まずは、アウトプット。そこでつまずいたら、インプット。そしてまたアウトプット…
これを行っていくと、必要な知識が必要な時に身に付き、結果的に陶芸の基礎を、自分の経験としてインストールすることができます。
そして、何度もアウトプットを行うことにより、内省を繰り返し、自然とスタイルの芽を探し始めます。
では、スイッチごとに見ていきましょう。
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