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「陶芸家になるには」ースタイル編ー 11 <破:フロー学習のスイッチ>


▽内省と陶芸

前回までが、フロー学習を進める方法でした。

猛烈に楽しみながら基礎を吸収する。
これと同時進行で行っていきたいことが「内省」です。

同時進行と言いましたが、おそらくフロー学習中、自然に行っているかと思います。

「この技法は好きか?」
「このテクスチャーにグッときたか?」

これがすでに内省です。

定義としては、

「内省」= 自分を分析、理解、発見すること

としています。
簡単に言うと、自問自答です。

制作に対しての内省は、自分と陶芸(知識・技法)を照らし合わせる行為です。

そして、この行為こそが、スタイルを見つけるために最も重要なポイントとなります。

つまり、陶芸という形でアウトプットしたものを、客観的に見る。
そのことにより、自分自身を知ることができる。

自分の好みや、向き不向き。
深層心理に隠れていた部分。

そのような、自分自身の深いところと、陶芸がシンクロする部分。

そこが、「スタイルの芽」です。

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就職活動などで、自己分析を行った方も多いかと思います。
自分を理解し、言葉で表現するのは難しい行為です。

しかし、制作を通せば、感覚的に自分の好き嫌いを知ることができます。

これは、最もプリミティブな自分です。

マネタイズを究極の目標とした場合、マーケットや、ランニングコストから効率的かつ需要のあるスタイルを見つけ出すことも可能です。

しかし、深い部分の自分とつながっていないスタイルは、自分が本当に作りたいものではない可能性があります。
こうなると制作を楽しめず、継続できない。

「器用さと稽古と好きのそのうちで、好きこそものの上手なりけれ」

千利休

まさにこれ。
作りたいものを作る。このモチベーション維持方法は、作家にとって最強のドーピングです。

▽見え方の変化

ここまでのフロー学習を整理してみましょう。

初期はこんな感じ。

アウトプット ↔ インプット 

内省がはいると…

アウトプット ↔ インプット
  ↕        ↕
  内省       内省

このようなイメージで、「スタイルの芽」を見つけます。
そして、スタイル探しを繰り返していくと、不思議なことが起こってきます。

アウトプットしたものの見え方が、変わるのです。

顕著なものが、過去に作った自分の作品への評価です。
前は良かったと思っていたけど、今見ると良くない。その逆もあります。

なぜこんなことが起こるのか…

もう一度、「アウトプット・インプット・内省」の現状を見てみます。


アウトプット:自分の深い部分、感覚との繋がりが強い。変化は遅い。

インプット:ひたすら基礎の吸収。徐々に知識量が増えてきた。

内省:自問自答。インプットによって成長してきた。


この状態から分かるのは、インプットから「栄養」を得た内省が成長し、自分の作品への評価基準が変化したということです。

シンプルにいうと「目が肥えた」のです。

さあ、次の段階「離」へ移る準備が整いました!


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