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「陶芸家になるには」ーマーケット編ー 1
はじめに
前章のスタイルの作り方編では、陶芸家になるために最も大切な軸となる、自身の「スタイル」を探る方法を見てきました。
基礎を吸収しながら自身の「性質」を探り、さらにそれを深めていく。
陶芸を趣味として続けていくなら、前章の段階で充分に楽しめます。
しかし、「陶芸家になる」には、自身の技術・知識で
「収益を得る = マネタイズ」
することからは逃れられません。
そして、収益を得るには、資本主義経済圏で生きている限り、「マーケット」への参加が必要になります。
要するに「自身の作品を買ってくれる可能性のある人に、作品を知ってもらう」こと。
これがこの章での目標となります。
前章が「内」についての話だとすれば、本章は「外」についての話です。
「守破離」の「離」とはよく言ったもので、外側に何もなければ、どこからも離れることはできません。
マーケットを考慮したうえで、作品の方向修正をしていくには、スタイルを客観的にみることが必要となってきます。
それには、マーケットの全体像を知り、そこのシステムやルールを理解することが求められます。
独立が難しい理由は、この「マーケット感」が無い状態で、いきなり市場に飛び込むためです。
通常の教育機関ですと、「スタイルの芽」をみつけた段階で放り出されます。
在学中に、自分のキャリアプランを意識・行動していないかぎり、スムーズなスタートをきることは難しいです。
そのため、マーケットの全体像を知るということは、初めて東京を訪れた人が、新宿駅周辺でGoogleマップを持っているか持っていないかくらい、独立という目標地点への到達に違いが出てきます。
そして残念ながら、マーケットを知るためのカリキュラムは、今のところ、どこにもありません。
自分で飛び込んでみるしかないんです。
カリキュラム化できない理由は多々あるかと思いますが、一番の理由はマーケットが常に「移ろい・流動している」からです。
ファッションや音楽の流行も、2年後には何が流行っているか、見通すのは難しいと思います。
それと同じで、陶芸のマーケットも、現状を知り、自身のスタイルに反映させるだけでは、常に後追いとなってしまいます。
では、どの様なアプローチをとればいいのか。
キーワードは、「柔軟性」です。